介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理


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介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論の中間的な整理

平成25年1月7日
介護支援専門員(ケアマネジャー)の 資質向上と今後のあり方に関する検討会

目 次
1.はじめに
2.総論
3.各論
(1)ケアマネジメントの質の向上について
 ①ケアマネジメントの質の向上に向けた取組
 ②介護支援専門員実務研修受講試験の見直し
 ③介護支援専門員に係る研修制度の見直し
 ④主任介護支援専門員についての見直し
 ⑤ケアマネジメントの質の評価に向けた取組
(2)保険者機能の強化等による介護支援専門員の支援について
①地域ケア会議の機能強化
②居宅介護支援事業者の指定等のあり方
③介護予防支援のあり方
④ケアマネジメントの評価の見直し
(3)医療との連携の促進について
(4)介護保険施設における介護支援専門員について

4.今後に向けて



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1.はじめに

○ 今後、2025 年に向けて、団塊の世代が 75 歳以上となっていくことに伴い、要介護発生率が高くなる 75 歳以上の高齢者の割合が急速に進むことが見込まれる。また、認知症高齢者は 2012 年時点で約 300 万人と増加してきており、今後もその増加が見込まれる。さらに、高齢者のみ世帯や一人暮らし高齢者の数の増加も進んできており、地域全体で支援を必要とする高齢者を支える必要性も高まってきている。

一方、介護が必要となった場合に、自宅で介護を受けたいという希望を持つ人は 74%となっているなど、要介護者等となっても、高齢者が尊厳を持って、できる限り住み慣れた地域で生活を継続できるよう、地域包括ケアシステムを日常生活圏域で実現していくことが重要な政策課題となっている。

 ○ こうした中、要介護者等に、その人にふさわしい適切な介護サービス、保健医療サービス、インフォーマルサービス等を総合的に提供することが、これまでにも増して求められるようになってきており、介護支援専門員の資質やケアマネジメントの質の向上に対する期待も大きくなってきている。

○ 現状における介護支援専門員の資質やそれを支える体制については、様々な課題が指摘されており、社会保障審議会においても、「より良質で効果的なケアマネジメントができるケアマネジャーの資格のあり方や研修カリキュラムの見直し、ケアプランの標準化等の課題について、別途の検討の場を設けて議論を進めることが必要である」(介護保険部会意見書(平成 22 11 30 日))、「根本的なケアマネジメントの在り方の検討が求められている」「ケアマネジャーの養成・研修課程や資格の在り方に関する検討会を設置し、議論を進める」(介護給付費分科会審議報告(平成 23 12 月7日))などの指摘がされてきている。

○ さらに、社会保障・税一体改革大綱(平成 24 年2月 17 日閣議決定)においても、「ケアマネジメントの機能強化を図る」、「自立支援型のケアマネジメントの実現に向けた制度的対応を検討する」とされている。
  
 ○ こうしたなか、本検討会は、平成 24 年3月に、ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方について議論を行うことを目的として設置され、これまで7回にわたって議論を重ね、このたび、中間的な整理を取りまとめた。なお、中間的な整理の取りまとめにおいては、パブリックコメントを行い、平成 24 10 11 日から 31 日までの間において、727 件の意見が寄せられたところである。

2.総論
○ 介護保険法の目的・理念としては、高齢者が要介護状態等となっても、尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう必要な支援を行うことである。
そのため、保険給付は、要介護状態の維持・改善に資するよう行われ、利用者本位による保健・医療・福祉サービスが、総合的かつ効率的に提供されなければならない。

○ 一方、利用者についても努力義務が唱われており、自ら要介護状態となることの予防のため健康の保持増進に努めることや要介護状態になった場合であっても、進んでリハビリテーションやその他の適切なサービスを利用することで、自らが有する能力の維持向上に努めることとされている。
  ○ 介護支援専門員は、利用者が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有する者として、介護保険制度を運用する要として重要な役割を担っている。
        介護保険制度は、利用者本位の介護サービスの提供を基本理念の一つとして創設された。介護支援専門員は、その理念を実現する中心となる資格であり、利用者の立場に立って、その生活全般に寄り添って支援を行う機能を果たしてきており、制度創設から 10 年以上が経過した現在、国民の間にも定着し、要介護者等にとって欠かせない存在となってきている。

