2015/12/16

介護事業者等において個人番号を利用する事務について

http://www.roushikyo.or.jp/contents/administration/kaigohoken/detail/668
事務連絡平成271215
公益社団法人全国老人保健施設協会御中
厚生労働省老健局総務課高齢者支援課振興課老人保健課

介護事業者等において個人番号を利用する事務について(依頼)

日頃より、介護保険制度及び老人福祉行政の適正な運営にご尽力いただき、厚く御礼申し上げます。
本年10月以降、個人番号の指定・通知が始まり、来年1月から個人番号の利用や希望者に対する個人番号カードの交付が開始されます。
番号制度導入に向けた準備については、都道府県等に全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議等で着実に準備を進めていただくよう依頼させていただいているところですが、介護事業者等において、サービス利用者の個人番号を取り扱うことが想定される介護保険関係事務等の内容や留意点を別紙にまとめました。
つきましては、これを貴会会員に周知していただくようお願いいたします。なお、介護保険制度における個人番号の取扱いについては、平成271215日付けで各都道府県あてに事務連絡を発出しており、詳細はそちらを参照いただきますようお願い申し上げます。

(別紙1)
1.    個人番号を利用する介護保険関係の事務

(1)個人番号を利用することができる介護保険関係事務について
介護保険制度においては、第1号被保険者の資格取得・喪失や保険料の減免、要介護認定申請等の受付時等には、基本的に保険者が利用者から個人番号の提供を受けることとしているが、例えば、介護保険法第27条第1項に基づき、要介護認定申請の代行申請を行う場合など、介護事業者等が介護サービス利用者等に代わって、個人番号の記載が必要な申請書等を市町村へ提出するような場合が想定されるため、以下の通り対応いただくようお願いしたい。
なお、介護保険制度において個人番号を利用することとなる事務については、別紙2を参照されたい。

1代理人として申請する場合
代理人が申請を行う場合、保険者等で申請書を受け付けられる際等に、()代理権、()代理人の身元、()本人の番号の3つの確認を本人確認のために求められることとなる。それぞれの場面で必要となる書類は下記のとおりである。

()代理権の確認
代理権の確認は、法定代理人の場合は、戸籍謄本その他その資格を証明する書類、任意代理人の場合は委任状によって行われるが、これらが困難な場合は、本人の介護保険被保険者証など官公署等から本人に対し一に限り発行・発給された書類その他の保険者が適当と認める書類で確認する。

()代理人の身元確認代理人の身元確認は、
(i)代理人の個人番号カード、運転免許証等
(ii)官公署から発行・発給された書類その他これに類する書類であって、写真の表示等の措置が施され、保険者が適当と認めるもの((a)氏名、(b)生年月日又は住所が記載されているもの)(居宅介護支援専門員証等)

などによって確認することとなる。これらによる確認が困難な場合には、代理人の公的医療保険の被保険者証、年金手帳など所定の書類2つ以上により確認する。

()本人の番号確認
本人の番号確認は、原則として、本人の個人番号カード、本人の通知カード、本人の個人番号が記載された住民票の写し等によって行われる。なお、これが困難な場合は、保険者等において、地方公共団体情報システム機構(住民基本台帳ネットワーク)や、住民基本台帳等によって確認することが可能である。

2 1以外の場合
ア 代理権の授与が困難な被保険者に係る申請を行う場合
本人認知症で意思表示能力が著しく低下しており、代理権の授与が困難である場合等には、申請書に個人番号を記載せずに市町村に提出すること。

イ 代理権のない使者として申請する場合
本人の代わりに使者として申請書の提出をするに過ぎない場合は、個人番号が見えないよう、申請書を封筒に入れて提出する等の措置を講じて市町村に提出すること。この場合、本人から郵送により個人番号の提供をする場合と同様の本人確認措置()が行われることとなる。
※本人による申請の場合の本人確認措置(別紙3も参照)
本人が自ら申請を行う場合、保険者等で申請書を受け付けられる際等に、()本人の番号、()本人の身元の2つの確認を本人確認のために求められることとなる。それぞれの場面で必要となる書類(郵送の場合は、写しでも可)は下記のとおりである。

()番号確認本人の番号確認は、本人の個人番号カード、本人の通知カード、本人の個人番号が記載された住民票の写し等によって行われる。これらが困難な場合は、保険者等において、地方公共団体情報システム機構(住民基本台帳ネットワーク)への確認や、住民基本台帳の確認等によって番号確認をすることが可能である。

