2012/10/12

第6回ケアマネあり方検討会資料について


※「利用者や家族の要望のみに基づいたケアマネジメントではなく、自立支援を前提としたケアマネジメント」という注目すべき言葉が登場してきています。
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第6回介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会
日時:平成241010日(水)10:0012:00
議事次第

6(H24.10/10
本検討会の議論を踏まえた主な課題と対応の方向性(案)

◆1.検討の背景
(1)社会保障審議会介護給付費分科会、介護保険部会の報告
<介護給付費分科会(平成23年12月7日>
○ケアマネジメントについて、様々な課題()が指摘されていることを踏まえ、ケアマネジメントの在り方の検討の必要性を指摘。
特に、施設におけるケアマネジャーの役割、評価等の在り方について、次期介護報酬改定で結論と指摘。
※指摘されている課題
・利用者像や課題に応じた適切なアセスメントができていないのではないか。
・サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していないのではないか。
・医療関係職種との連携が不十分なのではないか。
・施設におけるケアマネジャーの役割が不明確なのではないか。等

<介護保険部会(平成22年11月30日>
○ケアプラン、ケアマネジャーの質の向上について、以下の指摘
・地域包括ケア実現のため、
・介護保険外のサービスのコーディネート、関係職種との調整
・重度者について医療サービスを適切に組み込む
・自立支援型、機能促進型のケアプラン推進
・ケアマネジャーの独立性、中立性を担保する仕組みを強化
・ケアプランの様式変更やケアプランチェツクなどに取り組む
・ケアマネジャーの資格のあり方や研修カリキュラムの見直し、ケアプランの標準化等
・セルフケアプランの活用支援の検討

○施設のケアマネジャーの位置づけの明確化が必要との指摘
※平成23年11月30日の介護保険部会の「議論の整理」においても、ケアマネジメントの機能強化に向けての制度的対応の必要性の指摘。
→第6期の介護保険事業計画での施行に向けた制度見直し、次期介護報酬改定を念頭に置いて、検討を進める。

()社会保障・税一体改革
○医療・介護のサービス提供体制の効率化・重点化と機能強化
・医療との連携による地域包括ケアシステムの構築
・介護支援専門員の専門性向上によるケアマネジメントの機能強化
・自立支援に資するケアマネジメントによる介護予防・重度化予防

○―体改革にあわせて、厚生労働省から、地域包括ケアシステム構築などを踏まえた、2025年に向けた費用推計及びサービス提供体制の必要量を示している。
今後、団塊の世代が2025年に向け後期高齢者となっていき、医療・介護サービスの必要量も大きく増えていくことが見込まれるが、上記試算では、在宅医療・介護において、多くの需要を受け止める姿となっている。

2.これまでの指摘、本検討会の議論を踏まえた検討すべき主な課題

<1>介護保険の理念である「自立支援」の考え方が、十分共有されていない。
3(1)介護保険における「自立支援」の考え方の徹底、
3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、
3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<2>利用者像や課題に応じた適切なアセスメント(課題把握)が必ずしも十分でない。
3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<3>サービス担当者会議における多職種協働が十分に機能していない。
>3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(4)医療との連携、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<4>ケアマネジメントにおけるモニタリング、評価が必ずしも十分でない。
>3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<5>重度者に対する医療サービスの組み込みをはじめとした医療との連携が必ずしも十分でない。
3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(4)医療との連携、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<6>インフオーマルサービス(介護保険給付外のサービス)のコーディネート、地域のネットワーク化が必ずしも十分できていない。
>3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(4)医療との連携、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<7>小規模事業者の支援、中立・公平性の確保について、取組が必ずしも十分でない。
>3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(3)保険者機能の強化<2>…その他

<8>地域における実践的な場での学び、有効なスーパービジョン機能等、介護支援専門員の能力向上の支援が必ずしも十分でない。
>3(2)保険者機能の強化<1>…地域ケア会議、3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<9>介護支援専門員の資質に差がある現状を踏まえると、介護支援専門員の養成、研修について、実務研修受講試験の資格要件、法定研修の在り方、研修水準の平準化などに課題がある。
>3(5)介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<10>施設における介護支援専門員の役割が明確でない。
>3(6)施設における介護支援専門員
上記の課題については、ケアマネジメントの向上、介護支援専門員の資質の向上の両面を含んでおり、介護支援専門員とともに、国、都道府県、保険者、事業者等が役割分担をしながら取り組んでいくことが必要。

