介護保険制度の見直しに関する意見(令和7年12月25日)

2025/12/31

制度資料

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介護保険制度の見直しに関する意見

令和7年1225

社会保障審議会介護保険部会

### 目次

はじめに ~地域共生社会と地域包括ケアシステムの深化~ ・・..... 1

Ⅰ 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築 ・...... 4

1.地域の類型を踏まえたサービス提供体制・支援体制 ・・...... 4

2.中山間・人口減少地域における柔軟な対応等 ・・・.. 6

3.大都市部・一般市等における対応 ・・・・. 12

Ⅱ 地域包括ケアシステムの深化 ・・・・....... 14

1.地域包括ケアシステムの深化に向けて ・・・....... 14

2.医療・介護連携の推進 ・・・・・. 16

3.有料老人ホームの事業運営の透明性確保、高齢者への住まい支援・.... 18

4.介護予防の推進、総合事業の在り方 ・・・......... 23

5.相談支援等の在り方 ・・・・・... 26

6.認知症施策の推進等 ・・・・・... 32

Ⅲ 介護人材確保と職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援 ・..... 35

1.総合的な介護人材確保対策 ・・・・....... 35

2.介護現場の職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援、協働化等の推進 .. 36

Ⅳ 多様なニーズに対応した介護基盤の整備、制度の持続可能性の確保 ・... 40

1.2040年を見据えた介護保険事業(支援)計画の在り方 ・・... 40

2.給付と負担 ・・・・・・. 41

3.その他の課題 ・・・・・......... 61

おわりに ・・・・・・......... 65

### はじめに ~地域共生社会と地域包括ケアシステムの深化~

○ 介護保険制度は、その創設から25年が経過し、高齢化の進行とともに65歳以上の第1号被保険者は約1.7倍に増加する中で、サービス利用者数は約3.6倍に増加するなど、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして定着し、発展してきた。

○ 介護保険制度においては、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途として、介護が必要な状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、各地域の状況に応じて、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築やその推進が図られてきた。

○ また、介護人材確保に向けては、介護職員の処遇改善、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着支援・生産性向上、介護職の魅力向上、外国人材の受入環境整備に取り組んしてきた。

2025年を迎えた今、2040年を見据える必要がある。人口減少は全国的に進み、生産年齢人口が減少する。高齢者人口は当面増加し、2043年には3,953万人とピークを迎え、その後減少局面に入る。また、2040年には、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加するとともに、認知症高齢者や独居の高齢者等の増加も見込まれる。このような中で、どのように高齢者を支えていくかが大きな課題であり、早急な対応が求められる。

○ また、第9期介護保険事業計画に基づき介護職員の必要数を集計すると、2022年度の215万人と比較して2040年度までに約57万人の新たな介護職員の確保が必要であると推計されている一方で、2023年度には介護職員数が初めて減少に転じ、2024年度は横ばいで推移している。介護関係職種の有効求人倍率は、令和7年10月時点で4.07倍と全職業の有効求人倍率と比較しても高い水準にあり、地域の高齢者介護を支える人的基盤の確保が課題となる。

○ 介護保険財政の状況については、介護費用の総額が制度創設時から約4.0倍の14.3兆円(令和7年度予算ベース)となっており、世代間・世代内双方での公平性、現役世代の負担軽減の観点から、負担能力に応じたより公平な負担を図る視点に立ち、制度の持続可能性を高めていくことが重要な課題となっている。

○ 介護保険制度は、加齢により生じる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった方が尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う制度である。こうした制度趣旨にのっとり、更なる高齢化や生産年齢人口の減少など、様々な社会環境の変化の中にあっても、高齢者の自己決定に基づき、必要な質の高いサービスを受けられ、希望する場所で安心して生活できる社会を実現しなくてはならない。

○ また、地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や指定権者である都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが引き続き必要である

○ こうした共通理解の下、本部会では、昨年12月以降、18回にわたって審議を重ねてきた。また、審議の過程では、現場の具体的な取組についてヒアリングを実施した。以下、本部会におけるこれまでの議論を4つのテーマに分けて整理し、介護保険制度の見直しに関する意見書として取りまとめる。

○ これらはいずれも、介護保険制度を2040年に向けた社会情勢の変化に対応し、地域の実情に応じた仕組みとして、地域住民を包括的に支える基盤とする重要な方策であり、こうした議論は社会保障審議会福祉部会(以下「福祉部会」という。)において議論された包括的な支援体制の整備の推進につながり、地域共生社会の実現に資するものである。このため、本部会と福祉部会の双方に関係するテーマについては、各部会における議論を相互に報告・連携しながら審議を進めた。

**(人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築)**

2040年に向けては、自治体・地域の規模によって、高齢化や人口減少のスピードには大きな差が生じることが見込まれ、サービス需要の変化が様々となる。このような中において、「時間軸」・「地域軸」の両視点から、その地域の状況に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要である。

本部会においては、地域の類型を踏まえたサービス提供体制やその支援体制の構築、とりわけ、中山間・人口減少地域における柔軟な対応等について議論を行った。

**(地域包括ケアシステムの深化)**

2040年には、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加するとともに、認知症高齢者の増加や独居の高齢者等の増加も見込まれる。一方で、現役世代の生産年齢人口の減少も見込まれる中で、2040年に向けて、地域包括ケアシステムを深化させ、医療・介護の一層の連携を図り、医療・介護・予防・住まい・生活支援等の包括的な確保を図っていく必要がある。また、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(以下「サ高住」という。)等の高齢者住まいの役割は重要であり、有料老人ホームの事業運営の透明性の確保に向けた課題が指摘されている。

○ 本部会においては、医療・介護連携の推進、有料老人ホームの事業運営の透明性確保、高齢者への住まい支援、介護予防の推進、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)の在り方、相談支援等の在り方、認知症施策の推進等について議論を行った。

○ また、相談支援等の在り方に関する議論については、福祉部会における過疎地域等における包括的な支援体制整備や頼れる身寄りがいない高齢者等への対応(※)に関する議論と相互に報告・連携しながら審議を進めた。

