2023/12/16

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(仮称)案

 

第1.改正の趣旨

 

○ 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「居宅基準」という。)等の介護サービスに係る基準については、3年に1度、介護報酬に係る改定と併せて、社会保障審議会介護給付費分科会の審議を踏まえた改正を行ってきたところである。

 

〇 今般、令和6年度の介護報酬に係る改定が行われることに併せ、関係省令について所要の改正を行うこととする。

 

○ なお、居宅基準等を改正した場合、地方公共団体においては、条例改正を要する可能性があることを踏まえ、介護報酬に係る改定に先駆けて関係省令について所要の改正を行うこととする。

 

 

 

第2.改正の内容

 

1.訪問系サービス

(1)(介護予防)訪問リハビリテーション

 1〕 入院時に医療機関が作成したリハビリテーション計画書の入手及び把握の義務化

  退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後の指定訪問リハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画の作成をするに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することを義務付ける。(居宅基準第81条及び指定介護予防サービス等の事業の人員、設備及び運営並びに指定介護予防サービス等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生省令第35号。以下「予防基準」という。)第86条関係)

 

 2〕 訪問リハビリテーション事業所に係るみなし指定

  訪問リハビリテーション事業所を更に拡充する観点から、介護老人保健施設及び介護医療院の開設許可があったときは、訪問リハビリテーション事業所の指定があったものとみなす。その際、当該施設の医師の配置基準を満たすことをもって、当該事業所の医師の配置基準を満たしているものとみなす。(介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第128条及び第140条の19、居宅基準第76条並びに予防基準第79条関係)

 

(2)(介護予防)居宅療養管理指導

 〇 経過措置期間の延長

  ア 委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者の設定等の高齢者虐待防止のための措置の実施状況や更なる周知の必要性を踏まえ、当該取組の義務付けの経過措置期間を3年間延長し、令和9年3月31日までとする。(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第9号。以下「令和3年改正省令」という。)附則第2条関係)

  イ 感染症や非常災害の発生時の業務継続に向けた、計画の策定及び周知、研修及び訓練(シミュレーション)の実施等の義務付けの経過措置期間を3年間延長し、令和9年3月31日までとする。(令和3年改正省令附則第3条関係)

 

 

 

2.通所系サービス

(1)(介護予防)通所リハビリテーション

 〔1〕 入院時に医療機関が作成したリハビリテーション計画書の入手及び把握の義務化

  退院時の情報連携を促進し、退院後早期に連続的で質の高いリハビリテーションを実施する観点から、医師等の従業者が、入院中にリハビリテーションを受けていた利用者に対し退院後の指定通所リハビリテーションを提供する際に、リハビリテーション計画を作成するに当たっては、入院中に医療機関が作成したリハビリテーション実施計画書を入手し、内容を把握することを義務付ける。(居宅基準第115条及び予防基準第125条関係)

 2〕 みなし指定を受けた通所リハビリテーション事業所の人員配置基準の緩和

  1(1)〔2〕の訪問リハビリテーションの見直しに伴い、介護保険法(平成9年法律第123号)第72条第1項の規定による通所リハビリテーション事業所に係るみなし指定を受けている介護老人保健施設及び介護医療院についても同様に、当該施設の医師の配置基準を満たすことをもって当該事業所の医師の配置基準を満たしているものとみなす。(居宅基準第111条及び予防基準第117条関係)

 

3.短期入所系サービス

(1)短期入所系サービス共通((介護予防)短期入所生活介護、(介護予防)短期入所療養介護)

 

 〇 ユニットケアの質の向上のための体制の確保

  ユニットケアの質向上のための体制を確保する観点から、ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努めなければならないこととする。(居宅基準第140条の11の2及び第155条の10の2並びに予防基準第157条及び第208条関係)

 

 

4.多機能系サービス

(1)(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護

 ○ 管理者の兼務

  提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、(看護)小規模多機能型居宅介護の管理者による他事業所の職務との兼務について、兼務可能な他事業所のサービス類型を限定しないこととする。

