家族のために「自分』を大切に

私達、ケアスタッフは専門家だのプロだの偉そうに言っても、所詮は、標準的な介護知識、医療知識しか持っていません。しかし、要介護者の方々にとって、本当の意味でのプロの介護者は、まぎれもないご家族やその周囲の方々です。

 Aさんの好物が何で、どんなものなら食べやすく、どういうタイミングで一番、トイレがうまくできるのかをもっともご存知なのはご家族の方々です。

 しかも、それは無報酬で、毎日、続くもの。いつまで続くのか先が見えないもの。社会とは遠く離れた場所で、誰にも評価されず、「自分の自由」や「自分の時間」を奪うもの。例え、それが大事なご家族のことであっても、誰しも、「我が身」が大事にできないことには、なかなか心に余裕も生まれません。
 そこで、今回は、決して介護負担の軽くない、ご家族の方々を介護されているにも関わらず、しっかりとご自分の時間などを作り、介護ストレスを解消されているご家族のご紹介です。

 まずはじめは要介護4のご家族を介護されているSさん。Sさんのご趣味は、クラッシックカーに写真、模型創りと豊富です。介護に時間を取られ、なかなかご自分の時間が持てないのですが、ショートステイの予約が取れた折には、すぐに趣味などの時間を確保されるそうです。この写真も、「ショートの予約が取れて、その場で、クラッシックカーの展示会に応募したらギリギリ間にあったんですよ」とのこと。聞けば、現在、持っておられる車はかなり珍しい車種で、全国で500台くらいしか走っていない車だそうです。アルバムには、普段、訪問時とは違う、とてもキラキラ輝いている表情をされているSさんがいらっしゃいました。そして、その一方で、外に出ない趣味として模型もされているとのことで、「それも、また、完成したら見せてください」と頼ませていただきました。


 一方、次は要介護3のご家族を介護されているMさん。Mさんも、決して楽とはいえない介護を一人でがんばっておられます。その秘訣を聞かせていただくと「私、ある高齢者施設にパートで食事の介助の世話に行ってるんですね。朝と夜。そして、そこの施設で、悪態をつく方とか暴言を吐く方など、いろいろ見るんです。そうしたら、うちの人は(要介護状態であまり会話ができませんが)とても、おだやかでね、なんだか仏さまのようで、この人の頭をなでたくなるくらいなんですよ」と。「それで、(病気で)倒れてからは、それまでやっていた押し花などの趣味をしばらく控えていたんですけどね、最近は書道をやりはじめたんです」とのこと。

見れば、家の中には、何点かの押し花作品が飾ってあります。それを、本間はずっと購入されたものだと勘違いしておりました。しかし、そうではなく、すべてご自分で作られたとのこと。そして、介護の合間に、そのように書道をされたり、手紙を書かれたりして、ご自分の時間を作り、外の世界とつながっておられるのかもしれません。


 そもそも介護保険制度が始まったのも、それまでご家族だけで背負われていた「介護」を社会全体で応援していきましょう、というもの。「介護」する方々が決して、「介護の犠牲」になったり、自分らしい生き方を変えるのは、なるべく避けたいもの。その意味で、少しの時間にでもできる趣味や仕事、スポーツなどで、「自分の時間」をしっかり持つことは、とても大事なことなのだろうと考えています。(※ちなみに、本間も東京マラソンを完走してきました)


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