(※)「身寄り」とは「身を寄せるところ」を意味し、家族・親族だけでなく、ご近所、同級生、同僚、同郷など、様々なものが含まれる概念と考えられる。なお、身寄りがあっても家族・親族等との関係は様々であり、一律に身寄りがある者を対象外とすることは適当ではないと考えられる。

**(介護人材確保と職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援)**

○ 介護人材確保と利用者へのケアの質の向上は共に重要な課題であり、高齢化・人口減少のスピードが地域によって異なる中、都道府県や市町村、地域の関係者が、地域の実情も踏まえて、人材確保、生産性向上による職場環境改善、経営改善に向けた支援に係る対策を議論し、これらの対策を講じていく必要がある。

○ 本部会においては、総合的な介護人材確保対策、介護現場の職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援、協働化等の推進について議論を行った。

○ また、人材確保のためのプラットフォームに関する議論については、福祉部会等における議論と相互に報告・連携しながら審議を進めた。

**(多様なニーズに対応した介護基盤の整備、制度の持続可能性の確保)**

2040年に向けては、都道府県・市町村及び関係者間で共通の課題認識を持った上で、地域課題への対応を介護保険事業(支援)計画の策定過程等で議論することが必要である。また、介護保険制度の持続可能性を確保するため、負担能力に応じた負担、公平性等を踏まえた給付内容の適正化等の視点に立ち、必要な見直しをこれまでも検討してきた。


○ 本部会においては、2040年を見据えた介護保険事業(支援)計画の在り方、給付と負担等について議論を行った。



### Ⅰ 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築


#### 1.地域の類型を踏まえたサービス提供体制・支援体制


**(現状・基本的な視点)**

2040年には、65歳以上の高齢者数がピークを迎えるとともに、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する。一方で、現役世代の生産年齢人口の減少も見込まれ、どのように介護を必要とする高齢者を支えていくかが課題である。


○ これに加えて、2040年に向けては、自治体・地域の規模によって、高齢化や人口減少のスピードには大きな差が生じることが見込まれ、地域によってサービス需要の変化は様々となる。


○ このような中において、2040年に向けて、「時間軸」・「地域軸」の両視点から、地域におけるサービス供給の状況を踏まえつつ、人口減少・サービス需要の変化に応じ、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」と主に3つの地域に分類して、その地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制を構築していくことが重要である。また、人口構造の変化に応じて、各地域が3つの地域の類型を行き来する可能性もある。


| 地域区分 | 特徴 |

| --- | --- |

| **中山間・人口減少地域** | 高齢者人口が減少し、サービス需要が減少する地域 |

| **大都市部** | 高齢者人口が2040年にかけて増加し続け、サービス需要が急増する地域 |

| **一般市等** | 高齢者人口が増減し、サービス需要の状況が2040年までの間に増加から減少へ転じる地域 |


○ 人口構造の変化に対して、サービスを過不足なく提供・維持するためには、どの地域においても都道府県や市町村の役割は重要である。地域のサービス需要の変化に応じ、介護保険事業計画等の在り方や広域化等の取組の中で、それぞれの地域の類型に応じた対応策をどのように検討していくか、どのようにサービス提供体制を確保するための支援体制を構築していくか検討することが必要である。近年進歩しているテクノロジー等を積極的に活用することも重要である。


**(地域の類型の考え方)**

○ 「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」における対応は、当該地域の需給状況や個々のニーズ等と併せて、今後の2040年を見据えた対応も踏まえつつ、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスに着目して、それぞれの地域類型を意識しながら、都道府県・市町村等の関係者間でサービス基盤の維持・確保に向けた議論を行うことが必要である。地域の類型の区分の考え方については、第10期介護保険事業計画期間に向けた「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」(以下「基本指針」という。)において示すことが必要である



**(中山間・人口減少地域)**

○ 「中山間・人口減少地域」については、サービス提供の維持・確保を前提として、利用者への介護サービスが適切に提供されるよう、住民の理解の下、新たな柔軟化のための枠組みを設ける必要がある。その際、当該枠組みが必要である地域に限定した対応とするため、対象となる地域を特定することが適当である


○ 対象地域の範囲は、特別地域加算の対象地域を基本としつつ、さらに、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう、高齢者人口の減少に着目した範囲の考え方など、今後、都道府県・市町村における検討の支援のため、社会保障審議会介護給付費分科会(以下「介護給付費分科会」という。)等で議論を行い、国において一定の基準を示すことが必要である。また、同一市町村内でもエリアにより高齢者人口の減少の進展は異なるため、市町村内の一部エリアを特定することも可能とすることが適当である


○ 対象地域の特定については、新たな柔軟化のための枠組みの導入の検討に応じて、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスにおいて、市町村の意向を確認し、都道府県が決定することが適当である


**(大都市部、一般市等)**

○ 「大都市部」、「一般市等」のいずれも、高齢者人口の増減・サービス需要の変化の見通しに基づき、現行制度の枠組みを活用したサービス基盤の維持・確保が求められるものであり、「中山間・人口減少地域」のように新たな柔軟化のための枠組みが必要となるものではないため、一定の基準を設けて該当地域を特定することは不要であるが、いずれの地域類型に該当するかを念頭に置きながら、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスにおいて関係者間で対応を議論することが必要である


○ 「大都市部」や「一般市等」においても、既に、中山間地域や人口減少エリアを抱えている地域もある。さらに、近い将来に「中山間・人口減少地域」になることを見越して、早い段階から準備を進め、必要に応じた柔軟な対応を図っていく必要がある。


○ 高齢者人口が2040年にかけて増加し続け、サービス需要が急増する「大都市部」においては、増加する介護ニーズに応える仕組みを検討する必要がある。多様なニーズに対応した多様なサービスを提供するとともに、ICTAI技術など、民間活力も活用したサービス基盤を整備することが重要である。


○ 高齢者人口が増減し、サービス需要の状況が2040年までの間に増加から減少へ転じる「一般市等」においては、既存の介護資源等を有効活用しながら、需給の変化に応じて、サービスを過不足なく確保する方策を今から検討しておく必要がある。