(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号。以下「地域密着型基準」という。)第64条及び第172条並びに指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号。以下「地域密着型予防基準」という。)第45条関係)

 

(2)看護小規模多機能型居宅介護

 〇 サービス内容の明確化

  全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和5年法律第31号)による介護保険法の改正により、看護小規模多機能型居宅介護のサービス拠点での「通い」「泊まり」における看護サービスが含まれる旨が明確化されたことに伴い、所要の改正を行う。(地域密着型基準第177条関係)

 

5.福祉用具貸与・特定福祉用具販売

(1)(介護予防)福祉用具貸与・特定(介護予防)福祉用具販売共通

 〇 選択制の対象福祉用具の提供に係る利用者等への説明及び提案

  福祉用具の一部の貸与種目・種類について、特定福祉用具販売の対象に加えることとしているところ、福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、福祉用具貸与及び特定福祉用具販売の対象となる貸与種目・種類の福祉用具(以下「選択制の対象福祉用具」という。)の貸与又は販売に当たっては、福祉用具専門相談員が、福祉用具貸与又は特定福祉用具販売のいずれかを利用者が選択できることについて、利用者等に対し、十分説明することを義務付ける

  また、利用者の選択に当たって必要な情報を提供するとともに、医師や専門職の意見、利用者の身体状況等を踏まえ、提案を行うことを義務付ける。 (居宅基準第199条及び第214条並びに予防基準第278条及び第291条関係)

 

(2)(介護予防)福祉用具貸与

 〔1〕 貸与後におけるモニタリングの実施時期等の明確化

  福祉用具貸与のモニタリングを適切に実施し、サービスの質の向上を図る観点から、福祉用具貸与計画の記載事項にモニタリングの実施時期を追加する。(居宅基準第199条の2及び予防基準第278条の2関係)

 

 〔2モニタリング結果の記録及び介護支援専門員への交付(介護予防福祉用具貸与を除く。)

  福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、福祉用具貸与について、介護予防福祉用具貸与と同様に、福祉用具専門相談員が、モニタリングの結果を記録し、その記録を介護支援専門員に交付することを義務付ける。(居宅基準第199条の2関係)

 

 3〕 選択制の対象福祉用具を貸与した後の貸与継続の必要性の検討

  福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る福祉用具貸与の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、利用開始後6月以内に少なくとも1回モニタリングを行い、貸与継続の必要性について検討を行うことを義務付ける。(居宅基準第199条の2及び予防基準第278条の2関係)

 

(3)特定(介護予防)福祉用具販売

 〔1〕 選択制の対象福祉用具に係る計画の達成状況の確認

  福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る特定福祉用具販売の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、特定福祉用具販売計画の作成後、当該計画における目標の達成状況を確認することを義務付ける。(居宅基準第214条の2及び予防基準第292条関係)

 

 2〕 選択制の対象福祉用具に係る販売後のメンテナンス

  福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全を確保する観点から、選択制の対象福祉用具に係る特定福祉用具販売の提供に当たっては、福祉用具専門相談員が、利用者等からの要請等に応じて、販売した福祉用具の使用状況を確認するよう努めるとともに、必要な場合は、使用方法の指導、修理等(メンテナンス)を行うよう努めることとする。(居宅基準第214条及び予防基準第291条関係)

 

 

 

6.居宅介護支援・介護予防支援

 〔1〕 公正中立性の確保のための取組の見直し

  事業者の負担軽減を図るため、次に掲げる事項に関して利用者に説明し、理解を得ることを居宅介護支援事業者の努力義務とする。

 ・前6月間に作成した居宅サービス計画における、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与及び地域密着型通所介護の各サービスの利用割合

 ・前6月間に作成した居宅サービス計画における、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与及び地域密着型通所介護の各サービスの同一事業者によって提供されたものの割合

 (指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号。以下「居宅介護支援基準」という。)第4条関係)

 

