2018/04/12

5/9【東京】ケア交流会 ホンとの話(本間&柳本企画)



一冊の本を話のとっかりにしつつ、介護を語り合う交流会、読書会「本との話」のお知らせです。
◆5/9【東京】ケア交流会 ホンとの話(本間&柳本企画)
2018年5月9日(水) 
190022:00くらい 
*参加費:1000
*主催:本間清文&柳本貴文(グレースケア機構)
*月 1回、本を酒の肴にしながらケア・介護に関する語り場を開催しています。一見さん歓迎。詳細は以下。

▼今回の持ち寄りホンはこれ▼
磯野真穂著「医療者が語る答えなき世界~『いのちの守り人』の人類学」(ちくま新書)
864円

◆参加方法
以下の手順でお申し込みください。
日時:5/9(水)19-22時00分くらい
場所:グレースケア機構(東京都三鷹市下連雀3-17-9)
費用:1000円(軽飲食付き。差入れ歓迎!)
※道順:JR三鷹駅南口を出て直進、エスカレーター下り、マックの交差点を左折。右側3本目の路地(和食工房と連雀不動産の間)を右折。道なりにやや左に折れた先、右側の駐車場の奥がグレースケアです。小さい路地を右折、突き当たり右側の門からお入りください。徒歩7分

◆申込:タイトルを「読書会希望」としてお名前と参加人数、返信先をお書きの上、メールならselfcare2010@yahoo.co.jpまで。(ツイッター、FBコメント等でも可)
一冊の本を話のとっかりにしつつ、介護を語り合う交流会、読書会「本との話」のお知らせです。

◆持ち物:前述のテーマ本を少しずつ回し読みしなが進行します。各自、書店などでご購入の上、ご持参ください。当日、会場でも購入可能です。(最初は様子見希望の方は無理して購入してこなくてもかまいません。)

※前回参加者:特養ホーム介護職、地域包括センター、ホームヘルパー、社会福祉法人事務員、デイサービス介護職、居宅ケアマネ、看護師、柳本、本間 
◆what’s 読書会?
そもそも読書とは一人で行い、味わい、深めるもの。何を感じるのかは人それぞれの自由。ゆえに、同じ文章でも人によって感じ方は違う。他の人の感想や意見を交流させることで個として行う読書を重層的、多層的に広げていく場を目指しているのが読書会…なんて、一見、硬派な体裁をとってはいるものの!
その実態は3分の1は飲み会であり、4分の1程は異業種交流会であり、4分の1程はゆるい研修会であり、残りの何パーセントかは、思春期の中高生男子が読んではイケナイ写真誌を回し読みするようなアンダーグラウンドなイベント。それが、「本との話」。
ゆえに、参加者には介護関係者はもちろんのこと行政職員やマスコミ、学識者など多彩なメンバーが入れ替わり出入りする得体のしれないイベントでもあります。一見さん、冷やかしさんも歓迎しておりますので、恐いもの見たさで来ていただくのもいいかもしれません。
 ちなみに、この本間と柳本氏の共催読書会「本トの話」ですが、開始してかれこれ4年になります。進行パターンは大体、決まっていて最初の1時間~90分は本を読んだりトークしながら交流会のような勉強会のような感じ。そして、830分頃からは本番じゃなかった、第二部ということでアルコール、食事などが出てきてフリータイムとなり夜も更けてゆく・・・といった感じです。最近では介護職、ケアマネなど介護関係者のみならず行政職員、議員、学識者、編集者、ライター、シルバービジネス関係者など「業界包括ケア的」な面々が集う場になってきました。

◆今回の課題図書について(メルマガ・セルフケアより)
「リハビリ病院は、急性期を乗り越えた人々が訪れる病院であるため、当然のことながらリハビリの成果は目に見えて出やすい。しかしそのことが「自分の訓練がよいからよくなっているのだ」という自分の技量に対する過剰な自信につながる危険があるのではないかと美馬は話す。」

これは、磯野真穂著「医療者が語る答えなき世界~『いのちの守り人』の人類学」(ちくま新書)の一節である。

 2017年9月13日(水)からのケア交流会「本との話」の課題図書として、本書を選んだ。

ちなみに、当読書会では、これまで以下のラインナップを取り扱ってきた。

・「関係障害論」三好春樹著
・「良い支援?―知的障害/自閉の人たちの自立生活と支援」寺本 晃久他著
・「ケアのカリスマたち―看取りを支えるプロフェッショナル」上野千鶴子著

これまでの扱った本のテーマがざっくりと「介護」「知的障害」「制度」と続いてきたので、本書のテーマが「医療」ということでバランス的にもよいと思っている。
そして、冒頭の部分を読んだとき、私は『あるある』だなぁ、と感じた。いや、私は医療職ではない。だから、『あるある』とまるでセラピストのような所感を述べるのは間違っているのかもしれない。しかし、非常に共感できる一節に感じた。

 その一方で、本書には、対極的な医療者のエピソードが沢山、出てくる。対極的とは、いわゆる「医療的ではない医療」のエピソードという意味である。例えば、身体拘束・抑制を行う看護師、例えば改善可能性が低い療養病床の理学療法士、例えば失語症高齢者に対峙する言語聴覚士などである。

 つまり、エビデンス・ベースド・メディスン(根拠に基づく医療)や治す医療といったイメージが一般的な医療であるのに対して、本書が汲み取るのは、そこからこぼれおちそうな医療の諸場面である。時に、同業者から、そんなものは医療とはみなさないと白眼視すらされかねない領域で医療職として従事する人々の姿である。
 おそらく、本書を医療関係者が読むとき、読後抱く感想はかなり幅を持ったものになるだろう。自らの取り組む医療との距離感によって、共感か反発か、その中間かなど多様な感想が広がることだろうと思う。

 しかし、本書を「介護」の観点から読むとき、読者が抱く感想はガラリと変わるはずだ。医療従事者のように多様な感想が広がるのではなく、かなり統制された感想が出るのではないかと思う。

 それをあえて言葉にすれば「これって『介護』の領域だよね」という感覚に近いと思う。だから、読んでみて、新しい世界に触れるような驚きはない。しかし、強いていうなら、

“納豆を西洋人が食べた感想”

を聞くような体験に近いかもしれない。

自分にとっては、珍しくもない日常を、異文化の人がどのようにとらえているのか、という角度を変えた見方ができる。

 その意味で、本書は「介護」を医療の観点から見ることができる、といえると思う。

 また、医療技術が発達したがゆえに、誕生した医療の陰の部分が「介護」だとするならば、本書は「介護」が誕生する瞬間を切り取っているともいえなくもないかもしれない。

その意味で、ここには「介護の原形」※がある、ともいえるかもしれない。

 その点で、いろんな立場の人間がケアについて語る上で、いろんな切り口が予想でき、面白い交流の場になりそうだ。

 「本との話」は、それぞれ一冊の本を1年近くかけて読み、語り尽くしていくので、かたつむりのようなスロー読書会です。ご興味、ご関心ある方など、よろしければお越しください。

※現在の介護は、本書における「介護の原形」からはるかに進化し、デイサービスや小規模多機能型居宅介護、宅老所、グループホームなど独自のものに昇華している。それら介護の発展形からすれば、やや物足りない気はするが、本書は「介護」を語る本ではない。あくまで医療を語ろうとしている本である。その点が、介護側の読者としては残念な気がしないでもない。著者には、いつか「介護」をどっぷりとらえた研究をしてもらいたいところだ。

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