「どんなサービスがあるか」よりも大事なこと

 ときどき、介護を必要とされている方から、「どんなサービスがあるんですか?」という質問を受けます。「ヘルパーさんは、何をしてくれるんですか?」という質問を受けることもあります。おそらく、介護サービスが喫茶店のメニューのように並んでいて、そこから欲しいサービスを選ぶようなイメージがおありなのだと思います。デイサービスや介護施設を選ぶ際にも多いのは「どういうサービスが受けられますか?」とか「どういう特徴やウリがありますか?」というものです。

 このように現在、市場にあるものから自分が気に入った商品を選べることは便利な反面、意外な落とし穴ももっています。
 それは選べる商品が多い場合に、本来の自分の思いや気持ちを見失ってしまう落とし穴です。

 例えば、一戸建ての家を作る時を想像してみてください。私たちが普通、行うのは土地の広さや掛けられるお金などの必須条件のあとには、「自分はどんな生活がしたいのか」ということだと思います。近隣に対する自分なりの考え、家族に対する自分なりの考え、食事や入浴、トイレ、寝室などに関する自分なりの考え。それら、さまざまな「自分の思い」を中心に「現実」と妥協しながら家の設計を考えていきます。

 しかし、これが「自分の思い」を考慮せず、商品の組み合わせや他人に勧められるままに設計をしていけばどうなるでしょうか。当然、それは「自分」にとっては住みづらく、ストレスの多い家になります。お金さえ出せば、部屋数も多く、家具も沢山、配置できて物質的に豊かな生活に見えますが、「自分」にとっては、ちっとも豊かには感じられません。「他人がやっていたから」とか「なんとなく」というようなあいまいな理由で選んだ商品は結果的に役に立たないことが多いのではないかと思います。

 それは介護サービスの利用にもやはりいえることです。介護保険制度が始まり、介護関連の商品やサービスは一見、増えたようにみえます。しかし、どんなにサービスが豊かでも、物質的に豊かでも、その大前提の部分を抜きにしてはいいサービスの利用はありえません。「自分はどういう生活を送りたいのか」「どういう介護がしたいのか」「したくないのか」。その自分の想いを出発点に介護計画(ケアプラン)を作らないことには、どれほど多くのサービス利用してもご自身の生活も介護の問題もいい方向へは行かない、といえます。(裏へつづく)

 介護施設を選ぶにしても、ついつい派手な宣伝文句や施設の「ウリ」となる部分から「どれにしようかな」という受け身的な姿勢になりがちです。しかし、大事な部分である「自分の暮らしはどうあるべきか、どうしたいか」という自らの足元をしっかり確認しておくことが非常に重要だといえます

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