2.中山間・人口減少地域における柔軟な対応等


**(現状・基本的な視点)**

2040年には、ほぼ全ての地域で生産年齢人口は減少し、大都市部では高齢人口が増加、過疎地域等では高齢人口は減少する。65歳以上人口は市町村の65%(1,064市町村)で2025年までにピークを迎えると見込まれている。これに伴う介護サービス需要の変化についても、既に利用者数、すなわち介護需要のピークを迎えている町村・広域連合が3割~4割となっている。


○ 中山間・人口減少地域においては、高齢者人口が減少し、サービス需要が減少する中、利用者への介護サービスが適切に提供されるよう、その需要に応じて計画的にサービス基盤の維持・確保を図っていく必要がある。また、担い手の不足が他の地域と比較しても更に深刻な状況にあり、訪問系サービスにおける移動に係る負担や季節による繁閑など、経営課題も顕在化してきており、サービスの質の確保や、職員の負担等への配慮を前提に、人員配置基準の柔軟化や介護事業者の連携強化を推進するための仕組みの構築が必要である

○ また、中山間・人口減少地域において不可欠なサービスを維持するために、既存の施設等も有効活用する観点から、施設等の整備について今後その機能を柔軟に変更していく必要がある。


**(特例介護サービスの枠組みの拡張)**

○ 現行制度では、居宅サービス等について、厚生労働省令で定める人員・設備・運営基準の一部を満たしていない場合であっても、都道府県等が条例で定める基準を満たすもののうち、市町村等が必要と認める場合には基準該当サービスとしてのサービス提供を可能とするほか、離島や中山間等の地域において市町村等が必要と認める場合、離島等相当サービスとして柔軟なサービスの提供を可能としている。

○ これに加えて、地域の実情に応じてサービス提供体制を維持・確保するため、人材確保、ICT機器の活用等の生産性向上の方策など、自治体が必要な施策を講じた上で、それでもなおやむを得ない場合、中山間・人口減少地域に限定した特例的なサービス提供を行う枠組みとして、特例介護サービスに新たな類型を設けることが適当である


○ この新たな類型においては、


* 職員の負担への配慮の観点から、職員の賃金の改善に向けた取組、ICT機器の活用、サービス・事業所間での連携等を前提に、管理者や専門職の常勤・専従要件、夜勤要件の緩和等を行うこと

* サービスの質の確保の観点から、市町村の適切な関与・確認や、配置職員の専門性への配慮を行うことを前提とすることが考えられ、今後、詳細な要件について、介護給付費分科会等で議論することが適当である。なお、これらの要件が自治体で厳しく解釈されると、必要な配置基準の緩和が進まなくなるのではないかとの意見があった。

新たな類型の特例介護サービスについては、現行の基準該当サービス・離島等相当サービスの対象となっている居宅サービス等(訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護、福祉用具貸与、居宅介護支援等)に加え、施設サービスや居宅サービスのうち特定施設入居者生活介護も対象とすることが適当である。また、市町村が指定権者となり実施している地域密着型サービスにおける同様のサービスについても、同様の対応を実施できるようにすることが適当である


○ なお、新たな類型の特例介護サービスについては、


* サービスの質の担保について、事後の確認を行う仕組みについても検討が必要ではないか

* 介護保険制度は全国どこでも必要なサービスを提供すべきものであり、配置基準の緩和は、慎重に対応するものとして、あくまでも緊急的な対応として行うものとすべきではないか

* ICT機器の活用などの業務効率化の取組は、必要人員を代替し得るものであるかどうか精査が必要ではないか

* まずは現行の居宅サービス等に限定し、施設サービス等を対象に含めるかどうかについては、ICT機器等の活用実績を踏まえ慎重に検討すべきではないか

* 夜勤要件の緩和については、特に職員の負担感などへの配慮が必要ではないか

との意見があったことにも留意し、今後、詳細な要件について、介護給付費分科会等で議論することが適当である


**(地域の実情に応じた包括的な評価の仕組み)**

○ 中山間・人口減少地域においては、利用者の事情による突然のキャンセルや利用者宅間の移動に係る負担が大きく、また、高齢者人口の減少に伴うサービス需要の縮小、季節による繁閑の激しさ等から、年間を通じた安定的な経営が難しく、サービス基盤の維持に当たっての課題となっている。


○ このため、特例介護サービスの新たな類型の枠組みにおいて、安定的な経営を行う仕組みとして、例えば訪問介護について、現行のサービス提供回数に応じた出来高報酬と別途、包括的な評価(月単位の定額払い)を選択可能とすることが適当である


○ こうした包括的な評価の仕組みについては、


* 利用者数に応じて収入の見込みが立つため、特に季節による繁閑が大きい地域や小規模な事業所において、経営の安定につながる

* 移動時間など、地域の実情を考慮した報酬設定が可能となるほか、突然のキャンセル等による機会損失を抑制し、予見性のある経営が可能になる

* 利用回数や時間の少ない利用者を受け入れた場合でも、収益が確保できる

* 安定的かつ予見性のある経営が可能となることで、常勤化が促進されるなど、継続的かつ安定的な人材確保につながる

* 利用者の状態変化により利用回数や時間が増えた場合でも、負担が変わらず、安心感がある等のメリットが期待される。


○ その一方で、


* 利用者ごとの利用回数・時間の差にも配慮しながら、利用者間の不公平感を抑制する必要がある

* 利用者の費用負担が急激に増えることや、区分支給限度基準額との関係でサービス利用に過度な制約がかからないよう、適切に配慮を行う必要がある

* 保険料水準の過度な上昇を抑制する観点や、対象地域の内外での報酬水準の均衡等も踏まえて、サービス提供量と比べて過大な報酬とならないようにする必要がある

* 利用回数や時間にかかわらず一律の報酬となることにより、利用者が必要以上にサービスを利用する、事業者が必要なサービス提供を控える、といったモラルハザードを抑制する必要があるといった点に十分な留意が必要である


○ このため、具体的な報酬設計については、利用者像ごとに複数段階の報酬区分を設定することや、区分支給限度基準額との関係性にも配慮しつつ包括化の対象範囲を設定するなど、きめ細かな報酬体系とする方向で検討を進める必要がある。こうしたことも踏まえて、報酬水準の設定に当たっては、現状の十分なデータ分析の下、包括的な評価の仕組みを導入する事業者の経営状況や、サービス提供状況等に与える影響を考慮しつつ、今後、介護給付費分科会等で議論することが適当である


