時に、人は立ち直れない程の喪失体験をする。
その原因は災害であったり、事故であったり、病気であったり、
それほどの大きな喪失を私たちは簡単に受け入れられない。
なんとか元通りに回復しようとする。
なんとか喪失を補てんしようとする。
それでも失ったもので元に戻らないものもある。
そんな喪失体験の中で、最大の危機は、
自分にとってかけがえのない人を失うことで世界が終わったような
生きているのが辛くなる。
「喪失」した自分を受け入れられない。
そんな弱さを持っている存在こそがヒトなのかもしれない。
一方、「専門家」を名乗る自分の言動といったら、どうだ。
「障害という喪失を受容することが大事」なんて、
「できない部分や問題にばかり目を向けるのではなく、
自分だって簡単にできもしないことを、
「良く言うよ」と。
それなのに、トメさんの笑顔といったら、どうだ。
体は自由に動かないし、言葉もちゃんと話せない。
頭の方も大分、怪しく、自分の子供すら忘れかけている。
喪失だらけの存在だ。
自分が何を持っていて、何を喪失したのかさえ、
にも関わらず、今日も何事もなかったかのように、満面の笑みで、
今、ここで起きている現象にしか意識が行っていない。
援助しているのは援助職である自分なのか、
今さっき、食べたばかりなのに、次の瞬間には忘れてしまい、「