2015/07/12

【重要】2割負担者の照会を行政で行うためのアナウンスがありました




◇先日、2割負担者の確認をサービス事業者等が行政で行うための法整備がなされていない問題を指摘しましたが、昨日付けでアナウンスありました。

以下参照。

http://goo.gl/BqzeiR

(3)負担割合の適用・確認

サービス利用日ごとに負担割合証に記された負担割合が適用されることとなる。居宅介護(予防)福祉用具購入費及び居宅介護(予防)住宅改修費については、従前より支給を受けようとする場合、保険者に提出する書類には領収書が含まれており、そのような提出書類等を確認した上で支給を行うこととしていることから、領収書記載日時点における負担割合を適用することが基本となる。ただし、口座引き落とし等により事業者が領収する時期が遅れる場合であって、当該時期の遅れにより利用者負担割合が変更になってしまうような事例については、変更前の利用者負担割合により対応する。(この場合、保険者が国保連合会に送付する償還明細書情報については、サービス提供年月を当該変更前の利用者負担割合の適用年月とする。)

また、事業所の窓口で本人に負担割合証の提示を求めても確認できない場合、居宅介護支援事業者等の介護サービス事業者から個別の被保険者の負担割合に関する問合せがあることが想定される。このような場合には、市町村が定める個人情報保護条例等の個人情報の取扱いに関するルールを遵守したうえで、対応することは差し支えない。ただし、回答する相手が本人の利用する事業所であることを確認した上で回答する必要があるため、例えば電話で問い合わせがあった場合に相手が誰であるかの確認を経ずに回答することは不適切である。



<以下は、参考までに、以前にこの問題について指摘しておいた記事>

今回は、他で誰も触れておらず? しかし、確実に混乱が予想されるであろう事態について書いておきます。

特に介護サービス事業者さんは要注意です。

8月から一定の所得以上の方がサービス利用料が2割の負担となり、それに先んじて「割合負担証」が7~8月にかけて保険者から利用者に発送されることはご存知かと思います。

これについて、在宅のケアマネは基本は10割が保険給付なので、ケアマネ報酬の請求には関係ありません。(給付管理には関係あり)

しかし、サービス事業者は請求額に大きく影響するので、制度上「利用者はサービス事業者に提示」することになっています。

しかし、独居のまだら認知症の高齢者や老々介護で理解力が低下してる世帯などで、書類等の管理能力がない方々が、果たして、そのような書類を把握・管理できるでしょうか?

被保険者証でさえ、「紛失してしまった」という方が多く、その場合はケアマネなどが保険者に開示請求したりして把握していることもあるでしょう。

しかし、この割合負担証については、開示請求などの方法が(私の知る限りでは)明確に制度化されていません。


法規を見ても、「利用者が割合負担証をなくした場合」の対応方法などが読み取れないのです。

唯一、それに近いのは、以下の二つのQAです。

○ ケアマネジャー等に確認してもなお不明な場合は、事業者が仮で2割を徴収する取扱いも可。
→ 後日1割負担だということが分かった場合は、事業者が被保険者との間で調整
http://goo.gl/9eQ2vV

○負担割合証を忘れる等により、サービス事業所の窓口で正しい負担割合を確認できないケースも想定されるが、そのような場合には、全額を徴収するのではなく、サービス事業所の窓口で2割負担分を仮で徴収する取扱いを可能とする。この場合、後に1割負担該当者であることが確認されれば、差額の1割分をサービス事業所から本人に返還することとなる。
http://goo.gl/lgv28w

上記によれば、疑わしい人からは2割を請求し、後で取りすぎた分を返還する、としています。

そんな悠長なことができるでしょうか?

しかしながら、保険者としては、法的整備がなされていないことを独自判断で行うことはできません

それゆえ、事業者が「負担割合を教えてくれ」と言っても教えてもらえず、請求事務で混乱する事業者が爆発増加するでしょう。

これに対する事前策の名案は浮かびません。

ただ、上記のような想定される事態を行政に質問し、注意喚起するしか手立てはないと思われます。

また、「利用者Aとその金銭管理などをしているキーパーソンBが別居しているようなケース」では、そうした起こり得るトラブルを予想し、事前に説明をしておかれるべきでしょう。


追記
なお、2割負担の情報把握について、国は以下のとおりケアマネに協力を求めています。しかし、そのケアマネが保険者等への照会手立てが整備されていない以上、協力などできるはずもありません。


介護保険制度の費用負担の見直しに関する介護支援専門員へのご協力のお願いについて
http://goo.gl/wlBk9U
1.一定以上所得者の2割負担について

今回の制度改正に伴い、新たに、平成27年8月1日以降、保険給付率が80%(利用者負担が20%)になる場合が出てくるため、ケアプラン作成時など、利用者負担を書類に記入する事務を行う際には、利用者本人や家族に負担割合証(別紙様式1)により利用者負担割合をご確認いただいたうえで、保険給付率や利用者負担額等に誤りがないよう、特段のご配慮をお願い致します。


また、利用者はサービス利用時に事業所の窓口で負担割合証を提示することになっていますが、持参することを忘れた場合などには、サービス事業所が受領すべき自己負担額を確認できないケースもあり得ます。そのような場合に、サービス事業所から担当の介護支援専門員に対して、その方の自己負担割合についての問い合わせ等があった際は、個人情報であることに留意しつつ、適切なご対応をお願い致します。

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