○ また、ニーズを有する地域の事業者が迅速に対応できるよう、希望する自治体においては、第10期介護保険事業計画期間中の実施を可能とすることを目指し、第9期介護保険事業計画期間中に検討を進めることが適当である


**(介護サービスを事業として実施する仕組み)**

○ 今後、2040年を見据えると、サービスを提供する担い手だけでなく、更なる利用者の減少が進む地域も想定される中、上述のような給付における特例の仕組みを活用しても、なおサービス提供体制を維持することが困難なケースが想定される。


○ こうした地域においても、契約に基づき利用者本位でサービスを選択するという介護保険の制度理念を維持するとともに、利用者が住み慣れた地域を離れ、在宅での生活を継続することが困難となる状況を防ぐことが重要である。


○ このため、こうした場合に備えた中山間・人口減少地域における柔軟なサービス基盤の維持・確保の選択肢の一つとして、給付の仕組みに代えて、市町村が関与する事業により、給付と同様に介護保険財源を活用し、事業者がサービス提供を可能とする仕組みを設けることが適当である


○ この仕組みにおいては、要介護者等に対して、訪問介護、通所介護、短期入所生活介護等といった給付で実施するサービスを実施できるようにするとともに、こうしたサービスを組み合わせて提供することが考えられる。このようなサービス提供についても、利用者との契約に基づき、適切なケアマネジメントを経て、要介護者に対して介護サービスを提供するという点においては、給付サービスと変わりがない仕組みとすることが適当である。また、本事業は、人口減少社会の中で、被保険者(住民)のために介護サービスを維持・確保することが目的であり、その導入に当たっては、対象地域の特定と併せて、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスの一部として、被保険者(住民)等の関係者の意見を聴きながら検討することが想定される。


○ 今回の新たな事業の仕組みによる事業費については、例えば、圏域を超えて訪問する際の経費など、中山間・人口減少地域へのサービス提供に係る追加的な費用も勘案することも考えられる。なお、複数のサービスを組み合わせて弾力的に提供するケース等が想定されることを踏まえると、単独の事業所等におけるサービス提供時に要するコストと比べて、一定程度効率的に実施することも可能になることも想定される。


○ その上で、新たな事業は、地域支援事業の一類型として実施することが考えられ、その財源構成は、国、都道府県、市町村、1号保険料、2号保険料ごとに、現行の給付サービスと同様の負担割合とすることが考えられる。


○ 中山間・人口減少地域における居宅サービスが継続的に提供されることにより、当該地域における在宅の要介護高齢者が引き続き在宅で生活することが可能となること等を踏まえると、この事業の実施が当該市町村の介護保険財政に与える影響は、施設サービス等の他の給付費を含めて総体的に見ればそれほど大きなものとはならないと考えられるものの、保険財政規律を確保する観点から、当該事業費の総額についても、他の地域支援事業と同様に、高齢者の伸び率等を勘案した上限額を設定することが考えられる。


○ 包括的な評価の仕組みと同様、中山間・人口減少地域における事業者の経営やサービス提供の状況等を十分に検証の上、こうした地域において実際に活用可能なものとなるよう、都道府県や市町村の負担軽減の観点も含めて、関係者の意見を丁寧に伺いながら、検討を進めることが必要である


○ なお、介護サービスを事業として実施する仕組みについては、制度の導入により、市町村に責任が集中することにならないよう、都道府県が一定の関与をする仕組みとするなど、丁寧な検討を行うべきとの意見があった。


**(介護事業者の連携強化)**

○ 中山間・人口減少地域において、地域における介護サービス提供体制を確保するとともに、地域のサービス需要に柔軟に対応する観点から、都道府県や市町村と連携しながら、法人や事業所が、中心的な役割を果たすような仕組みが必要である


○ 例えば、法人や事業所が、


* 一定期間にわたり事業継続する役割を担うことや、

* 複数の事業所間の連携を促進するとともに、他法人・事業所の間接業務の引受けを行うこと等を通じた業務効率化等の取組を推進するといった仕組みを検討することが考えられ、法人間での人材の連携等を行う場合の配置基準の弾力化に加え、法人や事業所間の連携において中心的な役割を果たす法人・事業所に対して、ICT等のテクノロジー導入に係る補助金等による支援を行うとともに、介護報酬の加算における更なる評価等のインセンティブを付与することについて、介護給付費分科会等で議論することが適当である


**(既存施設の有効活用)**

○ 現行制度では、社会福祉法人、医療法人等が施設等の財産を有している場合で、取得の際に国庫補助がなされている場合においては、転用・貸付の後に社会福祉事業を行う場合であっても、財産取得から10年未満の転用の場合等には、原則補助金の国庫返納が必要となっている。


○ 中山間・人口減少地域の既存資源を有効活用しながら、地域のサービス需要の変化に柔軟に対応するため、国庫補助により取得・改修等をした介護施設等を別の用途に供する際、一定の範囲内で国庫納付を求めない特例を拡充することが必要である


○ 具体的には、中山間・人口減少地域に所在する介護施設等について、経過年数10年未満の場合の厚生労働省所管施設への転用等の特例として、


* 当初の事業を継続することが介護保険事業計画等の達成に支障を生じるおそれがあると自治体が判断する場合は、福祉施設(高齢者・障害者・児童施設)への全部転用等(高齢者施設が含まれる場合に限る。)の際の国庫納付を不要とする

* 高齢者人口の急減など、真にやむを得ない場合において、他の施設との統合等のため高齢者事業を廃止する場合は、自治体、地域の事業者・関係者・住民との合意形成を図った上で介護保険事業計画等へ位置付けることを条件に、福祉施設以外の厚生労働省所管施設等(こども家庭庁所管施設の一部、サ高住を含む。以下同じ。)への転用等の際の国庫納付を不要とする

ことが適当である


○ また、厚生労働省所管施設等以外への転用等の特例としては、中山間・人口減少地域に所在する経過年数10年以上の介護施設等について、他の地域に当該介護施設等の機能移転を行う場合であって、かつ、地域の合意形成のプロセスを経ているときは、厚生労働省所管施設等以外の地域福祉の増進に資する施設等への転用や取壊しの際の国庫納付を不要とすることが適当である


