全国介護保険部局長会議における質問と回答(平成 25年 12月 )

自治体向け既に発出Q&A

全国介護保険部局長会議における質問と回答(平成 25年 12月 )

(現時点の検討状況)

この資料は、11月21日の全国介護保険担当部(局)長会議に先立っていただいたご質問のうち、今般の介護保険制度の見直しの考え方などに関する質問についての回答をまとめたものである。

【1.介護保険制度の見直しの目的関係】

質問1 今回の介護保険制度の見直しの目的は何か。

1 今後、2025年に向けて、75歳以上高齢者数が急増するとともに、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加する中で、できる限り住み慣れた地域で暮らせるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進することが重要である。

2 また、介護費用の増加に伴って介護保険料の上昇が見込まれる中で、介護保険制度の持続可能性を高めるために、低所得者の保険料の軽減の拡大や、給付の重点化・効率化も求められている。

3 このため、税・社会保障一体改革の中で、必要な財源を確保しつつ、充実と重点化・効率化を一体的に行う制度改正を検討している。


【2.地域支援事業の充実関係】

質問2 在宅医療と介護の連携強化の内容如何。

1 今後、慢性疾患による受療が多い、認知症の発生率が高い等の特徴を持つ75歳以上の高齢者が増加し、医療と介護の両方を求めるニーズが高まると考えている。

2 また、「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療を目指す医療提供体制の改革の実施を踏まえると、地域包括ケアシステムを構築していく上で、介護サービスなどの充実だけでなく、急性期医療から早期かつ円滑な在宅への復帰を可能とする体制整備等が重要であり、この観点からも在宅医療・介護連携が必要である。

3 このため、在宅医療・介護の連携の推進についてはこれまでもモデル事業等を実施してきたが、その成果も踏まえ、介護保険法の地域支援事業の包括的支援事業に位置づけ、市町村が主体となり、地区医師会等と連携しつつ、全国的に取り組むことを検討している。その際、地域包括支援センターとは別の事業体に委託できる制度的な枠組みの整備についても検討している。

(想定される取組(例))

①地域の医療・福祉資源の把握及び活用

・地域の医療機関等の分布を把握し、地図又はリスト化し、関係者に配布 ②在宅医療・介護連携に関する会議への参加又は関係者の出席の仲介

・関係者が集まる会議を開催し、地域の在宅医療・介護の課題を抽出し、解決策を検討

③在宅医療・介護連携に関する研修の実施

・グループワーク等の多職種参加型の研修の実施

④24時間 365日の在宅医療・介護提供体制の構築

・主治医・副主治医制等のコーディネート

⑤地域包括支援センター・介護支援専門員・介護サービス事業者等への支援

・介護支援専門員からの在宅医療・介護に係る総合的な問い合わせへの対応

質問3 認知症施策を地域支援事業に位置づける理由及びその内容如何。

1 現在、65歳以上高齢者の約7人に1人が認知症高齢者と見込まれており、今後もさらなる増加が予想されることから、認知症施策は非常に重要な課題になっている。

2 また、認知症の人ができる限り住み慣れた良い環境で暮らし続けるためには、住民にとって最も身近な基礎的自治体である市町村の果たすべき役割は大きく、高齢化の状況などの地域ごとの特性に応じて、各地域で認知症の人への支援体制が構築されることが重要である。


3 このため、認知症施策のうち、


➀ 地域の実情に応じた各種サービスの連携支援や相談業務等を行う「認知症地域支援推進員」や

➁ 複数の専門職が、認知症が疑われる人などを訪問し、初期の支援を包括的・集中的に行う「認知症初期集中支援チーム」 の配置などを、介護保険の「地域支援事業」に盛り込んで法律上の制度であるとの位置づけを明確にすることにより、認知症高齢者への支援の充実を図っていきたい。

質問4 地域ケア会議の推進の具体的な内容如何。

1 地域包括ケアシステムの構築を推進し、高齢者が住み慣れた地域での暮らしをできる限り継続できるようにするためには、自立支援に資するケアマネジメントの充実とそれを支える社会基盤の整備の両面からの取組が重要である。

2 この実現の手段として、地域ケア会議は重要であり、個別ケースを扱い、多職種の専門的視点を交えてケアマネジメントの向上を目指すとともに、事例を積み重ねることにより、ネットワーク形成、地域課題の発見、地域に必要な資源開発や地域づくり、さらには介護保険事業計画への反映等政策形成も期待できる。