()身元確認本人の身元確認は、(i) 個人番号カード(ii) 運転免許証等(iii) 官公署から発行・発給された書類その他これに類する書類であって、写真の表示等の措置が施され、個人番号利用事務実施者が適当と認めるもの((a)氏名、(b)生年月日又は住所が記載されているもの)などによって行われる。 これらによる確認が困難な場合には、公的医療保険の被保険者証、年金手帳など所定の書類を2つ以上提出させることにより確認する。(介護保険被保険者証と負担割合証等)

(2)留意事項
上記のとおり、介護事業者は、本人から委任された権限の範囲内で個人番号を利用する事務を行っているに過ぎないため、これを超える範囲で個人番号を利用することは認められない。例えば、申請時に視認した個人番号を事業所に記録しておき、それを利用して介護サービス利用者の情報管理を行うことなどは許されない。
個人番号が記載された申請書等のコピーを事業所等で蓄積することについては、法令上求められているものではないが、業務上の必要でコピーを蓄積する場合は、個人番号の記載箇所の黒塗り等での対応により個人番号が蓄積されないように注意されたい。
また、上記の通り行う申請が郵送による場合は、本人確認のための書類は、写しを提出することとして差し支えないこと。

2.個人番号を利用する介護保険以外の事務
個人番号は、税や社会保険制度等に活用されるものであるため、介護事業者においては、従業員等の給与所得の源泉徴収の事務や健康保険・厚生年金保険被保険者資格の取得届等、様々な事務で個人番号を取り扱うこととなる。
これら、事業者としての個人番号の取扱いについては、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(特定個人情報保護委員会)を参照の上、各事業者において適切に個人番号を取り扱っていただきたい。

3.Q&A
Q1民間事業者がマイナンバー(個人番号)を取り扱うにあたって、注意すべきことはありますか?

A1原則としてマイナンバーを法に定められた利用範囲を超えて利用することはできませんし、特定個人情報(マイナンバーをその内容に含む個人情報)をむやみに提供することもできません。また、マイナンバーを取り扱う際は、その漏えい、滅失、毀損を防止するなど、マイナンバーの適切な管理のために必要な措置を講じなければなりません。具体的な措置については、特定個人情報保護委員会からガイドラインが示されていますので、そちらをご覧ください。なお、特定個人情報を不適正に取り扱った場合には、特定個人情報保護委員会から指導・助言や勧告・命令を受ける場合があるほか、正当な理由がないのに、個人の秘密が記録された特定個人情報ファイル(マイナンバーをその内容に含む個人情報ファイル)を提供した場合などには、処罰の対象となります。
特定個人情報の取り扱いにあたっては、内閣官房のホームページの資料を参照ください。

Q2事業者において、従業員のマイナンバーを取り扱うのと利用者のマイナンバーを取り扱うのとでは、違いがあるのですか?

A2違いがあります。従業員のマイナンバーを取り扱う場合(従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し、給与所得の源泉徴収票や社会保険の被保険者資格取得届などに記載して、行政機関などに提出する等)、事業者は番号法上の「個人番号関係事務実施者」にあたり、その業務の範囲等も法令上定められているものとなります。
一方、利用者の個人番号の取り扱いについては、介護保険法第27条第1項に基づく要介護認定申請の代行申請を行う場合等も、利用者やその家族との合意に基づいて行われるものとなります。
取扱いにおける罰則についても違いがあります。(Q3参照。)

Q3番号法にはどのような罰則がありますか?

A3番号法では、個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっています。具体的には下の表のとおりです。
〔民間事業者や個人も主体になりうるもの〕
<略>

Q4故意でなく個人番号や特定個人情報等が漏えいしてしまった場合でも罰則が適用されますか?(:サイバー攻撃等で情報が漏れた場合等)

A4過失による情報漏えいが発生した場合について、即座に罰則が適用されるということはありません。ただし、漏えいの様態によっては、特定個人情報保護委員会から改善を命令される場合があり、それに従わない場合には、罰則が適用されることはありえます。以上は刑事罰の場合ですが、民事の場合は、過失でも損害賠償請求をされる可能性はあります。

【参考】刑法法規の解釈・適用は裁判所や捜査機関の権限となりますので、一般論となりますが、特定個人情報の漏えいが起きた場合には、番号法第67条から第75条に基づき、罰則の構成要件に該当すれば、処罰されます。これらの罰則は、故意がなければ構成要件を満たしません。

Q5マイナンバー(個人番号)を使って、従業員や顧客の情報を管理することはできますか?