**(調整交付金の在り方)**

○ 保険者の責めによらない要因による1号保険料の水準格差を全国ベースで平準化するために市町村に交付される普通調整交付金については、これまで、


* 65歳~74歳と75歳以上の2区分による調整から、85歳以上を加えた3区分に細分化(第7期介護保険事業計画期間から)

* 各区分の要介護認定率により重み付けしていたものを、各区分の介護給付費により重み付けを行う方法に見直し(第8期介護保険事業計画期間から)を行うことにより、高齢者の分布等を踏まえた調整機能の精緻化を行ってきた。


2040年に向けては、自治体・地域の規模によって、高齢化や人口減少のスピードに大きな差が生じることも踏まえ、より精緻な調整を行う観点から、普通調整交付金における年齢区分を、現行の6574歳、7584歳、85歳以上の3区分から、5歳刻みの7区分に変更することが適当である。なお、実施時期や激変緩和措置についても、適切に検討することが必要である


#### 3.大都市部・一般市等における対応


**(現状・基本的な視点)**

○ 高齢者人口が2040年にかけて増加し続け、サービス需要が急増する大都市部においては、増加する介護ニーズに応える仕組みを検討する必要がある。地域の民間事業者による創意工夫とともに、地域に根ざした公的なサービス提供も重要であり、このような公と民の介護事業者の力を組み合わせ、多様なニーズに対応した多様なサービスを提供するとともに、ICTAI技術など、民間活力も活用したサービス基盤を整備することが重要である。


○ そのため、高齢者のニーズに沿った多様な住まいを充実していくとともに、多様な住まいに対応した様々なサービスを組み合わせ、利用者のために提供する体制整備が必要である。(Ⅱ3参照)


○ また、ICTAI技術も活用し、24時間365日の見守りを前提として、緊急時や利用者のニーズに応える効率的かつ包括的なサービス提供の在り方を検討することも考えられる。ICT、センサーやAI技術がより発展すれば、緊急時の予測の精度が上がり、サービスの業務効率性が増加していくが、そのためにはテクノロジーの一層の発展のための支援を行う必要がある。(Ⅲ2参照)


○ 一般市等においては、既存の介護資源等を有効活用しながら、需給の変化に応じて、サービスを過不足なく確保することが必要である


**(定期巡回・随時対応型訪問介護看護と夜間対応型訪問介護の統合)**

○ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護高齢者の在宅生活を24時間支えるサービスとして、日中・夜間を通じて訪問介護と訪問看護の両方を提供し、「定期巡回」と「通報による随時対応」を行っており、特に今後増加する都市部における居宅要介護者の介護ニーズに対して柔軟に対応することが期待されている。一方で、夜間対応型訪問介護は、夜間における「定期巡回」と「通報による随時対応」を行うもので、これまでの本部会等の議論においても、両サービスは機能が類似・重複しており、将来的な統合・整理に向けた検討の必要性について指摘があったところである。


○ 両サービスの機能・役割や、将来的なサービスの統合を見据えて段階的に取り組んできた状況を踏まえ、また、


* 夜間対応型訪問介護の多くの利用者は日中の訪問介護を併用しており、日中・夜間を通じて同一の事業所によって24時間の訪問介護(看護)サービスを一体的に受けられることは、夜間対応型訪問介護の利用者にとって効果的と考えられること

* 8割以上の夜間対応型訪問介護事業者が定期巡回・随時対応型訪問介護事業所も運営しており、定期巡回・随時対応型訪問介護事業所にとっては、事業所の指定手続や報酬請求事務等が効率化されるなど、限られた地域資源の有効活用にも資すること

* 令和6年度介護報酬改定で設けた定期巡回・随時対応型訪問介護看護の新区分について、利用者に不利益は生じていないと考えられること

から、夜間対応型訪問介護を廃止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と統合することが適当である


○ なお、この際、必要な人員の確保やサービスの認知度向上など、利用者・事業者双方への影響にも十分配慮する必要があることから、一定の経過措置期間を設けた上で、人員配置基準や報酬に関して特例的な類型を設けることが適当である

### Ⅱ 地域包括ケアシステムの深化


#### 1.地域包括ケアシステムの深化に向けて


○ 介護分野においては、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進している。


○ これまで2025年を目途に各地域で進められてきた地域包括ケアシステムを支える体制・基盤の整備は、地域包括支援センターが全市町村、5,487か所(令和7年4月末現在)に設置されるなど、全国ベースでは着実に進んできている。


○ 一方で、インセンティブ交付金等の評価指標等を用いて自治体の規模別に見ると、例えば、地域におけるリハビリテーションの推進に向けた取組について、大規模市町村では91.9%の実施に対して小規模市町村では64.5%、認知症カフェについて、大規模市町村では100%の設置に対して小規模市町村では75.0%、在宅医療・介護連携の推進に係る協議会について、大規模市町村では85.8%の設置に対して小規模市町村では43.5%など、小規模の自治体においては取組状況が相対的に低い傾向も見て取れる。


○ こうしたことも意識しながら、地域の実情に応じて、可能な限り住み慣れた地域で高齢者自身が自立して日常生活を営むことができるよう、地域包括ケアシステムの構築は引き続き進めていく必要がある。2040年に向けて、以下のポイントを踏まえた上で、都道府県・市町村及び関係者が地域の状況に合わせて深化させていくことが必要である


**(人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築)**

○ 高齢者人口の変化に伴い、中山間・人口減少地域、大都市部、一般市など、サービス需要に大きな地域差が生じることとなる。2040年を見据えた対応も踏まえつつ、利用者にとって切れ目ないサービス提供が可能となるようにしていくため、それぞれの地域類型を意識しながら、都道府県・市町村等の関係者間でサービス基盤の維持・確保に向けた議論を行うことが必要である。(Ⅰ参照)


