医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について

老老発第1225003号
保医発第1225001号
平成18年12月25日

医療保険及び介護保険におけるリハビリテーションの見直し及び連携の強化について 参考


本年4月の診療報酬・介護報酬改定におけるリハビリテーションの見直しについては、
急性期から回復期までのリハビリテーションは医療保険で対応し、
維持期のリハビリテーションは介護保険が中心となって対応するとの考え方の下に行ったものであり、この考え方に沿って、
医療保険のリハビリテーションについては、発症後早期のリハビリテーションを重点評価するとともに、疾患別に算定日数の上限を設けたところである。

当該算定日数の適用に当たっては、
厚生労働大臣が定める疾患(※1)又は症状を有し、
医療保険のリハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者
については、
算定日数上限の経過後であっても、医師の判断によりリハビリテーションの継続を可能とする取扱いとしているところである
が、こうした取扱いについて医療現場等に必ずしも正確に伝わっていないとの指摘がある。このため、今般のリハビリテーションの見直しの趣旨、内容、医療保険と介護保険のリハビリテーションの連携の強化等について改めてお示しするので、御了知の上、管内市町村、関係団体、関係機関に周知方願いたい。

※1算定日数上限規定の対象から除外される疾患
失語症、失認及び失行症
高次脳機能障害
・重度の頸髄損傷
・頭部外傷又は多部位外傷
回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者
・ベーチェット病
・多発性硬化症
・重症筋無力症
・全身性エリテマトーデス
・スモン
筋萎縮性側索硬化症
・強皮症、皮膚筋炎及び多発性筋炎
・結節性動脈周囲炎
・ビュルガー病
脊髄小脳変性症
悪性関節リウマチ
パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病)
・アミロイドーシス
後縦靭帯骨化症
・ハンチントン病
・モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)
・ウェゲナー肉芽腫症
多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、 シャイ・ドレーガー症候群)
・広範脊柱管狭窄症
・特発性大腿骨頭壊死症
・混合性結合組織病
・プリオン病
・ギラン・バレー症候群
・黄色靭帯骨化症
・シェーグレン症候群
・成人発症スチル病
関節リウマチ
・亜急性硬化性全脳炎・脳性麻痺
・胎生期若しくは乳幼児期に生じた脳又は脊髄の奇形及び障害
・顎・口腔の先天異常
・先天性の体幹四肢の奇形又は変形
・先天性神経代謝異常症、大脳白質変性症
・先天性又は進行性の神経筋疾患
・神経障害による麻痺及び後遺症(脳卒中後遺症を含む)
・言語障害、聴覚障害又は認知障害を伴う自閉症等の発達障害


1見直しの趣旨等
(1)リハビリテーションは、患者の身体機能の向上のみを目的とするものではなく、患者の日常生活の活動性を高め、もって自立を促すことを目的とするものであり、漫然と実施するのではなく、期間及び到達目標を定め、計画的に実施すべきものであること。

(2)脳卒中や骨折に代表される急激に生活機能が低下するものは、発症後から治療開始までに要する時間及び早期から提供される適切なリハビリテーションの有無が生活機能の低下の程度に大きく影響することを踏まえ、発症後早期からの重点的なリハビリテーションの実施に配慮すること。

(3)医療保険においては、急性期及び回復期の状態に対応し、主として身体機能の早期改善を目指したリハビリテーションを行い、他方、介護保険においては、維持期の状態に対応し、主として身体機能の維持及び生活機能の維持・向上を目指したリハビリテーションを行うものであること。

(4)急性期及び回復期のリハビリテーションの終了については、
個々の患者の状態に応じて医学的に判断するとともに、
医師により維持期のリハビリテーションに移行することが適当と判断された場合には、
医療機関と居宅介護支援事業者との連携の確保、介護保険サービスの紹介等、
医療保険と介護保険の連携を強化することにより、
維持期のリハビリテーションに計画的かつ速やかに移行できるよう配慮すること。併せて、患者に対し十分説明を行うとともに、家庭での実地指導等とも併せ、患者が日常生活に円滑に移行できるよう配慮すること。

(5)リハビリテーションの実施に当たっては、有意義な生活や人生の実現に向けた患者の視点からの目標を定め、訓練室中心のプログラムのみではなく、日常生活の活動向上訓練や、福祉用具の選択・使用方法の指導等、実生活に即したプログラムの実施が重要であること。
また、リハビリテーションの実施に当たっては、医師、看護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が、実施するリハビリテーションの目的、内容、身体機能への影響等を利用者に十分説明すること。

2医療保険におけるリハビリテーションに係る平成18年度診療報酬改定の内容

(1)リハビリテーション料において重点評価した項目
・患者一人一日当たりの算定単位数の上限を緩和したこと
・一月に一定単位数以上行った場合の点数の逓減制を廃止したこと
・集団療法に係る評価は廃止し、個別療法のみに係る評価体系へ転換したこと
・機能訓練室の面積要件を緩和したこと・退院後早期の訪問リハビリテーションを充実したこと