3.本検討会の議論を踏まえた、主な課題に対する対応の方向性()
(1)介護保険における「自立支援」の考え方の徹底

<基本的考え方>
法第2条第2項から第4項、第4条の周知、利用者・家族を含めた関係者における共有を図る。
利用者の意向を踏まえつつ、自立支援に資するケアマネジメントの推進を図る。
利用者や家族の要望のみに基づいたケアマネジメントではなく、自立支援を前提としたケアマネジメント
【第2条】(介護保険)
1介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。
2前項の保険給付は、要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するように行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
3第1項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
4第1項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。

【第4条】(国民の努力及び義務)
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態になった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
<考えられる対応方策>
運用面・実践面の強化、保険者等による周知・啓発(自立支援に資するケアマネジメントの推進み地域ケア会議の強化)

()地域ケア会議の機能強化等(保険者機能の強化<1>)
<基本的考え方>
○保険者によるケアマネジメントや介護支援専門員の支援という視点で機能強化を図る。
○自立支援に資するケアマネジメントを実現するため、多職種協働のケアカンファレンス(サービス担当者会議や退院時のカンファレンス等)や地域ケア会議の機能強化を図る。
○地域ケア会議は多くの保険者で取り組みが進んでいるが、個別ケースの支援内容の検討を通じて地域包括ケアシステムの実現を図る観点から、その機能を強化する。

<1>地域包括支援センターにおける地域ケア会議を制度的に位置付ける。

(地域ケア会議の目的)
個別ケースの支援内容の検討を通じた、
・高齢者の実態把握や課題解決のための地域包括支援ネットワークの構築
・地域の介護支援専門員の、法の理念に基づいた高齢者の自立支援に資するケアマネジメントの支援
・個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握等

(地域ケア会議の開催意義)
・自立支援に資するケアマネジメント支援
・医療との連携、インフォーマルサービスの組み込み、処遇困難事例に対する支援
・実践を通じた、多職種によるアセスメント能力などの介護支援専門員の資質向上の支援
・地域における課題の発見、地域のネットワーク化、社会資源の開発
・介護支援専門員の独立性・中立性・自律性の確保
・小規模事業所の支援
・日常的な多職種の学びの場

<2>地域ケア会議を通じて地域の課題を把握し、保険者は課題解決に向け、介護保険事業計画の策定等に反映する。

<3>現在、指定介護予防支援事業者として地域包括支援センターが作成することを基本としている介護予防支援(介護予防プラン)について、あり方を検討する

<4>地域ケア会議におけるスーパーバイズ、介護支援専門員の指導・支援といった機能を適切に図ることができるよう、主任介護支援専門員の機能一役割について見直しを検討する。

<5>居宅介護支援の評価のあり方について、居宅介護支援における給付管理業務、ケアマネジメント業務、地域ケア会議との連携等、その果たす役割一機能が適切に反映されるよう検討する。

<6>自立支援に資するケアプランや地域ケア会議について、当事者が具体的なイメージを持って取組みを推進することができるよう、国として事例の集積・発信に取り組む。
<考えられる対応方策>
法制度上の位置づけ、介護報酬の検討、運用面・実践面での強化等

()保険者機能の強化<2>
<基本的考え方>
○地域ケア会議での保険者の役割の強化を図っていく中、居宅介護支援事業所の指定権者を市町村(保険者)とすることを検討する。
<考えられる対応方策>
法制度上の見直し

()医療との連携
<基本的考え方>
○重度者、医療の必要性が高い利用者が増える中で、医療との連携強化を図る。
・ケアマネジメントを行う際の医療との連携、重度者等のケアプランヘの適切な医療サービスの組み込みを促進するとともに、急性期、回復期の入院から退院後の在宅への移行時等における適切な連携を促進する。
<考えられる対応方策>
運用面・実践面での対応、地域ケア会議、在宅医療連携拠点