**(医療・介護連携の推進)**

2040年にかけて、介護と医療の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者が一貫して増加する。適切な医療・介護サービスの受け皿を確保するため、2040年に向けた医療・介護連携に係る提供体制等について、各地域において新たな地域医療構想とも議論を接続させて検討を行うことや、そのために地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針(以下「総合確保方針」という。)に基づく医療と介護の協議の場を実効性の伴う形に再編成した上で、2040年に向けた介護の提供体制等についても本格的に議論するための体制を構築することが重要である。


**(有料老人ホームの事業運営の透明性確保、高齢者への住まい支援)**

○ 高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域において医療・介護等のサービスが包括的に提供される前提となる住まいの確保は重要である。多様な介護ニーズの受け皿として増加している一方で、入居者の保護やいわゆる「囲い込み」等の課題も指摘されている有料老人ホームについて、サービスの質や事業運営の透明性を確保すること、また、住まいの確保が困難な事情を抱える高齢者への支援の充実が重要である。


**(介護予防の推進、総合事業の在り方)**

○ 効果的な介護予防の推進のためには、地域の実情に応じて、地域支援事業の必要な事業を組み合わせたり、高齢者の保健事業と一体的に進めたりすることで、介護予防、日常生活支援に取り組んでいく必要がある。市町村が中心となって、医療・介護専門職がより専門性を発揮しつつ、高齢者や住民主体の活動団体、地域運営組織、NPO法人、社会福祉法人、医療法人、社会福祉協議会、地縁組織、協同組合、民間企業、シルバー人材センター、介護サービス施設・事業所、老人クラブ、家政婦(夫)紹介所、商工会議所・商工会、民生委員等の多様な主体を含めた地域の力を組み合わせた支え合いの体制づくりを効果的に行えるよう支援していくことが重要である。また、評価において、介護予防及び自立支援の効果測定が重要な取組は、利用実態等を把握しやすい環境づくりが評価の推進に必要になる。


**(相談支援等の在り方)**

2025年に団塊の世代が全て後期高齢者となり、2040年に向けては、医療ニーズを有する高齢者、認知症高齢者、頼れる身寄りがいない高齢者等が増加する中で、住み慣れた地域で尊厳をもって暮らすことができるよう、介護保険を始めとした多分野のサービス等と、住民主体の活動を含め地域の多様な主体による取組等を組み合わせた支援を行うことが重要である。加えて、地域における相談体制を確保・充実させるため、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターの適切な連携・役割分担を図ることが必要である。なお、頼れる身寄りがいない高齢者等への対応については、別途、福祉部会においても支援体制について取りまとめられたところ、こうした対応も含め、民間サービスを含む地域の様々な関係者の連携の中で対応することが適当である


**(認知症施策の推進等)**

○ 国の認知症施策推進基本計画を踏まえ、都道府県や市町村がそれぞれの実情に即した認知症施策推進計画を策定し、認知症施策を計画的に進め、認知症の人・家族が安心して暮らせるために、本人や家族が参画した共生社会を実現していくことが重要である。また、複雑化・複合化した課題を抱える高齢者やその家族の多様なニーズに応えられるよう、家族介護者支援に係る実態・ニーズに沿った施策の充実が必要である



#### 2.医療・介護連携の推進


**(現状・基本的な視点)**

2040年にかけて、介護と医療の複合ニーズを有する85歳以上の高齢者が一貫して増加し、85歳以上の方の要介護認定率は58.2%とそれまでに比べて上昇する中、地域包括ケアシステムにおいて、これらの者が適切な医療・介護サービスを受けられるよう受け皿を確保する必要があるほか、急変があった際に必要な通院、入院等ができるよう、医療と介護の連携を強化していく必要がある。


○ また、慢性期の患者が増加し、医療機関、介護保険施設等、居宅のいずれかでケアされる状況の中、在宅や介護施設における高齢者救急を支える包括的な機能を有する医療との連携も必要となる。


○ 令和6年度同時改定において、施設等における高齢者の急変時における対応等を念頭に、介護保険施設と協力医療機関との連携を強化する改定が行われた。協力医療機関について、二次医療圏まで広げて医療・介護連携のマッチングができていない福祉施設・介護施設が一定程度あり、地域差も大きいとの指摘がある。


○ 今般の改正医療法に基づき、新たな地域医療構想は入院のみならず、外来・在宅、介護との連携等も対象となり、かつ、医療機関から都道府県に医療機関の機能を報告することとなる。令和9年度から施行となる新たな地域医療構想等との接続の観点から、都道府県の担うべき役割や市町村の担うべき役割の整理を行うとともに、地域において様々な場面や主体間で医療と介護が連携して対応していくことが必要である


○ 都道府県は、医療計画、介護保険事業支援計画を一体的に作成し、計画の整合性を確保するための総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場を、原則、二次医療圏単位(老人福祉圏域と概ね一致)で設置することとされているが、実効的な協議が行われていない区域が相当数存在する。


**(医療と介護の協議の場)**

○ 医療と介護の連携という観点でも、2040年に向けて、都道府県と市町村が共通の課題認識をもち、市町村を越えた広域的な議論を行い、必要な取組を進めることが求められる。総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場について、開催時期や構成員等を見直すことも含め、単に計画の整合性を確保する場ではなく、2040年に向けた医療・介護連携に係る提供体制等について本格的に議論を行う場として、実効性を伴う形に再編成することが適当である


○ 第10期介護保険事業計画期間から総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場の運用を見直し、介護保険事業(支援)計画との関係では、例えば、総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場の開催前に、都道府県と市町村の介護担当者で認識を合わせた上で、当該協議の場において、介護側からも医療・介護連携に関する課題提示や情報共有が行えるようにすることが妥当である。その際、請求情報(介護DBNDB)等に基づく地域の医療介護の提供体制に係る地域課題の検討を行うなど、当該議論がより実効性を伴うものとなるよう、必要な取組を行うことが適当である


○ 加えて、2040年に向けた介護の提供体制等について本格的に議論するための体制を構築することが重要であり、そのためには、既存の介護保険事業(支援)計画の策定プロセスの中で、市町村の場合は在宅医療等に関する区域、都道府県の場合は二次医療圏とほぼ一致する老人福祉圏域を念頭に置きながら、市町村を越えた広域的な視点で議論する場とすることが適当である。(Ⅳ1参照)