○ 介護保険制度においては、利用者の尊厳の保持を旨とした自立支援を実現していくことが重要であり、そのためには、介護支援専門員による適切なケアマネジメントは必要不可欠であり、その質の向上は不断に求められるものである。

○ 平成18年の制度改正においては、介護支援専門員の専門性の確立という観点から、研修の強化を図るとともに、資格の更新制を導入し、更新時の研修を義務付けるといった見直しを行ったが、その後も、医療の必要性が高い利用者や独居世帯の利用者、認知症の利用者が増加するなど、ケアマネジメントの質をより高くすることが求められるようになってきている。

○ また、国の政策においては、高齢者が住み慣れた地域で自立した日常生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の構築に向けた取組を進めており、各地域におけるその実現に向けても、これらのサービスが有機的・包括的に機能していくための橋渡しをするケアマネジメントへの期待が高まっている。

○     このような状況や前述の社会保障審議会等で指摘された課題を踏まえ、本検討会において、これまで議論を重ね、主な検討すべき課題として以下のように整理した。

① 介護保険の理念である「自立支援」の考え方が、十分共有されていない。

② 利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない。

③ サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していない。

④ ケアマネジメントにおけるモニタリング、評価が必ずしも十分でない。

重度者に対する医療サービスの組み込みをはじめとした医療との連携が必ずしも十分でない。

⑥ インフォーマルサービス(介護保険給付外のサービス)のコーディネート、地域のネットワーク化が必ずしも十分できていない。

小規模事業者の支援、中立・公平性の確保について、取組が必ずしも十分でない。

⑧ 地域における実践的な場での学び、有効なスーパーバイズ機能等、介護支援専門員の能力向上の支援が必ずしも十分でない。

⑨ 介護支援専門員の資質に差がある現状を踏まえると、介護支援専門員の養成、研修について、実務研修受講試験の資格要件、法定研修の在り方、研修水準の平準化などに課題がある。

施設における介護支援専門員の役割が明確でない。

○ 上記の課題に対応するための見直しの視点は大きく2つあり、「介護支援専門員自身の資質の向上に係るもの」「介護支援専門員が自立支援に資するケアマネジメントが実践できるようになる環境整備に係るものといった2つの視点からアプローチしていくことが必要である。
  ○ こうした視点に基づき、介護支援専門員やケアマネジメントに係る課題に対応し、介護支援専門員の資質向上やケアマネジメントの質の向上が図られるよう具体的な改善策についてとりまとめた。

3.各論
(1)ケアマネジメントの質の向上について
        ケアマネジメントは、アセスメントからサービス担当者会議を経てケアプランが確定した後のモニタリングまでの一連の流れである。しかしながら、アセスメントが必ずしも十分でないといった課題やサービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していないといった課題が指摘されている。
        そこで、ケアマネジメントの質の向上に向けて以下のような取組を進めるべきである。

  ケアマネジメントの質の向上に向けた取組
  ~アセスメントの重要性と課題抽出プロセスの明確化~
○ アセスメントは、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上で解決すべき課題を把握するものであり、特に重要なプロセスである。また、自立支援に資する適切なケアマネジメントを行う上でも、介護支援専門員がどのような考えで課題や目標を導き出したのか、そのプロセスを明らかにすることは、アセスメント能力を向上していく上でも重要なことである。また、そのことにより、サービス担当者会議において考え方等の共有がなされ、サービス内容の検討が円滑に進むことが期待される。

○ このため、介護支援専門員の専門的判断として、どのような考えで利用者
の生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を導き出したのかを明確にするケアプラン様式とは別の課題抽出のための新たな様式の活用を進めるべきである。

