認知症介護のコツ

 要介護の方というのは、ご高齢になられてもいざという時に、案外、力が残っていたりされます。よくあるのは
1)手すりなどにつかまった手を介助者が放そうとすればする程、強く握って離さない
2)抱き起そうとすると、凄い力で介助者に抱きついて離さない

 と、いうのがあります。普段、ボーっとしているので何気なく、介護者がご本人を動かそうとした途端、思わぬ抵抗に合う。どこに、そんな力が残っていたのかと思うほど、強い力でつかんだものを離さなかったりする。普段、そうは見えない方に限ってよくある事のような気がします。

 どんなに要介護状態が進んでも、本能的な恐怖心や感覚はかなり最後まで残ります。乳児が反射的にモノをつかむようになる本能。それは、古来、樹上生活をしていた時代の猿の記憶が私達の中に潜んでいるからなのかもしれません。

 そして、そういう思わぬ抵抗は介護者側が「テキパキとオムツ交換をしたい」ときに限って現れたりします。介護者がさっさと場所を移動したいときに限って、何かにつかまって手を離さなかったりされます。介護者が焦ったり、急いで介護をしようとすればする程、される側にとっては訳が分からず身の危険を感じるから、本能的に何かにつかまったり、抵抗されるのではないかと思います。

 そこで、90代のお母様の世話をされているKさん(息子さん)の知恵。
 「急いで介助しようとすると、よけいに抵抗したり、モノをつかんだまま手放さないんですよね。で、最近は、ゆっくり(介助を)やる方がよく動いてくれることがわかったきました。もちろん、本人のペースに合わせなければならないから、最初はイライラしました。忍耐がいりますよね。でも、最終的には、そっちの方が早く済むことが分かってきたんです」とのこと。

 この場合、Kさんが男性ということもポイントかもしれません。というのも、男性の場合、力があるがゆえに、ササッと腕力で相手を抱き抱えたり、支えて動かしてしまう方が手っ取り早いと考える傾向があります。

 しかし、介護されるご本人にとっては、(自分が介護されているという意識すらない場合がありますから)不意に介護されることへの恐怖心から全身で抵抗したり、反射的にモノをつかんだりされるのではないかと考えます。
 「トイレに立たせるときも、(足腰が弱ってきているので)以前は立たせたままパンツなどを取り換えている最中に、足が(体重を支えることに耐えきれず)『カクン!』と膝が折れて苦労したんです。でも、焦って急いでパンツを取り換えるより、最近はしばらく立たせておく方がいいことが分かってきました。しばらく足がなじむまで立たせておく方がいいようです」とのこと。

 これらは介護施設等でもプロの介護職も使っている介護の技です。ですが、人間、必要に迫られなければ中々、新しい知識、技術も習得できません。介護サービスを利用されているご家族は、どんどん、そういう介護技術の相談も介護スタッフ等にしてみてください。もちろん、介護支援専門員にでもかまいません。みな、自分達の知識や技術、工夫が人様のお役に立つことをとても喜ばれる職種です。

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