3 このため、地域支援事業の包括的支援事業の一環として、地域ケア会議を実施することを法律上位置づけ、介護支援専門員の協力や守秘義務等の取扱い等について制度的な枠組みを設けることを予定しており、これにより、これまで以上に市町村が中心となって地域ケア会議を推進していただきたいと考えている。

質問5 生活支援サービスの充実の具体的な内容如何。

1 単身高齢者や支援を必要とする軽度の高齢者が増加する中、地域での生活を継続するため、それらの高齢者の多様なニーズに応えていくことが必要である。


2 このため、ボランティア、NPO、民間企業、協同組合、社会福祉法人等の多様な主体による多様な生活支援サービスが提供されるように、市町村が中心となって地域づくりを進めていくことが重要である。


3 具体的には、

・ ボランティアの発掘・養成・組織化、生活支援の担い手や関係機関のネットワーク化等地域資源の開発、地域のニーズと社会資源のマッチング等を行うコーディネーターの配置

・ NPO、民間企業、住民組織等地域の生活支援サービスに関わる関係者等が参画し、情報交換等を行う協議体の設置 等の取組を地域支援事業の包括的支援事業として実施する枠組みを整備することを予定しており、これを通じて市町村が中心となって地域資源の充実・強化に努めていただきたいと考えている。

【3.予防給付の見直し関係】

質問6 なぜ予防給付の見直しを行うのか。

1 一人暮らしの高齢者や認知症高齢者等が急速に増加し、特に軽度の者を中心に生活支援ニーズの高まる中、給付に馴染まない多様な生活支援サービスが地域で多様な主体により提供される体制の構築が重要である。

2 また、高齢者が自宅に閉じこもらずに地域の中で役割を有することは、介護予防と生きがいにつながるものであり、地域の多様な主体により社会参加の場が確保されることが重要である。

3 これらのことから、市町村が地域づくりに取り組み高齢者自身が担い手として積極的にサービスに参加し、支援を要する高齢者を支える等、高齢者の多様なニーズに対応する多様なサービスが地域で提供されるよう推進していく必要がある。

4 このため、要支援者の訪問介護・通所介護については、全国一律の定型的な予防給付から、市町村が地域の実情に応じて実施する地域支援事業へと段階的に移行することを検討している。

5 具体的には、平成24年度に導入した介護予防・日常生活支援総合事業を発展的に見直し、新しい総合事業として、すべての市町村で平成29年4月までに実施(平成27、28年度は市町村の選択)することを想定している。


質問7 なぜ訪問介護と通所介護に限って移行するのか。

1 単身高齢者の増加、支援を必要とする軽度の高齢者の増加する中、地域での生活を継続するため、それらの高齢者の多様なニーズに応えていくことが必要である。

2 訪問介護と通所介護については、高齢者の様々な生活支援のニーズや社会参加のニーズに応えていくため、多様な主体による柔軟な取組により効果的・効率的なサービス提供ができるように、新しい総合事業にすべて移行することを検討している。

3 これにより、全国一律のサービス内容であった訪問介護や通所介護については、既存の介護事業所による既存のサービスに加えて、多様なサービスが多様な主体により提供され、利用者がサービスを選択可能になると考えている。

4 一方、訪問看護等その他のサービスについては、このような多様な形態でのサービス提供の余地が少ないことから、市町村の事務負担も考慮して予防給付によるサービスのを継続することとしている。

質問8 総合事業の上限の取扱の内容と考え方はどのようなものか。

1 総合事業の実施により、市町村は、既存の介護事業者も活用しつつ、高齢者等住民が担い手として積極的に参加するサービス等地域の多様な主体によるサービスの拡充等を推進し、効率的な事業実施を推進することとしている。

2 その中で、総合事業の上限については、現行制度も踏まえつつ、予防給付から事業に移行する分をまかなえるように設定することを検討している(地域支援事業の上限については、現在基本的に事業全体で設定しているが、総合事業、包括的支援事業など事業の種類ごとに設定することを検討。)。

3 具体的には、当該市町村の予防給付から移行する訪問介護・通所介護と介護予防事業の合計額を基本としつつ、当該市町村の後期高齢者の伸び等を勘案して設定した額とする方向で検討している。

4 また、仮に市町村の事業費が上限を超える場合の対応については、制度施行後の費用の状況等を見極める必要があること等を踏まえ、個別に判断する仕組みなどの必要性について検討している。

質問9 利用料は市町村の判断で設定できるのか。

1 見直しにより高齢者の多様なニーズに対応した多様なサービスが地域に展開されることとなるため、それらについては、一定の枠組みのもと、サービス内容に応じて市町村が設定することが適当と考えている。