○     課題抽出のための様式の活用により、多職種協働であるサービス担当者会議が実効性のあるものになると考えられる。また、多職種協働を促進していく中で、早い段階から医療関係職種の適切な助言が得られることが重要である。

~サービス担当者会議の重要性~
○     サービス担当者会議については、多職種協働が十分に機能していないのではないかとの課題に対応し、サービス担当者会議の重要性を関係者間で共有するとともに、居宅サービス計画の原案の内容について、多職種による専門的な見地からの議論が行われ、より質の高い居宅サービス計画の原案へと修正が図られるよう、関係者間で意識を共有し、そのための環境づくりをしていくことが重要である。

  ~モニタリングにおける適切な評価の推進~
  ○ モニタリングにおいては、ケアプランに位置付けたサービスの実施状況を把握し、必要に応じてケアプランの変更等を行うこととされている。 具体的には、サービスの実施状況を把握しつつ、利用者の状態変化を多職種間で共有することが可能となるよう継続的に評価するとともに、ケアプランに掲げた短期目標を達成するためのサービスの提供期間が終了した際に、その結果を評価・検証した上で、必要に応じて適切にケアプランの変更を行うことが重要である。

  ○ そのため、サービスの提供結果、短期目標が達成されたかどうかを総括し、適切なケアプランの見直しに資するよう、ケアプラン様式とは別に適切な評価のための新たな様式の活用やデータ収集・集積を進めるべきである。
  ○ 上記のようなケアマネジメントの流れの中で、例えば、容体の急変により入院を要することとなった場合など、結果としてケアマネジメントプロセスから外れる利用者についても、利用者の生活全般に寄り添う介護支援専門員が、地域の関係者との調整・連携等の役割を果たしていくことが期待される。

  介護支援専門員実務研修受講試験の見直し
  ○ 現在、介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件は、保健・医療・福祉に係る法定資格保有者、相談援助業務従事者及び介護等の業務従事者であって定められた実務経験期間を満たした者が受験できることとなっている。
介護支援専門員に係る様々な課題が指摘されている中で、今後、介護支援専門員に求められる資質や、介護支援専門員の専門性の向上を図っていくことが必要である。
    したがって、必要な経過措置を講じた上で、受験要件について、上記の法定資格保有者に限定することを基本に見直しを検討すべきである。
     なお、介護支援専門員の業務が相談援助業務の性格を有することを考え、相談援助業務の経験がある者については、引き続き受験資格を有する者とする範囲を検討すべきである。
  ○ また、介護支援専門員として利用者を支援していくには、介護保険制度に関する知識だけでなく、保健・医療・福祉に関する幅広い知識や技術が求められる。

○ 介護支援専門員実務研修受講試験については、保健・医療・福祉に関する知識や技術を有することの確認について、より介護支援専門員の資質の向上に資するものにしていくべきとの意見や、保有資格によって認められている解答免除の取扱いについて見直すべきであるとの議論が行われた。
  ○ こうしたことを踏まえ、上記の受験要件も含め、介護支援専門員実務研修受講試験の実施方法について見直しを検討すべきである。

  介護支援専門員に係る研修制度の見直し
  ○ 介護支援専門員の専門性を高め、資質を向上させていく手段として、研修は重要な役割を持つと考えられる。
  ○ また、研修の実施方法について、より実践的な研修となるよう演習にも重点を置くとともに、研修内容が理解されているかどうかを確認するため、研修修了時の修了評価の実施についても検討すべきである。
  ○ 現在、実務研修の時間数は、求められる介護支援専門員の知識や技術に比し、不足しているとの意見もあることから、実務研修の充実や、実務に就いた後の早い段階での研修である実務従事者基礎研修の必修化について検討すべきである。

  ○ また、現在の更新研修は、専門研修ⅠとⅡに分かれており、介護支援専門員証の有効期間の5年のうちに計画的に受講することが難しいとの指摘もされていることから、有効期間内に無理なく研修を受講し、必要な知識や技術を身につけていくことが可能となるよう見直しを検討すべきである。

