ベッド利用と生活の質0908

 これまで年間に50~100件近く、さまざまなご家庭を訪問させていただいていました。

 家もどんどん洋風化が進み、テーブルとイスの家も多いですが、高齢者の方のお家では、まだまだ畳に布団、座布団という家も少なくありません。

 旅館などがそうであるように、畳というモノは本当に人の心を落ち着かせてくれる力が強いと感じます。

 一方で、加齢によって足腰が弱ったり、脚力が落ちると畳や床面から立ち上がることが難しくなられる方も少なくありません。

 夜間など布団から立ち上がるのに手間取ってトイレに間に合わなかったり、間に合うように急いで、布団に足を取られて転んで骨折ということもありがちな家庭内の事故です。

(高齢者の転倒事故は、屋外よりも室内の方が多いというデータもあるほど)

 では、ベッドにすればいいのかというと、これまた悩ましい問題があります。

 というのも、なんといってもベッドは場所を取ります。四畳半から6畳間などでは、ベッドを置くと、それだけで部屋の半分以上を占拠しますし、いつでも布団があるので、ついつい、ベッド上で過ごす時間が長くなります。

 そうなると、一日中、パジャマのままで過ごしたり、ベッド上で食事を食べることで、食事時とそれ以外の時間帯のめりはりがつかず、生活がだらけてしまうパターンに簡単に陥ります。

 そして、そうなると生活全般、頭も体も、ますます病人っぽくなり、なかなか生活習慣をよい方向へ転換できません。

 そこで「転倒防止」を取るか、「生活習慣の改善や自立支援」を取るか、というような選択肢が出てきます。
 
 そして、この場合、やはり「布団から立ち上がりが難しいから、ベッドを導入する」という方が多いです。

 しかし、ベッドを導入し、立ち上がりがしやくなることで、返って転びやすくなる方もいらっしゃいます。

本当に足腰が弱い人は、わざわざ、立ってトイレまで行かずとも、四つばいで這ってトイレへ行く方が、夜間などは返って安全だからです。

 ちなみに、図は、ベッドを導入する前に、脚力などが落ちた場合の、床面からの立ちあがり方法の一例です。

 図のように、低めの台やイスなどがを利用し、それを支えに立ちあがります。このような動作で転ぶ危険性がなく、布団での生活が継続できれば、「いかにも病人」っぽい生活になることを少しでも防げます。

ベッドと布団、どちらにも長所、短所があります。合う方と合わない方がいらっしゃいます。それは一人ひとりの体の状況、気持ち、住まいなどがからむことですので、100%の正解はありません。

 ただ、昨今はややもすれば安易なベッドの導入により、返って「生活の質」を
低下されてしまう方もいらっしゃるために、あえて別の角度からの意見を書いてみました。

※脳梗塞などで体の半身が麻痺されたような方は、また、異なる立ちあがり方があります。

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