()介護支援専門員・ケアマネジメントの質の向上

<基本的考え方>

○ケアマネジメント・プロセスを可視化するとともに、ケアカンフアレンスにおける多職種協働の円滑化を図るため、アセスメント情報からケアプラン作成に至る思考過程を明確にする、共通の「課題抽出シート」の導入に向けた検討を行う。

○現状のケアプランの実態を把握し、改善点を明らかにしていく取組みとして、「ケアマネジメント向上会議(仮称)等の取組みを通じて、具体的事例に基づいて、公開の場でケアマネジメントの評価・検証を行う

○多職種協働により、利用者の自立支援に資する適切なサービス提供が行われるような実効性のあるケアカンフアレンスが開催されるよう徹底する。

短期目標の結果を総括し、次期の居宅サービス計画を作成する際に踏まえるべき事実を整理できるよう、ケアプランの評価・見直しに関する様式の導入に向けた検討を行う。

○ケアマネジメントを評価するにあたり、アウトカムの内容やプロセスを明確にするため、調査一研究を進める。

○介護支援専門員の専門性(知識、技能)の向上を図るため、
・実務研修受講試験の受験要件を見直す。
・介護支援専門員の研修カリキュラムや研修方法を見直す。
・研修指導者のためのガイドラインを策定する。

○「居宅」、「居住系サービス」、「施設」、「地域包括支援センター」等、介護支援専門員が現に従事している事業所が多様であることを踏まえた実践的な専門研修とする。
<考えられる対応方策>
試験・研修制度の見直し、運用面・実践面での対応(様式の策定、ガイドラインの作成等)
調査一研究

()施設における介護支援専門員
<基本的考え方>
○施設の介護支援専門員については、在宅の介護支援専門員のあり方についての議論や施設ケアプランの実態等も踏まえ、
・施設においても在宅あるいは地域との連続性を確保するためのケアマネジメントのあり方
・介護支援専門員を施設におけるケアカンフアレンス等の調整役として位置付けること
・生活相談員(特養)や支援相談員(老健)の行う相談支援業務との関係を整理すること
について検討する。

【介護保険法第7条第5項】
「介護支援専門員」とは、要介護者又は要支援者からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスを利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、地域密着型サービス事業を行う者、介護保険施設、介護予防サービス事業を行う者、地域密着型介護予防サービス事業を行う者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有するものとして第六十九条の七第一項の介護支援専門員証の交付を受けたものをいう。

【指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準第12条抜粋】
2計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に当たっては、入所者の日常生活全般を支援する観点から、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めて施設サービス計画上に位置付けるよう努めなければならない。

3計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成に当たっては、適切な方法により、入所者について、その有する能力、その置かれている環境等の評価を通じて入所者が現に抱える問題点を明らかにし、入所者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しなければならない。

4計画担当介護支援専門員は、前項に規定する解決すべき課題の把握(アセスメント)に当たっては、入所者及びその家族に面接して行わなければならない。この場合において、計画担当介護支援専門員は、面接の趣旨を入所者及びその家族に対して十分に説明し、理解を得なければならない。

5計画担当介護支援専門員は、入所者の希望及び入所者についてのアセスメントの結果に基づき、入所者の家族の希望を勘案して、入所者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、指定介護福祉施設サービスの目標及びその達成時期、指定介護福祉施設サービスの内容、指定介護福祉施設サービスを提供する上での留意事項等を記載した施設サービス計画の原案を作成しなければならない。

6計画担当介護支援専門員は、サービス担当者会議の開催、担当者に対する照会等により、当該施設サービス計画の原案の内容について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。

9計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画の作成後、施設サービス計画の実施状況の把握(入所者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて施設サービス計画の変更を行うものとする。

10計画担当介護支援専門員は、前項に規定する実施状況の把握(モニタリング)に当たっては、入所者及びその家族並びに担当者との連絡を継続的に行うこととし、特段の事情のない限り、次に定めるところにより行わなければならない。
<考えられる対応方策>
制度上、介護報酬の検討、研修の見直し
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【研修の音声ファイル公開中】「居宅ケアマネ制度のゆくえと 新ケアプラン様式案」

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