○ なお、医療機関と介護施設等の具体的な連携に向けた取組については、地域医療構想及び医療計画等に関する検討会において、地域医療構想調整会議等の既存の場も活用しながら検討・協議することが検討されている。2040年に向けた介護の提供体制等の議論の場における介護側での医療・介護連携に係る十分な議論を行った上で、地域医療構想調整会議や総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場(地域医療構想調整会議の下にWGを設置するなどの柔軟な運用が可能)等において医療側と必要な協議を行うことが重要である。医療・介護連携に係る議論の場については、平時から市町村において実施することが重要との意見もあった。


**(協議の場における検討事項)**

2040年に向けた医療・介護連携に係る提供体制を構築するため、第10期介護保険事業(支援)計画の策定プロセスから、総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場において、足下の検討事項としては、


* 請求情報(介護DBNDB)等に基づく地域の医療介護の提供体制に係る地域課題の検討

* 慢性期の患者について、患者像が一部重複する者を対象とするサービス(療養病床・在宅医療・介護保険施設)が具体的にどのように受け皿となっていくかの検討

* 高齢者施設等と協力医療機関の連携について未対応の施設へのマッチング


また、中長期的な検討事項としては、


* 医療と介護それぞれの2040年の見込量、地域における医療・介護の在り方

* 医療や住まいも含めた需要に適した提供体制への転換

* 事業所の協働化等、連携の推進の検討

* 広域的な医療・介護提供体制の必要性の検討

* 入退院支援における医療と介護の連携の在り方の検討

等の事項について議論を行い、介護保険事業(支援)計画に必要な取組等を位置付けることが適当である


**(在宅医療・介護連携推進事業)**

○ 在宅医療・介護連携推進事業では、地域の医師会等の関係者とも連携し、相談窓口の設置や看取り時等の情報連携ツールの整備を行っているが、自治体によって取組に差がある状況である。今後、かかりつけ医機能を都道府県に報告することとなることに加え、在宅医療に必要な連携を担う拠点を都道府県が医療計画に位置付けている中、地域の医療・介護資源の状況に留意しつつ、普及していくことが必要である


#### 3.有料老人ホームの事業運営の透明性確保、高齢者への住まい支援


**(現状・基本的な視点)**

○ 地域においてそれぞれの生活のニーズにあった住まいが提供され、かつ、その中で生活支援サービスを利用しながら個人の尊厳が確保された生活が実現されることが、保健、医療、介護等のサービスが提供される前提となる。独居の高齢者や住まいの問題を抱える高齢者の増加が見込まれる中、住まいをいかに確保するかは、老齢期を含む生活の維持の観点に加え、地域共生社会の実現や深化という観点からも重要な課題である。


○ 有料老人ホームやサ高住等の高齢者住まいは、多様な介護ニーズの受け皿として、介護サービスの提供の場となっており、終の住処としての役割も増している。特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護付き有料老人ホームのみならず、住宅型有料老人ホームにおいても、自法人又は関係法人が運営する介護サービス事業所等と事実上一体となって、介護度の高い高齢者や医療的ケアの必要な高齢者等を受け入れる事業も展開している。


○ 有料老人ホームのような形態のサービスは、各地域において介護施設との役割分担の下、健全に発展していくことが期待される。


○ こうした中、一部の住宅型有料老人ホームにおける入居者に対する過剰な介護サービスの提供(いわゆる「囲い込み」)の問題が長年にわたり指摘されており、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年1222日閣議決定。以下「改革工程」という。)において「事業実態を把握した上で、より実効的な点検を徹底するとともに、サービス提供の適正化に向けた更なる方策を検討し、必要な対応を行う」こととされた。


○ さらに、有料老人ホームの入居者の安全等が脅かされる事案として、令和6年秋頃に、住宅型有料老人ホームにおいて、給料の未払いに伴う職員の一斉退職により入居者へのサービス提供が行われず、入居者が短期間に転居を余儀なくされた事案が発生した。また、同年秋頃には高齢者住まいの入居者紹介事業者に対する高額紹介手数料の支払に係る課題が浮き彫りとなった。


○ こうした有料老人ホームの運営の透明性や、提供されるサービスの質の確保に関する課題が指摘されており、現行の届出制の下での都道府県等による指導監督の限界も指摘されている。


○ また、高齢者単身世帯の更なる増加、持ち家率の低下など、住まいの確保に困難を抱える高齢者の増加が見込まれ、住まい支援のニーズは今後ますます高くなることが想定される。有料老人ホームやサ高住等の高齢者住まいや、居宅での生活が困難な低所得の者の受け皿としての機能を果たしている養護老人ホーム・軽費老人ホームが地域のニーズに応じて適切に確保されることが重要である。


○ 養護老人ホーム・軽費老人ホームについては、三位一体の改革によって税源移譲され、自治体単独で負担・助成しており、それぞれ市町村、都道府県に対して地方交付税措置がなされている。そうした中、自治体における社会経済情勢や地域の実情等を勘案した運営費の改定が進まず、経営が悪化している施設が一定数あること、市町村の措置制度を含め認知度が高いといえず、制度の活用促進が課題となっている。


○ そうした中、令和7年度老人保健健康増進等事業として、「養護老人ホーム及び軽費老人ホームの適切な運営に向けた地方自治体の取組に関する調査研究事業」において、更なる認知度向上や各自治体における活用促進に向けた方策を検討しているところである。


○ また、令和6年に改正住宅セーフティネット法が成立し、居住支援法人等が大家と連携し、見守りや福祉サービスへのつなぎを行う「居住サポート住宅」が創設され、市区町村による居住支援協議会の設置や、居住支援協議会と地域ケア会議等の福祉関係の会議体との連携が努力義務化された。居住支援協議会等の場も活用しながら、住宅部局と福祉部局が連携し、住まいの確保と生活支援の一体的な支援の推進や、低廉な家賃の住まいを活用した高齢者の居住の確保を図ることが重要である。