  ○ 研修体系の見直しと同時に見直さなければならないのが研修カリキュラムである。現行の研修カリキュラムでは、介護支援専門員専門研修において「認知症」、「リハビリテーション」、「看護」、「福祉用具」等の課目についても規定されているが、選択制となっており、必ずしも受講すべき課目とはなっていない。 これらの知識は、今後、増加が見込まれる認知症高齢者の支援や利用者の自立支援に資するケアマネジメントの推進等にあたり、介護支援専門員が身につけておくべき重要な知識である。
     また、重度者や医療の必要性が高い利用者が増える中で、医療関係職種と連携しつつ、医療サービスを適切に提供していく必要性はさらに高くなるが、医療との連携が必ずしも十分でないといった課題が指摘されている。
   したがって、研修カリキュラムを見直す際には、「認知症」、「リハビリテーション」、「看護」、「福祉用具」等の課目について、必修化も含めて研修内容の充実を図るべきである。
        その他、ケアマネジメントに求められる内容の変化に応じ、研修内容を充実していくことが適当である。

  ○ 都道府県が行っている各種研修については、研修水準の平準化を図るべきとの課題に対応し、国として研修実施の指導者用のガイドライン作りを推進するべきである。

  ○ また、介護支援専門員が従事する事業の類型に即した研修カリキュラムといった視点からの検討も行うことが適当である。さらに、研修受講者の利便性も考慮し、都道府県単位で実施する研修に加え、例えば主任介護支援専門員研修などについては、都道府県の圏域を超えた研修の実施も検討し、当該研修についても都道府県研修の対象としていくことを検討することが適当である。

  ○ 介護支援専門員の資質向上を図る上では、利用者の生活状況を総合的に把握し、ニーズに応じた様々なサービスを一体的に提供するコーディネート機能を果たすという特質にかんがみ、講義や演習による研修に加え、実務に就いて間もない介護支援専門員について、現場での実務研修の仕組みの導入について検討すべきである。

○     以上のように研修制度の見直し等に取り組むことと共に、介護支援専門員自ら日常的な学びに努め、その専門性を高めていくことが重要であり、保険者である市町村もその取組を支援していくことが求められる。

  主任介護支援専門員についての見直し

  ○ 主任介護支援専門員には、介護支援専門員に対するスーパーバイズ、地域包括ケアシステムを実現するために必要な情報の収集・発信、事業所や職種間の調整といった役割が求められており、そのような役割を担うことができる者を養成することを目的として主任介護支援専門員研修が位置付けられている。
主任介護支援専門員については、上記のスーパーバイズ等の役割を果たすことをより一層進めることが重要であり、その資質の向上を図っていくことが必要である。

○ このため、主任介護支援専門員となるための研修修了後に修了評価を導入
することを検討すべきである。
また、主任介護支援専門員についても更新制を導入し、更新時においては、研修を実施することを検討すべきである。
  ○ さらに、居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員に求められる役割にかんがみ、例えば地域の小規模な居宅介護支援事業所等で、ケアマネジメント業務に従事し、未だ実務に就いて間もない初任段階の介護支援専門員に対して、主任介護支援専門員が現場での実務研修により、指導・支援する仕組みの導入を検討すべきである。

○ また、介護支援専門員が日常的に学びの場を共有していくことはその資質向上にとっても重要であることを踏まえ、主任介護支援専門員は、地域の介護支援専門員のネットワークを構築するといったことに努めることが適当である。
        
  ケアマネジメントの質の評価に向けた取組
  ○ ケアマネジメントの質の向上を図っていく基盤として、ケアマネジメントの質を評価する客観的な指標を整えていくことが重要であり、ケアマネジメントプロセスの評価、アウトカムの指標について、より具体的な調査・研究を進めるとともに、その基盤となるデータ収集・集積を継続的に進める必要がある。
    
  ○ 国においては、平成 24 年度において、ケアプランの現状を把握し、その実態等を分析することによって、現状のケアマネジメントについての改善点等を明らかにするため、ケアマネジメント向上会議の取組を開始している。
   こうした取組の積み重ねやデータ収集・集積による分析を通じて、ケアマネジメントの向上に向けた事例収集や情報発信を継続していくことが重要である。