 2〕 指定居宅サービス事業者等との連携によるモニタリング

  人材の有効活用及び指定居宅サービス事業者等との連携促進によるケアマネジメントの質の向上の観点から、次に掲げる要件を設けた上で、少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)、利用者の居宅を訪問し

利用者に面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月において、テレビ電話装置等を活用したモニタリングを行うことを可能とする。

  ア 利用者の同意を得ること。

  イ サービス担当者会議において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。

   ・利用者の心身の状況が安定していること。

   ・利用者がテレビ電話装置等を活用して意思疎通できること。

   ・介護支援専門員が、テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは把握できない情報について、担当者から提供を受けること。

 (居宅介護支援基準第13条及び指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第37号。以下「介護予防支援基準」という。)第30条関係)

 

 3〕 ケアマネジャー1人当たりの取扱件数

  基本報酬における取扱件数との整合性を図る観点から、指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤のケアマネジャーを置くことが必要となる人員基準について、次のとおり見直す。

  ア 原則、要介護者の数に要支援者の数に1/3を乗じた数を加えた数が44以下であれば必要なケアマネジャーの員数は1とし、44の倍数(44に満たない端数の場合も含む。)ごとに1ずつ増すこととする。

  イ 指定居宅介護支援事業者と指定居宅サービス事業者等との間において、居宅サービス計画に係るデータを電子的に送受信するための公益社団法人国民健康保険中央会のシステムを活用し、かつ、事務職員を配置している場合においては、

要介護者の数に要支援者の数に1/3を乗じた数を加えた数が49以下であれば必要なケアマネジャーの員数は1とし、49の倍数(49に満たない端数の場合も含む。)ごとに1ずつ増すこととする。

 (居宅介護支援基準第2条関係)

 

 4〕 介護予防支援の円滑な実施

  ア 指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援の指定を受ける場合の人員配置

   指定居宅介護支援事業者が指定を受けて指定介護予防支援を行う場合の人員に関する基準については、次のとおりとする。

   ・事業所ごとに1以上の員数の介護支援専門員を置かなければならないこと。

   ・常勤かつ主任介護支援専門員である管理者を置かなければならないこと。(ただし、主任介護支援専門員の確保が著しく困難である等やむを得ない理由がある場合については、介護支援専門員を管理者とすることができる。)

   ・管理者は、同一の事業所の他の職務に従事する場合や、管理上支障がない範囲で他の事業所の職務に従事する場合を除き、専らその職務に従事する者でなければならないこと。

  イ 市町村に対する情報提供

   市町村において管内の要支援者の状況を適切に把握する観点から、指定居宅介護支援事業者が指定介護予防支援の指定を受けて介護予防支援を行うに当たって、市町村から情報提供の求めがあった場合は、介護予防サービス計画の実施状況等を市町村に情報提供することとする。

  ウ その他、指定居宅介護支援事業者が指定を受けて指定介護予防支援を行うに当たって、所要の規定の整備を行う。

  (介護予防支援基準第2条、第3条、第4条、第12条及び第30条関係)

 

7.居住系サービス

(1)(介護予防)特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護

 ○ 生産性向上に先進的に取り組む特定施設に係る人員配置基準の特例的な柔軟化

  テクノロジーの活用等により介護サービスの質の向上及び職員の負担軽減を推進する観点から、

l   利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会において、

l   生産性向上の取組に当たっての必要な安全対策について検討した上で、

l   見守り機器等の複数のテクノロジーの活用

l   職員間の適切な役割分担等の取組により、

介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減が行われていると認められる指定特定施設に係る当該指定特定施設ごとに置くべき看護職員及び介護職員の合計数について、

常勤換算方法で、要介護者である利用者の数が3(要支援者の場合は10)又はその端数を増すごとに0.9以上であることとする。(居宅基準第175条、地域密着型基準第110条及び予防基準第231条関係)

 

