指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について (老振発第76号平成12年11月16日)

標記については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「指定基準」という。)及び平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知(「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」)をもって示されているところであるが、今般、訪問介護事業の効率的な運営を図る観点から、その一部について、次のように取り扱うこととしたので、御了知の上、貴都道府県内市町村(特別区を含む。以下同じ。)、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用について遺憾のないよう願いたい。

1指定訪問介護事業所の事業運営の取扱について 

指定訪問介護事業所のうち、その運営規程において、

(1) 「指定訪問介護の内容」が、身体介護中心型又は複合型の訪問介護(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第19号。以下「算定基準」という。)別表の1のイ又はハにより単位数を算定する訪問介護をいう。)である旨を明示し、かつ、

(2) 「その他運営に関する重要事項」として、当該事業所の事業の実施地域において家事援助中心型の訪問介護(算定基準別表の1のロにより単位数を算定する訪問介護をいう。以下同じ。)を提供する他の指定訪問介護事業所との間で、紹介があれば家事援助中心型の訪問介護を提供する旨の連携に関する取り決めがあること及びその内容を規定しているものについては、利用申込者から家事援助中心型の訪問介護の利用申込みを受けた場合に、(2)の連携に係る指定訪問介護事業所の紹介を行ったときは、自ら家事援助中心型の訪問介護の提供を行わずとも、一般に正当な理由に該当し、指定基準第9条には抵触しないものと解する。ただし、指定訪問介護の内容を、身体介護のうち特定の行為のみに限定することは認められないので、留意されたい 。

なお、実際の運用等に当たっては、以下の諸点に留意されたい。

(1) 指定訪問介護事業所が自ら家事援助中心型の訪問介護の提供を行わないこととする場合 には、運営規程の「指定訪問介護の内容及び利用料その他の費用の額」等において上記のように規定されていることが必要であるため、

・新たに指定を受けようとする者にあっては、指定の申請に際しその旨の記載が、

・既に指定を受けている指定訪問介護事業所にあっては、当該事業所に関し、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第131条に基づく変更届が、それぞれ必要であること。

なお、都道府県においては、以上の申請又は変更届の手続きの際に、当該申請又は変更届に係る事業所と、家事援助中心型の訪問介護を行う他の事業所との間の連携の取り決めの内容を十分に確認する必要があること。

(2) 指定訪問介護事業所が自ら家事援助中心型の訪問介護の提供を行わないこととする場合には、利用申込者に対して、その旨を充分に説明し、同意を得ること。

 また、利用申込者から家事援助中心型の訪問介護を求められた場合には、運営規程に定めた連携関係にある指定訪問介護事業所へ紹介すること。

なお、この場合において、連携関係にある指定訪問介護事業所が正当な理由により対応できない場合には、その他の指定訪問介護事業所を紹介し、サービス確保のために必要な措置を講じること。

(3) 指定訪問介護事業所は、その利用者が他の事業所による家事援助中心型の訪問介護を受けるため、(2)の紹介を行う場合には、指定基準第24条に定める訪問介護計画を作成する際に、家事援助中心型の訪問介護を提供する他の事業所との連携を十分に図りつつ、指定訪問介護の目標等を定めること。

(4) 指定基準第28条により指定訪問介護事業所の管理者が行う業務の管理及びサービス提供責任者が行う利用の申込みに係る調整等のサービス内容の管理には、当該事業所の紹介を受けて家事援助中心型の訪問介護を提供する他の事業所との連携に係るものも含まれること。

(5) 指定訪問介護事業所が自ら家事援助中心型の訪問介護の提供を行わないこととする場合には、当該事業者は、通常の事業の実施地域内の市町村及び当該実施地域をその通常の事業の実施地域に含む居宅介護支援事業者に対し、その旨を連絡すること。

 なお、当該事業所が行う指定訪問介護の内容は、指定基準第32条に規定する重要事項に該当するものであり、事業所の見やすい場所に掲示することが必要であること。

2 保険給付として不適切な事例への対応 について

指定訪問介護事業者が、利用者宅への訪問時に、別紙に掲げる一般的には介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例のように、保険給付として適切な範囲を逸脱したサービス提供を求められた場合や、家事援助中心型を算定できない事例において家事援助中心型の訪問介護を求められた場合における、指定基準第9条の運用については、以下のとおり取り扱うこととする。

(1) 訪問介護員から利用者に対して、求められた内容が介護保険の給付対象となるサービスとしては適当でない旨を説明すること。その際、利用者が求めているサービスが保険給付の範囲として適切かどうかや、家事援助中心型の訪問介護の対象となるかどうかについて判断がつかない場 合には、保険者(市町村)に確認を求めること。

 なお、担当の訪問介護員の説明では利用者の理解が得られない場合には、サービス提供責任者が対応すること。

(2) 利用者が、保険給付の範囲外のサービス利用を希望する場合 には、訪問介護員は、居宅介護支援事業者又は市町村に連絡することとし、希望内容に応じて、市町村が実施する軽度生活援助事業、配食サービス等の生活支援サービス、特定非営利活動法人(NPO法人)などの住民参加型福祉サービス、ボランティアなどの活用を助言すること。

(3) (1)及び(2)の説明を行っても、利用者が保険給付の対象となるサービスとしては適当でないサービス提供を求めた場合 には、指定訪問介護事業者は、求められた内容のサービス提供を行わずとも、指定基準第9条には抵触しないものと解する。

 なお、これらの保険給付の範囲外のサービス について、利用者と事業者との間の契約に基づき、保険外のサービスとして、保険給付対象サービスと明確に区分し、利用者の自己負担によってサービスを提供することは、当然、可能である。

 また、こうした事例への対応については、居宅サービス計画の策定段階において利用者に十分説明し、合意を得ることが重要であることから、指定居宅介護支援事業者にあっても、十分に留意して居宅サービス計画の作成に当たることが必要である。

(別紙)

一般的に介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例

1.「直接本人の援助」に該当しない行為 

主として家族の利便に供する行為又は家族が行うことが適当であると判断される行為

・利用者以外のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し

・主として利用者が使用する居室等以外の掃除

・来客の応接(お茶、食事の手配等)

・自家用車の洗車・清掃等

2.「日常生活の援助」に該当しない行為 

(1) 訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為

・草むしり

・花木の水やり

・犬の散歩等ペットの世話等

(2) 日常的に行われる家事の範囲を超える行為

・家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え

・大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ

・室内外家屋の修理、ペンキ塗り

・植木の剪定等の園芸

・正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理等



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