(2)保険者機能の強化等による介護支援専門員の支援について
        介護支援専門員に係る課題については、研修などを通じて介護支援専門員自身の知識や技術の向上に取り組むことも重要であるが、介護支援専門員の資質の向上への取組を効果的なものとするため、保険者である市町村により、介護支援専門員の支援を充実していくことも重要である。
   そこで、上記(1)で示した見直しに加えて、以下のように、保険者による介護支援専門員の支援体制を充実すべきである。
また、保険者として、介護保険制度の目的・理念やケアマネジメントの意義などについて、被保険者やその家族に周知していくことが重要である。

  地域ケア会議の機能強化
  ○ 厚生労働省では、平成 24 年3月に「地域包括支援センターの設置運営について」(平成 24 年3月 31 日付け厚生労働省老健局介護保険計画課・振興課・老人保健課長連名通知)において、地域ケア会議の設置運営について改めて方針を示している。
そこでは、地域ケア会議の目的を、多職種協働による個別ケースの支援内容の検討を通じた
・高齢者の実態把握や課題解決のための地域包括支援ネットワークの構築
・地域の介護支援専門員の、法の理念に基づいた高齢者の自立支援に資するケアマネジメントの支援
・個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握 などを行うこと
としている。

  ○ この地域ケア会議は、以下のような意義を持つものと評価でき、積極的な取組を推進すべきである。
・実践を通じた、多職種によるアセスメント能力などの介護支援専門員の資質向上の支援
高齢者の自立支援に資するケアマネジメントの実現
・多職種協働によるサービス担当者会議の実効性を高める支援
医療との連携、インフォーマルサービスの組み込み、支援困難事例に対する支援
地域における課題の発見、地域のネットワーク化、社会資源の開発
・介護支援専門員の独立性・中立性・自律性の確保
小規模事業所の支援
・日常的な多職種の学びの場

  ○ また、地域ケア会議では、個別ケースの課題分析等の積み重ねにより地域課題を把握することにつながり、地域に必要な資源開発や地域づくり、さらには次期介護保険事業計画への反映などの政策形成や地域包括ケアの実現につなげていくことが期待される。
        こうした地域づくりや政策形成等につながる地域ケア会議は、日常生活圏域のものに加えて、市町村レベルで関係者が集まり協議していくことが重要である。
        その際には、在宅医療の関係者との緊密な連携が望ましく、後述の在宅医療連携拠点事業と連携協働していくことが期待される。

  ○ このような地域ケア会議については、地域の実情に応じた柔軟な取組を進めるとともに、今後、全ての保険者で実施されるよう、国は法制度的な位置付けも含め、その制度的位置付けについて強化すべきである。

  ○ また、保険者に対する地域ケア会議の普及・促進を図っていくためには、保険者が具体的なイメージを持って取り組んでいけるよう、国において、地域ケア会議の運営手順書の整備、先進的な取組を行っているモデル事例の収集及びその全国の保険者への紹介、議論を行う上で有益な情報を提供できる基盤の整備を進めることが必要である。
さらに、地域ケア会議の開催にはコーディネーターの役割が重要であることから、コーディネーター養成のための研修の取組も必要である。

  ○ なお、この地域ケア会議は、特定の個別ケースについて、当該ケースのサービス提供に直接関わらない専門職等も含め、第三者的視点により検討するものであり、充実したサービス担当者会議の支援にもつながるものである。

  ○ 現在、保険者が実施しているケアプラン点検については、自立支援に資するケアプランを進める取組であり、地域ケア会議の取組とともに進めていくことが重要である。

○     自立支援に資するケアマネジメントを進める上では、身体機能の維持・改善に限定して考えるのではなく、利用者の意思、意欲、QOL(生活の質)の向上などの要素にも留意すべきである。