(2)(介護予防)特定施設入居者生活介護

 ○ 口腔衛生管理の強化

  全ての指定特定施設において、口腔衛生管理体制の確保を促すとともに、入所者の状態に応じた口腔衛生管理を更に充実させる観点から、口腔衛生管理体制を整備し、各入居者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的に行わなければならないこととする。その際、3年の経過措置期間を設ける。

(居宅基準第185条の2及び第192条の2並びに予防基準第238条の2新設関係)

 

(3)居住系サービス共通((介護予防)特定施設入居者生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護)及び軽費老人ホーム

 1〕 協力医療機関との連携体制の構築

  高齢者施設内で対応可能な医療の範囲を超えた場合に、協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われるよう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する地域の医療機関等と実効性のある連携体制を構築するために、以下の見直しを行う。

  ア 協力医療機関を定めるに当たっては、以下の要件を満たす協力医療機関を定めるように努めることとする。

   i 入所者の病状の急変が生じた場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。

   ii 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること。

  イ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該協力医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。

  ウ 入所者が協力医療機関等に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入所させることができるように努めることとする。

  (居宅基準第191条、地域密着型基準第105条及び127条、予防基準第242条、地域密着型予防基準第82条並びに軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20年厚生労働省令第107号。以下「軽費老人ホーム基準」という。)第27条関係)

 

 2〕 新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携

  新興感染症の発生時等に、事業所内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築するため、あらかじめ、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第96号)第3条の規定による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関(以下「第二種協定指定医療機関」という。)との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めることとする。また、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合においては、当該第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応について協議を行うことを義務付ける。(居宅基準第191条、地域密着型基準第105条及び第127条、予防基準第242条、地域密着型予防基準第82条並びに軽費老人ホーム基準第27条関係)

 

8.施設系サービス

(1)介護老人福祉施設

 ○ 小規模介護老人福祉施設の配置基準の緩和

  離島や過疎地域に所在する小規模介護老人福祉施設における効率的な人員配置を可能とする観点から、以下の見直しを行う。

  ア 離島・過疎地域に所在する定員30の指定介護老人福祉施設に指定短期入所生活介護事業所又は指定介護予防短期入所生活介護事業所(以下「指定短期入所生活介護事業所等」という。)が併設される場合において、当該指定短期入所生活介護事業所等の医師については、当該指定介護福祉施設の医師により当該指定短期入所生活介護事業所等の利用者の健康管理が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。

  イ 離島・過疎地域に所在する定員30の指定介護老人福祉施設に指定通所介護事業所、指定短期入所生活介護事業所等、指定地域密着型通所介護事業所又は併設型指定認知症対応型通所介護の事業を行う事業所若しくは併設型指定介護予防認知症対応型通所介護の事業を行う事業所が併設される場合において、当該併設される事業所の生活相談員、栄養士又は機能訓練指導員については、当該指定介護老人福祉施設の生活相談員、栄養士または機能訓練指導員により当該事業所の利用者の処遇が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。

  ウ 離島・過疎地域に所在する定員30の指定介護老人福祉施設に指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所が併設される場合において、当該指定介護老人福祉施設の介護支援専門員については、当該併設される指定小規模多機能型居宅介護事業所又は指定看護小規模多機能型居宅介護事業所の介護支援専門員により当該指定介護老人福祉施設の利用者の処遇が適切に行われると認められるときは、これを置かないことができることとする。

 (指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号。以下「指定介護老人福祉施設基準」という。)第2条及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号。以下「特別養護老人ホーム基準」という。)第12条関係)

 

(2)介護老人福祉施設及び地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

 ○ 緊急時等における対応方法の定期的な見直しの義務付け

  介護老人福祉施設があらかじめ定めることとされている緊急時等における対応方法について、配置医師及び協力医療機関の協力を得て定めることとし、また、1年に1回以上、見直しを行うことを義務づける。(指定介護老人福祉施設基準第20条の2、特別養護老人ホーム基準第22条の2及び地域密着型基準第145条の2)

 