(2)リハビリテーション料の疾患別体系への見直しと算定日数上限の取扱い

・医療保険における急性期及び回復期のリハビリテーション料について、専門家の意見を聴きつつ、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料及び心大血管疾患リハビリテーション料の4つの疾患別体系に見直すとともに、疾患別に算定日数の上限を設けたこと。ただし、一定の疾患及び症状(以下「適用除外疾患」という。)を有し、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者について、算定日数上限を適用しないこととしたこと。

・上記以外の者については、算定日数上限が設定されていない難病患者リハビリテーション料又は障害児(者)リハビリテーション料によるサービスのほか、介護保険における維持期のリハビリテーションへの円滑な移行を行う等、適切なサービスの提供を行うこと。

3医療保険のリハビリテーション実施に当たっての医療機関における留意事項

(1)サービス開始時のリハビリテーションの意義等の説明リハビリテーションの開始に当たり、リハビリテーション実施計画を説明する際に、急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて十分説明を行うとともに、身体機能が改善し、維持期になった場合については介護保険のリハビリテーションに移行することの説明を行うこと。

(2)介護保険サービスの利用支援
平素より、地域の介護保険サービス事業者等の福祉サービス資源について把握を行うこと。医療保険におけるリハビリテーションの終了後速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けることが重要であることから、早期の段階から、患者が要介護認定又は要支援認定(以下「要介護認定等」という。)を受けているかどうかを確認し、当該患者の意向等を踏まえ、要介護認定等の申請の手続や居宅介護支援事業者への連絡等について計画的な支援を行うこと。また、医療保険におけるリハビリテーションの終了後速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けるためには、医療保険におけるリハビリテーション期間中から居宅介護支援事業者との調整が必要となるものであり、特に要介護認定等を受けていない者については、要介護認定等の申請から認定されるまでに約30日を要することに留意しつつ、利用者への支援を行うこと。

(3)算定日数上限と適用除外疾患適用除外疾患を正確に把握すること。リハビリテーション料の算定日数上限に到達した後であっても、適用除外疾患を有し、リハビリテーションを継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される者であれば、医療保険によるリハビリテーションの継続は可能であり、算定日数上限をもって医療保険によるリハビリテーションの実施を機械的に打ち切ることは適切でないこと。なお、リハビリテーションの継続により状態の改善が期待できるか否かについては、ADLの改善にも十分に配慮し定期的に客観的な評価を行った上で医師が適切に判断すること。また、リハビリテーションを行った後、急性増悪等により心身の状態が著しく悪化した場合には、再度該当するリハビリテーション料の算定が可能であること。

(4)医療保険のリハビリテーション終了時の説明
・指導

ア 入院患者が医療保険のリハビリテーションを終了する際の説明

・指導入院患者が急性期及び回復期のリハビリテーションを終了し、退院するに当たっては、入院患者の状態や意向等を踏まえ、退院後の調整に努めること。

特に維持期のリハビリテーションとの継続性に配意し、在宅に復帰する者に対して、居宅介護支援事業者との調整等について支援を行うこと。また、改めて急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて十分説明を行い、
介護保険における維持期のリハビリテーションは、医療保険における急性期及び回復期のリハビリテーションと同様に、
医師の指示の下、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職が提供するものであること、及び、
主にして身体機能の維持及び生活機能の維持・向上を目指したリハビリテーションを行うものであることの説明を行うものであること。
また、地域包括支援センターへの相談も可能であることの情報提供を行うこと。

イ 診療報酬における評価入院患者が居宅に戻る場合には、退院前に、診療報酬上評価されている地域連携退院時共同指導や、退院前在宅療養指導、退院時リハビリテーション指導などを行い、退院後の療養生活を支援するよう努めること。この場合において、地域の医療機関への紹介を適切に行うこと。

ウ 外来患者が医療保険のリハビリテーションを終了する際の説明・指導アと同様に、急性期、回復期及び維持期のリハビリテーションの意義及び内容の違いについて説明を行うとともに、3 (2)にあるような平素からの活動をもとに、当該患者が速やかに介護保険におけるリハビリテーションを受けられるよう、居宅介護支援事業者との調整等を行うこと。

エ 介護報酬における評価入院患者が、医療保険のリハビリテーション終了後、介護保険の居宅サービスを利用することとなる場合には、居宅介護支援事業所は初回加算(Ⅱ)(退院又は退所に当たっての加算)を算定することができること。

(5)当該医療機関における維持期リハビリテーションの実施今般の制度見直しにより維持期のリハビリテーションについては、介護保険によるサービスとなったが、従来、維持期のリハビリテーションを医療保険で行っていた医療機関等においては、急性期から維持期までの一貫したリハビリテーションを当該医療機関において実施できるよう、当該医療機関において介護保険のリハビリテーションを実施することについて検討されたいこと。なお、保険医療機関については、介護保険における指定訪問リハビリテーション事業所等の指定があったとみなされており、当該指定に係る申請は不要であること。