A5マイナンバーは、法律や条例で定められた社会保障、税、災害対策の手続き以外で利用することはできません。これらの手続きに必要な場合を除き、民間事業者が従業員や顧客などにマイナンバーの提供を求めたり、マイナンバーを含む個人情報を収集し、保管したりすることもできません。法律や条例で定められた手続き以外の事務でも、個人番号カードを身分証明書として顧客の本人確認を行うことができますが、その場合は、個人番号カードの裏面に記載されたマイナンバーを書き写したり、コピーを取ったりすることはできません。

Q6個人番号が記載された書類等を利用して、個人番号関係事務以外の事務で個人情報データベース等を作成したい場合は、どのように作成することが適切ですか。

A6個人情報保護法においては個人情報データベース等の作成に制限を設けていないことから、個人番号部分を復元できないように当該部分を黒塗りする等のマスキング処理をして個人情報保護法における個人情報とすることにより、個人情報保護法の規定に従って個人情報データベース等を作成することができます。



Q7個人番号を各種申請書等に記載することになるにあたり、個人番号を把握していない者、失念した者、個人番号カードを携帯していない者等が申請を行うことはできないのですか?


A7申請書等に個人番号を記載することが各制度における法的な義務であることに鑑み、各種申請を初めて行う際には、原則として個人番号の記載が求められます。

その際、申請者が自身の個人番号がわからず申請書等への個人番号の記載が難しい場合等には、市町村の住民基本台帳ネットワークを用いて当該申請者の個人番号を検索し、職員が記載して差し支えないこととなっています。
また、同一の給付に係る2回目以降の申請等の際には、保険者において当該申請者の個人番号を既に保有していると確認できる場合には、申請窓口において個人番号の記載を求めないこととしても差し支えないこととされています。

さらに、高額介護サービス費の支給等について、申請書の記載内容の工夫などにより実質的な申請は初回時のみで足りるようにしている場合には、番号制度の施行以前に既に初回時の申請が行われている者については、改めて番号の記載された申請書の提出を求めなくても良いこととなっています。

Q8認知症であり、かつ、家族や成年後見人のいない利用者等が施設に入所している場合、マイナンバーの管理はどのように行えば良いですか?

A8通知カードや個人番号カード、個人番号が記載された申請書など特定個人情報が記載された書類については、利用者本人、家族や成年後見人等の代理人が保管することが基本です。ただし、心身の機能や判断能力の低下等により、利用者本人による保管が困難で、かつ家族や成年後見人等の代理人がいない場合など、これによることが困難な場合は、施設において保管しても差し支えないです。また、この場合は、以下の取扱いとすることとされています。
(1)可能な限り、施設に特定個人情報が記載された書類の保管を委託することについて、利用者本人の意思を確認すること。
(2)特定個人情報が漏えいすることのないよう、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)(特定個人情報保護委員会)を参考にして、適正に取り扱うこと。また、特定個人情報の漏えいを防止する観点から、通知カードや個人番号カードなど個人番号をマスキングすることができない書類を除き、個人番号部分を削除又は復元できない程度にマスキング等を行い、特定個人情報に該当しないよう加工した上で、保管することが望ましいこと。
(3)なお、家族や成年後見人等の代理人がいない利用者については、利用者本人による通知カード等の保管が困難となった場合の取扱いについて、あらかじめ利用者本人の意思を確認しておくことが望ましいこと。

※施設で特定個人情報を保管する場合は、例えば以下の場面を想定しています。
・施設に通知カードが届いた場合
・利用者本人が、通知カードや個人番号カード、個人番号が記載された申請書など特定個人情報を管理していたものの、その後、心身の機能や判断能力の低下等により、当該書類の保管が困難となる場合等

(別紙2)

介護保険制度において個人番号を利用することとなる事務について

※個人番号を利用する主要な事務を列挙しており、全ての個人番号を利用する事務は記載されていないことに留意。
※現時点での記載であることに留意。


マイナンバーの記載及び本人確認が必要な主な手続に係る申請書・届出書

◆資格・保険料関係

・介護保険資格取得・異動・喪失届
・介護保険住所地特例適用・変更・終了届
・介護保険被保険者証等交付申請書
・介護保険被保険者証等再交付申請書


要介護(要支援)認定関係

・介護保険要介護(更新)認定・要支援(更新)認定申請書
・介護保険要介護(要支援)認定区分変更・要支援者の要介護認定申請書


給付関係

・居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書

・介護予防サービス計画作成依頼(変更)届出書
・介護保険高額介護(予防)サービス費支給申請書
・基準収入額適用申請書
・介護保険高額医療合算介護(予防)サービス費支給申請書(兼領収書)・自己負担額証明書交付申請書
・介護保険負担限度額認定申請書
・介護保険特定負担限度額認定申請書
・介護保険(特定)負担限度額差額支給申請書

・居宅介護(介護予防)福祉用具購入費の支給
・居宅介護(介護予防)住宅改修費の支給

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