2012/07/03

気づけば生活全般に介助が必要に


◆気づけば生活全般に介助が必要に


親戚宅での混乱の後、3ヶ月後だったかな? 自宅で、床を濡らすようになってしまったのです。トイレに駆け込むのですが間に合わず。

出てきた時は、何で床が濡れているのかが分かっていない、という状況が始まりました。

パットを付けてもらいました。

と言っても理由を説明して了解を得られる病気ではありません。

ですから「冷えにはこれがあったかいって評判ですよ」なんて薦めてみたり。

トイレ使用中にドア開けて、パットを付けてくれたかチェックするにも「(トイレの)紙、なくなってませんかぁ~?」って、理由付けて開けてもらって「ついでに、これ(パット)も新品に替えて下さい」って交換したり。。。

プライドを傷つけず、目的を達成する為の方法はいろいろ考えましたね。

お風呂についても・・・ですよ。

沸かすことが出来なくなっていたのかもしれませんが、入らなくなってしまっていたんです。

そこで「お部屋の掃除のついでに沸かしてしまいましたから、入ってもらえますか?」とお誘いするのです。

その気になってくれると、着替えを取りに自分の部屋に行きます。タンスの前に座ります。着替えを出すんでしょうね。と思っていたらいつまでも出て来ない。

ちょっとのぞいてみたら、引き出しの中の探し物が始まっているんですよ。

何をしに来たのかが抜けてしまっているんでしょうね。
だからって催促できません。プライドの高い方ですから。

やっている事が「全く風呂と関係ない」と確認出来たら、「あのぉ。お風呂沸かしたんですけど、お入りになりませんか?」って、初めてのようにお誘いするんです。

だから、お風呂場に行くまででも1時間くらい掛ったりしていました。

さらに、どうにかお風呂に入っても、様子がおかしい。

またのぞいて見ると、湯船に入らず、洗い場で水道出しっぱなしで手ぬぐいを洗っていました。

入るという行為が分からなくなってきていたのでしょうね。

だから、少しずつ私が、お風呂の中にまで入って手伝うようになってゆきました。

でも、一緒に入る、なんてあり得ないでしょ。だって「自分が出来なくなっている」という認識がないんだから。かといって「入浴の手伝いします」も、おかしいでしょ。

どうやって入浴を手伝っていたかと言うと。。。。

最初のうちは、まず、お風呂場をのぞけるようにするんですよ。

脱衣所のドアは「洗濯機、見せてくださいね」とかなんとか言って開ける。

次は浴室。「お湯、熱くないですか?確認させてくださ~い。し・つ・れ・い。」なんて理由付けて。

そのうちもっと進んで、服の脱ぎ着もこちらでやらなければならなくなりました。

まず風呂場脇のトイレにお誘いするのです。

「どうしたらいいのか教えてほしいので、こちらへ来てもらえませんか?」とか「やってみたんですけど、これで良いか見てもらえませんか?」と誘い出します。

私の誘い方は、目的を言うのではなく、「あなたに何かしてほしい」「私を助けてほしい」という言い方をします。だって大の大人が同じ大人に「トイレへ行きましょう」とは言わないでしょう?言われたら「何このひと?」って思うのが普通でしょ。

すると、こっちへ来てくれますから、そこから世間話をしながら、私の手は勝手に服を脱がせていきます。

本人は、関心が話の内容に行くからか抵抗せずに脱いでくれていました。

そして、バスタオルをかけて、「ゴメンナサイ。寒いでしょう。こっちこっち!こっち温かいから。」ってお風呂場に誘うんですよ。

そうして、お風呂場にまで入ると、私がいるのも既成事実になっているので、入浴全般の介助もするようになりました。

あと、食べることも、結構早くから忘れましたね。

複数のお皿があったら一品ずつ食べ終えて最後にご飯だけ残っている。しかも、もともと食べるのがゆっくりだったのに拍車が掛かり、私達夫婦の34倍の時間が掛かるようになりましたっけ。

それでも、食べているうちは、まだよかったのです。

そのうち、箸を持って口にものを運ぶという行為自体を忘れましたね。

次は口に入れる事が出来ても、溜めたまま飲み込まなくなりました。

形が食べにくいのかなと思い、おかずは刻んでみたり、おかゆにしたりしました。でも、口の中にずっとふくんだまま、飲み込まないのです。

いろいろ試してみた結果、私の場合、うまくいったのはこんな方法。

まずは、食べ物が入っている口にさらに食べ物を詰め込んじゃう。カレースプーン34杯は入りました。

すると、リスのようにほっぺまで膨らんだ状態。そこで私は一方的に質問するように話しかけました。それまでも話しかけてますけどね。

すると、本人は答えようと(あるいは「うるさい黙れ!」って言いたかったかも?)
ともかく話そうとするんですよ。

そうすると口の中にあるものが邪魔って思うのかな? ごっくんごっくんって一気に飲み込むのです。これをくり返してやるのですが、上手くいっても30分以上、調子が悪いと1時間半かかることもあったと思います。

この介助方法を出来るの私だけでした。

だから、施設を利用し始めても、通って食事介助だけはしていました。

もっとも、この方法は介護職は怖がってやらないです。マネできませんとも言われましたが。

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◆編集部より◆


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