※ 住民主体の生活支援サービスについては実費のみ負担するケースも想定

2 一方、従来の給付から移行する既存サービスに相当するサービスの利用料については、要介護者に対する介護給付における利用者負担割合等を勘案しつつ、市町村が設定する仕組みを検討している。その際、利用料の下限については要介護者の利用者負担割合を下回らない仕組みとすることが必要と考えている。

3 国としても一定の指針(ガイドライン)の策定を行い、市町村の取組を支援していくことを想定している。


質問10 既にサービスを受けている者については、事業移行後も引き続き同じサービスを受けられるのか。事業移行後に新規にサービスを受ける者はどうか。

1 今回の予防給付の見直しを通じて、

① 訪問介護等の既存のサービスから住民が担い手として積極的に参加する取組まで、地域での多様な主体による多様なサービスの提供や、

② 地域包括支援センター等が利用者の意向や状態像等を踏まえて行うケアマネジメントによる、適切なサービスの利用 が可能になると考えている。

2 この中で、事業移行前から既にサービスを受けている者については、その状態像等を踏まえ、ケアマネジメントで必要性が認められれば、事業移行後でも、必要に応じて既存サービス相当のサービスの利用が可能となる仕組みを検討している。ただし、時間の経過に伴い、要支援の状態は、自立に向け改善する場合も悪化する場合もあり、その状態像に応じた適切な支援が行われることが重要である。

3 一方、事業移行後に新たに要支援認定を受けた者については、住民が担い手として積極的に参加する取組など多様なサービスの利用を促していくことが重要と考えている。ただし、地域の基盤整備の状況や利用者の状態像等を踏まえ、必要に応じて既存サービス相当のサービスの利用も可能とすることを検討している。


質問11 住民主体のサービスの基盤整備は進まないのではないか。

1 予防給付の見直しに当たっては、高齢者の多様なニーズに応えるため、市町村が中心となって、地域で多様な生活支援サービスが提供されるように創意工夫を行いながら取組を推進することが必要である。

2 このため、既存の介護事業者による訪問介護等によるサービスのほか、例えば、

① 住民主体の通いの場の充実

② 高齢者や地域住民が担い手として参加する生活支援の充実 を図るなど、互助の取組も活用した市町村中心の地域づくりを推進し、地域資源の充実・強化を図っていくことが重要である。

3 現在、介護予防・日常生活支援総合事業に取り組んでいる自治体の中には、例えば、保健師が中心となってボランティアの掘り起こしを行う等積極的に地域の資源開発に取り組むとともに、研修を受けたボランティアを支援の担い手につなげている事例もあり、このような取組も参考にしていただきたいと考えている。

4 国としては、こうした取組も踏まえ、生活支援の基盤整備に資するよう、地域支援事業の充実を通じた支援の強化(コーディネーターの配置等)を図ることを想定している。また、指針(ガイドライン)の中で市町村の創意工夫の例を記載するとともに、好事例を取りまとめてお示しすることを予定しており、市町村の取組を最大限支援していきたいと考えている。

質問12 生活支援の充実に関し、外出支援、寝具類洗濯乾燥などの過去に一般財源化されたものについて、今回の見直し後は地域支援事業を活用できるのか。 


1 予防給付の見直し後も、これまでと同様、三位一体改革等で国庫補助事業から市町村に一般財源化された事業については地域支援事業の財源を充当して実施することはできない。また、現在市町村の一般財源で行われている事業を財源の付け替えで地域支援事業を活用して取り組むことも適当ではないと考えている。

2 市町村におかれては、高齢者の多様なニーズに対応するため、地域 支援事業を活用した生活支援・介護予防の取組の推進に加え、例えば、自治会・町内会による一人暮らし高齢者等への声かけや宅配業者等との協定による見守りなどの「互助」、民間サービスの活用、市町村による取組なども行いながら、重層的な生活支援サービスの提供体制を構築していただきたいと考えている。


質問13 介護予防事業の見直しの目的は何か。

(答)

1 生活機能の低下した高齢者の自立支援のためには、「心身機能」「活動」「参加」のそれぞれの要素にバランスよく働きかけることが重要だが、これまでの介護予防の手法は、心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練に偏りがちであった。

2 このため、これからの介護予防は、高齢者の心身に焦点を当てた機能回復訓練だけでなく、地域づくりなどの高齢者の活動や参加を促す地域や環境へのアプローチも含めた、バランスのとれた取組となるように見直す方向で検討している。

