訪問介護における院内介助の取扱いについて(事務連絡平成22年4月28日)

標記については、「『通院等のための乗車又は降車の介助が中心である場合』及び『身体介護が中心である場合』の適用関係について」(平成15年5月8日老振発第0508001号、老老発第0508001号)において、「基本的には院内のスタッフにより対応されるべきものであるが、場合により算定対象となる」とされているところです(ただし、「通院等のための乗車又は降車が中心である場合」の院内介助については、「通院のための乗車又は降車の介助」として包括して評価されます。)。

院内介助が認められる場合については各保険者の判断となりますが、院内介助について、一部で、一切の介護報酬上の算定を拒否されているとの指摘もあり、院内介助であることをもって、一概に算定しない取扱いとすることのないよう願います。

当課では、この度、院内介助の判断に資するべく、別添のとおり各都道府県・保険者が作成・公表している対応事例を取りまとめました。

各都道府県・保険者においては、①適切なケアマネジメントを行った上で、②院内スタッフ等による対応が難しく、③利用者が介助を必要とする心身の状態であることを要件としているところが多く見られ、 また、利用者が介助を必要とする心身の状態である場合の例としては、以下のような事例が挙げられておりましたので、参考として活用していただきますよう願います。

【利用者が介助を必要とする心身の状態である場合の例】

・院内の移動に介助が必要な場合

・認知症その他のため、見守りが必要な場合

・排せつ介助を必要とする場合等

別添

訪問介護における院内介助の取扱いに係る各都道府県・保険者の対応事例について

【福島県】

○通院介助の算定において、アセスメントやサービス担当者会議において院内介助の必要性が明確にできれば、算定できるか。(認知症による徘徊がない場合でも、他の周辺症状のため見守りが必要と判断した場合等)→可能です。

【横浜市】

○内容

身体介護の通院・外出介助及び通院等乗降介助を行う場合の院内介助について、介護報酬が算定できるのはどのような場合か。

○回答

院内介助は、原則、病院のスタッフが行うべきですが、病院のスタッフが対応することができない場合で、ケアマネジャーがケアプランに必要性を位置付けて実施する場合については、例外的に算定できます。その場合は、ケアマネジャーが単独で判断するのではなく、主治医等の意見を踏まえ、サービス担当者会議で協議するなど、その必要性については十分に検討するとともに、検討した内容を記録等に残しておく必要があります。

 なお、院内介助を病院のスタッフが対応できるかどうかの確認については、病院の地域連携室等に相談するなど、適切な方法をとるようにしてください。医師等からは文書を出してもらう必要はありませんが、確認した内容は必ず記録に残してください。

【神奈川県藤沢市】

○院内介助は医療保険で提供されるべきサービスです。サービスを提供する前に病院側と院内介助の必要性について調整してください。なお、調整の結果として病院の医師等に院内介助の依頼書等を書いていただく必要はありません。調整の結果、例外的に「単なる待ち時間」を訪問介護としてケアプランに位置づける場合には、次の①、②を満たす場合にあくまでもケアマネの判断により、位置づけることになります。

①利用者の心身の状況を勘案して…。

・そのヘルパーが訪問介護を実施しないと利用者が精神的に不穏になる。

・目が不自由、耳が不自由等

→ケアマネとして、心身の状況を十分に把握している。

→いわゆるケアプランにその理由付けがされている。

② 利用者の自立生活支援に繋がる。

・サービス担当者会議等で設定(確認)している「自立生活支援」に繋がる目標等に院内介助がどういう役割を果たすか、明確になっている。


【大阪市】以下の確認ができた場合に対応が可能とします。

1院内介助が必要な状態であることを確認する。

利用者の状態とどのような内容のサービスが必要であるかを明確にすること。

2院内介助が必要な状態である場合、受診先の医療機関に院内介助の体制があるか否かを確認する。

院内介助の体制がない場合、その旨を居宅介護支援経過に記録する

(対応できない理由、必要なサービス内容。「院内介助が必要」だけの記録では不十分)

31、2の状況をもって、サービス担当者会議で検討した結果、利用者の状態等から院内での介助が必要であることの判断がなされた場合、サービス担当者会議の記録にその旨を明記すること。

【大阪府羽曳野市】通院介助についての留意事項

※通院介助における院内介助については、原則、院内スタッフにおいて行われるべきものです。通院介助において、他科受診等があり、その移動に介助が必要な利用者であり、医療機関に院内スタッフでの対応の可否を確認した上で、院内スタッフでの対応が出来ない場合のみ、実際に介助を行った時間(他科受診がある場合等の移動における介助、トイレ介助等)を算定します。(院内スタッフでの対応が出来ないからといって、身体介護を算定できるものではありません。あくまでも利用者の状況によって必要かどうかを判断した上で、院内スタッフでの対応が出来ない場合についてのみ実際介助を行った時間について算定するというものです)。

【大阪府枚方市】院内介助について

原則として、医療機関のスタッフで対応すべきものですが、適切なケアマネジメントを通じて、具体的な院内介助の必要性が確認されている場合には例外的に算定となります。

≪必要なプロセス≫

① 利用者の心身の状況から院内介助が必要な理由の把握

② 具体的な介助内容(移動介助等)と所要時間

③ 当該医療機関等においては、当該医療機関のスタッフによる病院内の介助が得られないことが確認された経緯(何時、誰に、確認した内容)

…必ずしも医師への確認は必要ありません。(医事課・看護部等で可)

これらを居宅サービス計画に記載してください。

【宮城県柴田郡柴田町】

院内の介助は、介護保険の対象となりません。しかし、個々の身体・精神状況により、どうしても必要と判断した場合は、アセスメントシートに課題分析をした上でサービスを提供します。課題分析の内容は、①医療機関の院内介助の体制の有無、②精神・身体状況(介助や見守りが必要か)、③家族等の介護体制(家族等の援助があるか)の3点です。居宅サービス計画書には、必要と判断した理由を記入してください。


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