  居宅介護支援事業者の指定等のあり方
  ○ 居宅介護支援事業者の指定は、都道府県によって居宅介護支援を行う事業所ごとに行われているが、地域ケア会議の強化等、市町村による介護支援専門員の支援を充実していくに当たり、居宅介護支援事業者に対する市町村の関わりを強めていくことも重要である。
        そこで、保険者機能の強化の一環として、居宅介護支援事業者の指定を市町村が行うことができるよう、見直しを検討すべきである。この場合、町村をはじめとした体制面での課題などを考慮し、都道府県等との役割分担や連携の在り方を検討すべきである。

  介護予防支援のあり方
  ○ 介護予防支援については、指定介護予防支援事業者として地域包括支援センターが予防プランを作成することとされている。地域包括支援センターでは、介護予防支援の業務を兼務しつつ、包括的・継続的ケアマネジメント支援や予防事業などの業務を実施している所が多いことから、その負担が大きくなっている現状がある。また、今後も、地域ケア会議等の取組の充実や被保険者自らの予防に対する取組促進、地域の支え合い体制づくりなど、その担う役割に対する期待は高まっていくと考えられる。

○ こうしたことを踏まえ、地域包括支援センターの業務負担を軽減するとともに、適切な介護予防支援が行われるよう、介護予防支援を担当する介護支援専門員の配置を推進していくような方策を検討すべきである。

  ○ また、要支援者に対するケアマネジメントについては、利用者の状況に応じ、給付管理も含めたケアマネジメントプロセスの簡略化など、様々な利用者支援の在り方について検討すべきである。
        一方、より状態の改善が期待できる又は悪化の防止が求められる利用者については、介護支援専門員等が重点的に関わることが求められる。

  ケアマネジメントの評価の見直し
  ○ 介護支援専門員が介護報酬を請求できるのは給付管理を行った場合に限られており、アセスメントの結果、介護保険の法定サービスは利用せず、インフォーマルサービスのみの利用となった場合には、ケアマネジメントに対する介護報酬の評価が行われない現状にある。
        
○ この点については、インフォーマルサービスなどの地域資源を積極的に活用することを促進していく観点からも、利用者の支援に当たって、ケアプランに位置付けられたサービスがインフォーマルサービスのみであり、結果として給付管理が発生しない場合であっても、介護支援専門員のケアマネジメントを適切に評価する仕組みを検討すべきである。

  ○ 一方で、例えば福祉用具の貸与のみを行うような簡素なケースについては、効率化も検討すべきである。

(3)医療との連携の促進について
  ○ 今後、重度者や医療の必要性が高い利用者が増えていくと考えられることから、介護支援専門員には、ケアマネジメントを行う際の医療との連携やケアプランへの適切な医療サービスの位置付けを促進するとともに、入院から退院後の在宅への移行時等における適切な連携を促進することが必要である。

  ○ 現状では、サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していないのではないか、医療関係職種との連携が不十分なのではないか、といった指摘がされており、ケアマネジメントにおける医療との連携については重要な課題である。

  ○ 医療との連携にあたっては、医療に関する知識が必要になってくるが、いわゆる福祉関係職種の基礎資格を持つ介護支援専門員が増えている状況であり、そうした背景も医療との連携が十分でない要因の一つと考えられる。
        そこで、医療との連携にあたって必要となる知識については、介護支援専門員に係る研修において医療に関するカリキュラムを充実すること等が重要である。

  ○ また、介護支援専門員が医療関係職種と連携しやすい環境整備及びそれとの密接な連携が重要であり、現在、モデル事業として取組が進められている在宅医療連携拠点事業を踏まえ、市町村と都道府県が緊密に連携しながら、在宅医療・介護の連携を担う機能の整備を推進することが必要である。
        その際、医療関係職種と介護支援専門員等とのワークショップや事例検討の勉強会等を通じ、各職種間の共通理解を進めていくなどの取組を積み重ねていくことも重要である。
  ○ さらに、介護支援専門員が利用者の医療に関する情報を把握するにあたっては、要介護認定の際に利用される主治医意見書を活用することが有効と考えられ、介護支援専門員が、市町村から主治医意見書を入手しやすくなる取組を進めることが重要である。
        あわせて、介護支援専門員は、ケアプランを主治医に情報提供する取組を進めることが重要である。