(3)施設系サービス共通(介護老人福祉施設、地域密着型老人福祉施設入所者生活介護、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、介護老人保健施設及び介護医療院)

 1〕 ユニットケアの質の向上のための体制の確保(養護老人ホームを除く)

  ユニットケアの質向上のための体制を確保する観点から、ユニット型施設の管理者は、ユニットケア施設管理者研修を受講するよう努めなければならないこととする。

 (地域密着型基準第167条、指定介護老人福祉施設基準第47条、介護老人保健施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号。以下「介護老人保健施設基準」という。)第48条、特別養護老人ホーム基準第40条及び介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成30年厚生労働省令第5号。以下「介護医療院基準」という。)第52条関係)

 2〕 協力医療機関との連携体制の構築

  高齢者施設内で対応可能な医療の範囲を超えた場合に、協力医療機関との連携の下で適切な対応が行われるよう、在宅医療を担う医療機関や在宅医療を支援する地域の医療機関等と実効性のある連携体制を構築するために、以下の見直しを行う。

  ア 以下の要件を満たす協力医療機関(iiiの要件を満たす協力医療機関にあっては、病院に限る。)を定めることを義務付ける(複数の医療機関を定めることにより要件を満たすこととしても差し支えないこととする。)。その際、一定の経過措置期間を設けることとする。

   i 入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。

   ii 診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。

   iii 入所者の病状の急変が生じた場合等において、当該施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。

  イ 1年に1回以上、協力医療機関との間で、入所者の病状の急変が生じた場合等の対応を確認するとともに、当該医療機関の名称等について、当該事業所の指定を行った自治体に提出しなければならないこととする。

  ウ 入所者が協力医療機関に入院した後に、病状が軽快し、退院が可能となった場合においては、速やかに再入所させることができるように努めることとする。

 (指定介護老人福祉施設基準第28条、介護老人保健施設基準第30条、地域密着型基準第152条、介護医療院基準第34条、特別養護老人ホーム基準第27条及び養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(昭和41年厚生省令第19号。以下「養護老人ホーム基準」という。)第25条関係)

 

 3〕 新興感染症発生時等の対応を行う医療機関との連携

  新興感染症の発生時等に、施設内の感染者への診療等を迅速に対応できる体制を平時から構築するため、あらかじめ、第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応を取り決めるよう努めることとする。また、協力医療機関が第二種協定指定医療機関である場合においては、当該第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時の対応について協議を行うことを義務付ける。(指定介護老人福祉施設基準第28条、介護老人保健施設基準第30条、地域密着型基準第152条、介護医療院基準第34条関係、特別養護老人ホーム基準第27条及び養護老人ホーム基準第25条関係)

 

 

9.短期入所系サービス((介護予防)短期入所生活介護、(介護予防)短期入所療養介護)・多機能系サービス((介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護)・居住系サービス((介護予防)特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護))・施設系サービス共通(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、軽費老人ホーム、介護医療院)

 

(1)介護現場の生産性の向上

 ○ 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会設置の義務付け

  介護現場の生産性向上の取組を推進する観点から、

現場における課題を抽出及び分析した上で、事業所の状況に応じた必要な対応を検討し、利用者の尊厳や安全性を確保しながら事業所全体で継続的に業務改善に取り組む環境を整備するため、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会の設置を義務付ける。

その際、3年間の経過措置期間を設けることとする。

(居宅基準第139条の2新設、第155条及び第192条、地域密着型基準第86条の2新設、第108条、第129条、第157条及び第182条、予防基準第140条の2新設、第195条及び第245条、地域密着型予防基準第62条の2新設及び第85条、指定介護老人福祉施設基準第35条の3新設、介護老人保健施設基準第36条の3新設、特別養護老人ホーム基準第31条の3新設、第42条、第59条及び第63条並びに介護医療院基準第40条の3新設関係)

 

 

 