3 具体的には、介護予防事業について、元気高齢者と二次予防事業対象者を分け隔てることなく、住民運営の通いの場を充実させ、人と人とのつながりを通じて参加者が継続的に拡大するような地域づくりを推進するとともに、リハ職等を活かした自立支援に資する取組を推進し、介護予防を機能強化することとしている。


【4.特別養護老人ホームの中重度者への重点化関係】

質問14 なぜ特養の重点化を行う必要があるのか。また、要介護1,2でも特養を必要とする人がいるのではないか。

1 特別養護老人ホームについては、入所を望む重度の要介護者が多数存在すること等も踏まえ、在宅生活が困難である中重度の要介護高齢者を支える施設としての機能に重点化を図ることが必要と考えている。

※ 在宅で要介護4又は5の特別養護老人ホームへの入所申込者は、平成21年の調査で、約6.7万人にのぼる。

※ 一方で、特別養護老人ホームの入所者に占める要介護1及び2の割合は、平成23年で約11.8%であり、新規の入所者についても、約11.7%(約1.6万人)が要介護1及び2となっている。

2 このため、特別養護老人ホームの新規の入所者については、原則として、要介護3以上に限定する方向で検討している。

3 要介護1や2の要介護者であっても、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、市町村の適切な関与のもと、特例的に入所を認める方向で検討している。

※要介護1・2であっても特養への入所が必要と考えられる場合としては、

・「知的障害・精神障害等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難であること」

・「家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であること」

・「認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要であること」


等が考えられ、関係者の意見を聞きながら、法施行時までに一定の基準を示すこととしている。


質問15 制度見直し前から入所中の要介護1・2の入所者については、制度見直し後、どうなるのか。また、要介護3以上で新規に特養に入所した者が、入所後、要介護1又は2に改善した場合、どうなるのか。



1 特別養護老人ホームの既入所者については、現在要介護1及び2の要介護状態で入所している場合のみならず、要介護度3以上の入所者が、制度見直し後に、要介護1又は2に改善した場合であっても、引き続き、継続して入所することを可能とする経過措置を置く方向で検討している。

2 また、制度見直し後、新規に特養に入所した者が、入所後、要介護度が要介護1又は2に改善した場合については、やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、引き続き、特例的に、特養への継続入所を認める方向で検討している。



【5.一定以上所得者の利用者負担の見直し関係】


質問16 なぜ一定以上所得者の利用者負担を2割とするのか。

1 介護保険制度の創設以来、所得に関わらず利用者負担を 1割としており、高額介護サービス費の負担限度額も据え置かれている。

2 一方、高齢化の進展に伴い今後も介護費用が増加し続けることが見込まれる中で、制度の持続可能性を高めることが求められている。

3 保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、現役世代の過度な負担を避けるとともに、高齢者世代内において負担の公平化を図っていくためには、第 1 号被保険者のうち、一定以上の所得のある方に、2 割の利用者負担をしていただくことが必要である。

4 なお、高額介護サービス費の仕組みに基づき利用者負担には月額上限が設けられていることから、負担割合が2割となっても、見直しの対象となる利用者全員の負担が必ず2倍となるものではない。

質問17 医療保険の現役並み所得者とは異なる基準案が提案されているのはなぜか。

1 高齢者医療の利用者負担については、現役世代との均衡という観点から、現役並みの所得がある方という考え方で基準が作られたが、今回の介護保険の利用者負担の見直しは、制度の持続性を高めるために高齢者の世代内で相対的に所得の高い方に負担をお願いするものである。

2 このため、高齢者の世代内で相対的に所得が高い方の基準については、医療保険とは異なる考え方でとらえることとし、第 1 号被保険者全体で所得が上位20%以上の方、すなわち単身で年金収入が 280 万円(合計所得金額 160 万円)以上あるような方であれば、税・保険料や消費支出、今後必要となる医療費や介護費用を勘案しても負担可能な水準であると考え、社会保障審議会介護保険部会に提案している。

3 具体的な基準については、引き続き様々なご意見をいただきながら検討していく。

質問18 高額介護サービス費の負担が上がる人の範囲が一定以上所得者の範囲と異なるのはなぜか。

1 介護サービスについては、医療と比較して予想外に高額になるケースが少なく、利用者負担の額が大きく変動することはあまりない一方、要介護状態は長期間継続する。

2 こうした介護サービスの特性や今回の利用者負担の引き上げによる影響を考慮して、基本的に高額介護サービス費の限度額は据え置くこととしているが、高齢者の世代内での負担の公平化を図る観点から、一定以上の所得のある方の中でも更に所得の高い方についてのみ引き上げることとしている。