  ○ 地域ケア会議は、医療関係職種を含む多職種が参加して個別事例の検討を行うものであり、医療との連携を進めていく上でも有効であり、その取組を推進すべきである。

○ また、自立支援に向けては、リハビリテーションの活用が有効であり、ケアマネジメントの際に適切な連携がなされるよう、介護支援専門員にリハビリテーションに係る基礎的な知識が教育される機会を増やすとともに、早い段階からリハビリテーション専門職の適切な助言が必要に応じて得られることが重要である。さらに、ケアマネジメントの際には、直接的なリハビリテーションサービスの導入に加え、生活機能の維持・向上、生活環境の改善の手段として、適切な評価に基づいて導入される福祉用具の活用等を図ってい
くことも重要である。

(4)介護保険施設における介護支援専門員について
○ 施設における介護支援専門員については、社会保障審議会介護給付費分科会の審議報告においても「施設におけるケアマネジャーの役割が不明確なのではないか」といった指摘がされている。
  
○ 介護老人福祉施設及び介護老人保健施設については、入退所時における家族や居宅介護支援事業所の介護支援専門員などとの調整・連携、ケアカンファレンスにおける多職種協働の円滑化など、ソーシャルワークやケアマネジメントの知識や技術を有する者がその役割をしっかり担えるよう推進していくことが必要である。
  介護療養型医療施設についても、施設の特性にかんがみながら、介護支援専門員が多職種協働の下で質の高いケアマネジメントを進めていくことが必要である。

○ 以上を踏まえ、ソーシャルワークやケアマネジメントに係る知識や技術を有する者による介護保険施設の入所者に対する支援を充実させるため、生活相談員や支援相談員について、介護支援専門員との現状の役割分担にも留意しながら介護支援専門員等の資格取得を進めていくべきである。

○ また、地域ケア会議においては、施設ケアプランについても検討していくことが適当である。

4.今後に向けて
  ○ 以上、主に次回の介護保険制度改正や次期介護報酬改定に向けて検討すべきことや見直すべきことについて中間的なとりまとめを行った。
        今後、制度的な見直しにつながるものについては社会保障審議会介護保険部会、介護報酬改定につながるものについては社会保障審議会介護給付費分科会で議論を進めるとともに、例えば、研修内容の見直しなど実務的検討を深める必要があるものについては、速やかに取組を進めていくことが適当である。

  ○ 地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態等になっても出来る限り住み慣れた地域で在宅を基本とした生活の継続ができるよう包括的な支援体制を推進していくものであり、多職種協働による介護サービスの提供、医療との連携の推進、地域の支え合いやインフォーマルサービスの充実などを包括的に進めていくことが重要である。その際、介護支援専門員による質の高いケアマネジメントが利用者に提供されることが欠かせない。

  ○ 「3.各論」で述べた各種対応策については、介護支援専門員の資質向上及びケアマネジメントの質の向上を目指すものであるが、そのためには、介護支援専門員自身の取組とともに、国、都道府県、市町村、事業者それぞれが取組を強化する必要がある。
        また、在宅医療の関係者も含めた地域ケア会議を通じ、ケアマネジメント支援・地域資源の開発・地域づくり・政策形成も多職種協働により進めていくことも重要である。

  ○ なお、高齢者の尊厳の保持を旨とした自立支援を基本とするケアマネジメントの実現を目指し、今後も中長期的視点から検討を引き続き行っていく必要があるとともに、提言した内容の実施状況等について点検・評価していくことも必要である。その際、介護支援専門員が一人の要介護者等を継続的に支援していくことを可能にするといった視点や要介護者等のトータルな暮らしの支援といった視点、隣接する他制度との連携の強化といった視点なども含め、ケアマネジメントについての検討を深めていくことが重要である。

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