管理者=主任ケアマネ案にみるケアマネ業界の暗雲



平成30年4月より居宅介護支援の基準が改正され、3年の猶予はあるものの管理者は主任ケアマネでなければならない、とされました。

これについては拙著「2018年度改正を乗り切る!事業者のための介護保険制度対応ナビ」を読んでいただくとして、今回は本改正から読み取れる介護支援専門員の職能団体を名乗る日本介護支援専門員協会(以下、「日本協会」)について書かせていただこうと思います。

さて、「管理者=主任ケアマネ」とするそもそもの話がどこからでてきたのかを調べると、以下の国が行ったケアマネのあり方に関する調査研究資料にあたります。

平成27年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(平成28年度調査)
(5)居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業報告書

しかし、上記は膨大な資料すぎて分かりずらいため、上記の統計をまとめ、抜き出したのが以下の資料です。

(5)居宅介護支援事業所および介護支援専門員の
業務等の実態に関する調査研究事業(結果概要)案

なお、上記資料は平成29年2月集計・分析され、その後、とりまとめられました。いずれも厚生労働省が主管の統計です。

さて、ここからが奇妙なのですが、日本協会は今般の改正に向け、平成29年11月22日つまり、上記の統計後に国に要望書を出します。それが以下の要望書になります。

平成30年度介護報酬改定にあたっての要望

上記、要望書の中で、日本協会は居宅ケアマネの「管理者を主任介護支援専門員とすべき」と要望しています。

その後、国がケアマネ運営基準に、管理者要件を主任ケアマネとする旨を発表しました。

つまり、ケアマネの職能団体が「管理者=主任ケアマネ」と要望したから応えてあげましょう、という体裁がとられています。

ですから、たとえ現場のケアマネジャーなどが反対しようが、厚生労働省的には「現場の代表が要望しており、それに応じたまでですから」と突っぱねることができます。

さて、ここで疑問なのですが「管理者=主任ケアマネ」という要望は全国各地の職能団体や現場のケアマネからどれほどあったのでしょうか?

私の知る限りでは、そうした要望は一切、聞いたことがありません。

東京都介護支援専門員協議会は、「管理者が主任ケアマネジャーであることが人材育成に資することとなるかは検討の余地が大きい。」と管理者=主任ケアマネ案に疑問を呈しています。

http://cmat.jp/extrainfo/776.html

なぜ、日本協会は現場が要望していないことを、あたかも現場の要望のように発表したのでしょうか。そこに大いなる疑問を抱きます。

そして、日本協会という団体は、現場か厚生労働省か、いずれの方向を見ているのか、ということにも疑問を抱かざるをえません。

あらかじめ厚生労働省と水面下で改正の絵図を描き、そのシナリオを押し通すために、「要望→対応」といったお芝居をしているとすれば、残念なことです。

そればかりか、現場のケアマネがまったく希望など出したこともない要望をあたかも現場のケアマネの要望のように出す様には、大きな不信を抱きます。

なお、今回の改正にあたって、現に主任ケアマネの資格を有しているケアマネなどは大きな影響も少ないと思われ、その反発は大きくないかもしれません。

しかし、注視すべきは、その内容ではなく、決定プロセスなのではないでしょうか。

自分達が望んでもいない要望を、あたかも現場の要望のように訴えられ、厚生労働省の意向に沿う制度改正の後押しをする団体が日本協会という団体だとすれば、今回はよくても、次回の改正時には、また、別の現場の要望とはかけはなれた要望をだされかねないのではないでしょうか。

現場で尊い汗を流しながら、業務にかけずりまわる、たった一人のケアマネの努力が報われる制度改正を望んでやみません。