10.全サービス共通(訪問介護、(介護予防)訪問入浴介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、(介護予防)居宅療養管理指導、通所介護、(介護予防)通所リハビリテーション、(介護予防)短期入所生活介護、(介護予防)短期入所療養介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護、(介護予防福祉用具貸与、福祉用具販売、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、(介護予防)認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、看護小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、介護予防支援、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム)

(1)「書面掲示」規制の見直し

 事業所内での「書面掲示」を求めている事業所の運営規程の概要等の重要事項について、インターネット上で情報の閲覧が完結するよう、「書面掲示」に加え、原則としてウェブサイトに掲載することを義務付ける。その際、1年の経過措置を設けることとする。

(居宅基準第32条及び第204条、居宅介護支援基準第22条、指定介護老人福祉施設基準第29条、介護老人保健施設基準第31条、地域密着型基準第3条の32、予防基準第53条の4及び第274条、地域密着型予防基準第32条、介護予防支援基準第21条、軽費老人ホーム基準第28条並びに介護医療院基準第35条)

 

(2)管理者の兼務範囲の明確化

 提供する介護サービスの質を担保しつつ、介護サービス事業所を効率的に運営する観点から、管理者が兼務できる事業所の範囲について、

同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。(居宅基準第6条、第41条、第46条、第56条、第61条、第94条、第107条、第122条、第140条の28、第176条、第192条の5、第195条及び第209条、地域密着型基準第3条の5、第7条、第21条、第40条の2、第43条、第47条、第64条、第91条、第101条、第111条、第146条及び第172条、居宅介護支援基準第3条、指定介護老人福祉施設基準第21条、養護老人ホーム基準第12条、介護老人保健施設基準第23条、軽費老人ホーム基準第11条、第37条並びに附則第6条及び第14条、介護医療院基準第26条、予防基準第48条、第59条、第64条、第130条、第181条、第232条、第256条、第267条及び第283条並びに地域密着型介護予防基準第6条、第10条、第45条、第71条及び第78条関係)

 

(3)身体的拘束等の適正化の推進

 身体的拘束等の適正化を推進する観点から、次に掲げる見直しを行う。

 ア 短期入所系サービス及び多機能系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための措置(委員会の設置、指針の整備、研修の実施)を義務付ける。その際、1年間の経過措置期間を設けることとする。(居宅基準第128条、第140条の7、第146条及び第155条の6、地域密着型基準第73条及び第177条、予防基準第136条及び第191条並びに地域密着型予防基準第53条関係)

 イ 訪問系サービス、通所系サービス、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、居宅介護支援及び介護予防支援について、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないこととする。また、身体的拘束等を行う場合の記録を義務付ける。(居宅基準第23条、第39条、第50条、第53条の3、第68条、第73条の2,第80条、第82条の2、第89条、第90条の2、第98条、第104条の4,第114条、第118条の2、第199条、第204条の2、第214条及び第215条、居宅介護支援基準第13条及び第29条、地域密着型基準第3条の22、第3条の40、第10条、第17条、第26条、第36条、第40条の8、第40条の15、第51条及び第60条、予防基準第54条、第57条、第73条、第76条、第83条、第86条、第92条、第95条、第122条、第125条、第275条、第278条、第288条及び第291条、地域密着型予防基準第40条及び第42条並びに介護予防支援基準第28条及び第30条)

 

11.その他所要の改正

 

 ○ 1から10までのほか、その他所要の規定の整備を行う。

 

第3.根拠条文

・社会福祉法(昭和26年法律第45号)第65条第2項

・老人福祉法(昭和38年法律第133号)第17条第2項

・介護保険法第72条第1項(第115条の11において準用する場合を含む。)、第72条の2第2項、第74条第3項、第78条の4第3項、第78条の2の2第2項、第81条第3項、第88条第3項、第97条第4項、第105条の2の2第2項、第111条第4項、第115条の4第3項、第115条の12の2第2項、第115条の14第3項及び115条の24第3項等

 

第4.施行期日等

 〇 公布日:令和6年1月下旬(予定)

 〇 施行期日:令和6年4月1日又は6月1日(予定)

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