3 具体的には、高額医療・介護合算制度との整合性(注)を図る観点から、一定以上の所得者の中でも特に負担能力が高いと見込まれる医療保険の現役並み所得に相当する方に限って、高額介護サービス費の限度額を引き上げる方向で検討している。

(注)高額医療・介護合算には現役並所得の区分が設けられている。


【6.補足給付の見直し関係】

質問19 なぜ、補足給付について、資産勘案等の見直しを行うのか。

1 介護保険では、平成 17年から特別養護老人ホーム等にかかる費用のうち、食費及び居住費は本人の自己負担が原則となっているが、低所得の方が多く入所している実態を考慮して、介護保険三施設及びショートステイを利用する住民税非課税世帯である方については、その申請に基づき、食費・居住費を補助する補足給付を支給している。

2 このように、補足給付は、本来の給付と異なった福祉的な性格や経過的な性格を持っており、

① 食費や居住費を負担して在宅で生活する方との公平性を図る必要があること

② 預貯金や不動産を保有するにもかかわらず、保険料を財源とした補足給付が行われることは不公平であること から、一定額を超える預貯金等の資産のある方を給付の対象外とすること等を検討している。


質問20 預貯金等については、正確な捕捉ができず不公平ではないか。また、事務負担が重いのではないか。

1 現在、個人の預貯金等を統一的に把握できる仕組みがないため、実務上は自己申告の仕組みにより対応せざるを得ないと考えている。

2 この点については様々なご意見を頂いているが、今後、個人番号制度が導入されても直ちに預貯金の把握が可能とはならないことから、完全に資産を把握する仕組みを前提とすると、当面資産の勘案を実現することはできないこととなる。しかしながら、制度の持続可能性と信頼性を高めるためには、在宅で暮らす方や保険料負担者との不公平を是正することが重要であり、現時点で実施可能な手段を用いて、可能な限り負担の公平化を図ることが必要である。

3 実施に当たっては、市町村の事務負担も考慮し、

① 補足給付の受給を希望する者が申請書に必要な書類を添付し、受給要件に該当する旨を申し出ていただく

② 具体的には、本人又は代理する家族等は本人の預貯金等の額を申告するとともに、通帳の写し等を添付する

③ 補足給付の申請書に、場合によっては金融機関への調査を行う旨を明記し、あらかじめ調査への同意を得ることとする。その上で、 保険者は、必要に応じて、現行の金融機関等への照会規定(介護保険法第 203条)を活用して、金融機関等への預貯金の調査を行う

④ また、他制度を参考に、受給者本人に不正受給があった場合の加算金の規定を創設し、補足給付の申請者には、こうした加算金が課されることもある旨を申請書等に記載して周知する といった方法が考えられるが、さらに実施可能な方法について検討を進める。

質問21 預貯金等の「等」とは何か。

1 公平性の観点から、預貯金と同様に活用が可能な現金や有価証券を含めることを検討している。

2 なお、有価証券については、証券会社の口座残高の写し等により確認することが考えられる。

質問22 1000万円超の預貯金を有する方が補足給付を受けずに入居を継続し、後日、1000万円を下回った場合はどうなるのか。

施設に入居時点では預貯金等が1000万円を超え、補足給付を受給できなかった方でも、入居中に預貯金等が1000万円を下回った場合には受給要件を満たすことになるので、申請をすれば給付を受けられることになる。 


質問23 不動産の勘案についての検討状況如何。

1 介護保険部会においては、預貯金等と異なり、すぐに活用することが困難な不動産については、一定額を超える宅地を所有する者を補足給付の対象外とした上で、これを担保とした貸付けの仕組みを設けることを検討した。


2 しかしながら、現時点では、貸付の対象者や資産の評価の在り方、受給者が死亡した後の債権の回収方法など、事業を実施する上での課題を更に整理する必要があり、併せて市町村が不動産担保貸付の業務を委託することができる外部の受託機関を確保することも必要であることから、引き続き検討を続けていくべき課題として位置づけ、今回の制度改正においては実施を見送る方向となっている。


質問24 非課税年金の勘案については、年金の支給情報が市町村に提供されるシステムが必要だが、どのように対応するのか。

非課税年金額を市町村が把握できるようにするため、日本年金機構等から情報を入手する仕組みを検討している。

【7.その他】

質問25 システム改修を円滑に行えるよう、制度や取扱の詳細など改修に係る要件となる事項を早期に提示していただきたい。

介護保険のシステムの改修については、現在、都道府県や市町村のシステム開発業者や国保中央会とも調整しながら検討を進めているが、制度や取扱の詳細も含め、可能な限り早期の情報提供に努めてまいりたい。

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