今回は特養ホーム職員さんからの投稿です。
でも、すごく在宅に関係するテーマだと思っているので、在宅関係者の方も是非、読んでください。
というのも、今後、ますますサービス付き高齢者向け住宅は増加してゆくと思います。
そして、そこでは夜間帯の睡眠やケアなども視野に捉えたケアプランの必要性が高まり、ある意味、現在の介護保険施設のケアプランにも似た部分も出てくるはずです。その点で、在宅ヘルパーやデイサービスの経験しかないままケアマネになった方は、大きなハードルが待っているのではないかと思っています。
理由は「夜の老人」を知っているか、知らないかは非常に壁だからだと思うからです。(本間)
◆投稿・「夜勤シフト組について」
いつも楽しく読んでいます。
私は、特別養護老人ホームで働いている職員です。
夜勤帯にかなり頻尿の方や動くかたが増えています。
そのため職員は、手が出る前の言葉の攻撃になります。
夜勤帯のシフトの組み方や職員に向けての参考資料があればお願いします。
本間さんは、ケアマネージャーですか?
ありがとうございます^ - ^、
(F)
◆
Fさん、お疲れ様です。
夜勤シフトについて、ざっとネット検索してみましたが、これといったものは見つけられませんでした。
というのも、やはり業界のスタンダードとして、「夜間帯の睡眠状況は昼間の過ごし方で決まるから、あくまで昼間のケアに焦点を当てる」という考えがあるからだと思います。
ですから、一般論としては夜勤の人数を手厚くするのではなく、
1)むしろ日中の活性化や
2)水分摂取する時間のコントロール(昼間は沢山、水分をとっても就寝前は控えめにする)
3)個別の排尿間隔のアセスメントから事前のトイレ誘導を行う
4)服薬コントロールミスが生活リズム、睡眠を壊していないか検討する
などがあるかと思います。
そして、中でも介護職の一番のだいご味はやはり1)です。
Fさんの質問を本間の尊敬する相良さん(特養⇒GH)は次のようなコメントを寄せてくれました。
◇
投稿の件ですが、夜間帯に虐待に近い行動が起きてしまう、ということでしょうか。
根底には、施設に入所することで職員から見てご利用者がモノ化してしまう事があると考えます。
なので、施設のケアプラン会議を本人・家族や関係者をお呼びして行うことにし、その人の生活歴や趣味・嗜好・過去の人となりが職員に分かるものにすると良いと思います。
そうすることで、元々の生活習慣で夜は寝ない人だ、など、その[人]が見えてくると思います。
今現在、グループホームの改革を行っていて、センター方式の[私の姿と気持ち]シートをケアプラン会議の前に全職員と家族に書いてもらい課題分析アプローチではなく[その人の生活歴を洗いだし、今までの生活を継続する]アプローチで会議を進めているところで、結果、箸を今までのを使ってみたり、好きだった音楽をかけてみたりと、楽しい提案が出てきています。
話しは飛びましたが、職員が少しでも[昔の人となり]を感じる様に仕向けていくと良いと思います。
上記の会議や昔の写真を居室に張ったり、レクや生活動作でできるところを探したり、笑ったり歌ったり、と。施設介護はどうしても職員本位になりやすいので。
施設介護が職員目線になりやすい事を、職員に啓発する資料としては、[高齢者虐待](新書・作者忘れた)、映画[es]、書籍[あれは自分ではなかったか]は参考になると思います。
主任・リーダー等の立場なら、素早い介護する人やご利用者をネタにして笑いをとる様な人に絶対に迎合せず、ゆっくりやる人やしっかりと人としてご利用者を見ている職員を褒めてあげて下さい。
そこをナァナァにすると良い職員がやる気なくなり、チーム全体の志気が低下していくと思います。(相良 勇)
http://goo.gl/tHjKZe
◇
次に、もう一人の尊敬するIさんは、次のようなコメントをくださいました。
◆
本間さん、相良さんの見解は正しいと思います。
私が付け加えるなら2点です。
1.睡眠リズムの把握、ご利用者が安心して眠れるよう配慮する。
2.夜勤人数は増やせなくとも可能であれば夜勤スタッフ同士で協力する。
夜勤帯のシフト組みについては経験がないのでなんとも言えません。ただ質問者の「夜勤帯にかなり頻尿の方や動くかたが増えています。そのため職員は、手が出る前の言葉の攻撃になります」という言葉はすごくよくわかります。排泄、巡回、記録など夜勤業務をこなさなければならないのに、一人もしくは複数の眠れないご利用者がいらっしゃると仕事が回らない経験は何度もありました。
1.について。できるだけ各ご利用者(特によく眠れない方)の睡眠リズムの把握に努めていました。
大体何時に就寝すれば朝まで良眠できるのか。逆算して就寝時間を設定していました。また、眠れない方は無理に寝かさず起きてもらってました。その方の隣に座って見守りや話をしながら記録をしたり飲み物やお菓子を出したり。好きなテレビ(歌番組、子ども・動物、時代劇)があれば録画をテレビで流したりして。基本的にはとにかくご利用者が落ち着いて眠くなるまで待ちました。
で、2.について。
私がいた特養は従来型で定員50名、ショート6名を2、3階の2フロアに分けて、2名の職員で夜勤(17:30〜9:30)をしていました。
基本的に21時以降は3階(ADLが低いor自立度が高いご利用者が多い)職員が2階(認知症、注意して見る必要があるご利用者が多い)待機でした。
浅眠不眠の方は2階が多いため、2階でそのような方がいると3階職員に見守りを依頼してその間に他の方の対応(排泄介助など)をする。
落ち着いたら3階職員に3階フロア業務に移ってもらう。逆に2階で落ち着かない方の対応を2階職員が行い、3階職員にコール対応してもらう。
などなど連携して不穏な方に対応しながら夜勤業務を進めてました。
ユニットで一人しか夜勤がいなかったり、私のような対応ができない職場も多いでしょう。ただ、夜勤者が複数いて互いのフロアを行き来できる環境であれば協力できる可能性があるのではと思います。
私の回答は以上です。参考になれば幸いです。
◇
Fさん、いかがでしたでしょうか。
施設の事情などいろいろあるかと思いますが、参考になればうれしいです。
あと、夜勤帯のシフト組などの内容については、広い意味で組織マネジメントの部類のテーマになります。
そして、この業界では、あまり組織マネジメントについて語られている有識者などもいません。
ただ、老人保健施設ではありますが、高口光子さんという方がいます。研修などではとても有名な方で、この方は比較的、組織マネジメントについて学ぶべきものがある多いと思います。話もとても面白いです。
以下に、参考書籍を挙げておきます。研修なども数多くされてますので、興味おありでしたら検索してみてください。
「リーダーのためのケア技術論」
http://goo.gl/nyRpTX
追記
◆前回の夜勤シフトについて、増田Sさんより、お便り。ありがとう~。
本間さん、こんにちは。いつも介福メールありがとうございます。
夜勤のマネジメントについてですが、個人的には経験がなくアドバイスはできませ
ん。ただ、関西看護出版で山本陽子先生のセミナー(名古屋、大阪)があるのは気になって
いました。
その先生のセミナー受講の経験も予定もなく、私からは良し悪しは言えませんが。
悩んでいる方の参考になれば幸いです。(増田)
◇
前回のメルマガであまり介護の組織マネジメントについて打ちださたものはないと書きました。しかし、その後、よく考えたら、他にもひとつ、心当たりあがりました。
以下の岡田さんの著書「介護とマネジメント」です。
岡田さんは実践者であり、学識者です。参考になる点もあるかと思われ、情報提供まで~。