**(有料老人ホームにおける安全性及び質の確保)**

○ 安全性の確保やサービスの適切な選択の確保の必要性の観点から、一定の有料老人ホームについては、行政の関与により入居者保護を強化すべく、登録制といった事前規制を導入することが適当である。この事前規制の対象は、入居する要介護者等の安全の確保や、認知症や医療ニーズへの対応の必要性が高いことを踏まえ、中重度の要介護者や、医療ケアを要する要介護者等を入居対象とする有料老人ホームとすることが適当である。また、実態としてこれらの者が入居している有料老人ホームや、軽度の高齢者のみが入居しているが中重度以上になっても住み続けられるとしている有料老人ホームについても、対象とすることが考えられる。その際、全ての有料老人ホームにおいて入居者の尊厳や安全性等の確保が求められる旨を明確化する必要がある。なお、入居者の尊厳の保持や適切な処遇の確保は全ての有料老人ホームに求められるものであり、全ての有料老人ホームを事前規制の対象にすべきとの意見があった。


○ 自治体が事前規制の対象となる有料老人ホームについて適切に判断・把握ができるよう、全ての有料老人ホームに対し、契約書に入居対象者(入居可能な要介護度や医療の必要性、認知症、看取り期の対応の可否)を明記し、公表するとともに、自治体に提出する事業計画上記載することを義務付ける必要がある。


○ こうした制度を導入する場合、特定施設やサ高住との均衡に配慮しつつ、介護・医療ニーズや夜間における火災・災害等緊急時の対応を想定した職員の配置基準、ハード面の設備基準、虐待防止措置、介護事故防止措置や事故報告の実施等について法令上の基準を設ける必要がある。また、看取りまで行うとしている有料老人ホームについては、看取り指針の整備が必要と考えられる。


○ また、こうした制度を導入する場合、参入後の事業運営の質の維持が確保されることも重要であるため、更新制の設定等が必要である。また、不正等の行為により行政処分を受けた事業者について、役員等の組織的関与が認められる場合には、一定期間、開設を制限する制度を導入することも必要である


○ 事業廃止や停止等の場合においては、事業者が、十分な時間的余裕を持って説明するとともに、入居者の転居支援、介護サービス等の継続的な確保、関係機関や家族等との調整について、行政と連携しながら責任を持って対応することに関する一定の義務付けが適当である


○ 事業者自らの質の改善と高齢者やその家族の適切なサービス選択に資するため、情報公表システムの充実と併せ、事業者団体による既存の第三者評価の仕組みを制度的に位置付けることが適当である



**(入居者による有料老人ホームやサービスの適切な選択)**

○ 入居契約の透明性を確保する観点から、全ての有料老人ホームが、契約書や重要事項説明書、ホームページ等において、十分な説明や情報提供を行うことを確保する必要がある。また、契約書や重要事項説明書を契約前に書面で説明・交付することを義務付けることが適当である


**(入居者紹介事業の透明性や質の確保)**

○ 高齢者やその家族、自治体、医療機関、地域包括支援センター、介護支援専門員(ケアマネジャー)、医療ソーシャルワーカー等が、事業者団体が実施している現行の紹介事業者届出公表制度における行動指針にのっとり適切に事業を運営している紹介事業者を、確実に確認・選択できるよう、同制度を前提に、公益社団法人等が一定の基準を満たした事業者を優良事業者として認定する仕組みを創設することが適当である


**(いわゆる「囲い込み」対策の在り方)**

○ 有料老人ホームへの入居時に、入居希望者への自由なサービス選択が確保されることが重要であり、有料老人ホームと併設・隣接する介護サービス事業所が同一・関連法人、若しくは提携関係等にある場合において、居宅介護支援事業所やケアマネジャーの独立性を担保する体制の確保として、指針の公表、施設長・管理者への研修、相談担当者の設置等の措置を行うことが適当である


○ また、入居契約において、有料老人ホームと併設・隣接、若しくは同一・関連法人や提携関係のある介護サービス事業所や居宅介護支援事業所の利用を契約条件とすることや、利用する場合に家賃優遇といった条件付けを行うこと、かかりつけ医やケアマネジャーの変更を強要することを禁止する措置を設けることが適当である


○ 有料老人ホーム運営事業者が介護サービス等と同一・関連事業者である場合は、当該有料老人ホームの事業部門の会計と、介護サービス等部門の会計が分離独立して公表され、その内訳や収支を含めて確認できることが必要である


**(特定施設入居者生活介護)**

○ 介護保険事業計画においては、ニーズに応じて適切に特定施設を含む各サービスの必要量を見込むことが重要である。そのため、入居者が必要とする介護サービスが特定施設と変わらない場合や、一定人数以上の中重度の要介護者を中心に受け入れる等の場合、人員や設備、運営体制について一定以上の体制が求められる特定施設への移行を促すことが必要である



○ また、第10期介護保険事業(支援)計画や老人福祉計画の策定に向けて、都道府県との連携により、高齢者住まいごとの基本情報(例えば定員数や実際の入居者数、特定施設の指定の有無等の情報の一覧)、入居者の要介護度別の人数や割合等の集計情報、高齢者住まいのマッピング等を、保険者たる市町村自身が把握・整理していく仕組みが必要である。このため、有料老人ホームにおける入居定員総数や要介護者の入居状況について、介護保険事業(支援)計画の記載事項を整理することが必要である


**(ニーズに応じた住まいの選択)**

○ 養護老人ホーム・軽費老人ホームについては、居宅での生活が困難な低所得の者の住まいの選択肢の一つとして、更なる認知度向上を図るとともに、各自治体における活用促進のため、施設が抱える課題や現状、自治体の取組や好事例を把握した上で、自治体に対する説明会や会議等を通じて、都道府県における広域的な支援を促進していく必要がある。


○ 養護老人ホーム・軽費老人ホームの経営改善に向け、それぞれの自治体の管内に所在する施設の収支差等の経営状況の分析を通じて、経営状況を踏まえた基準引上げの助言を行うなどの自治体に対する伴走支援を推進していく必要がある。


**(住まいと生活の一体的支援)**

○ 改正住宅セーフティネット法が目的とする自治体住宅部局と福祉部局の連携による包括的な住まい支援体制の構築に向けて、基本指針の策定に当たっては、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるための居住施策との連携を促進する観点から、介護サービス等に関する施策を、居住等に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進することが重要であること等の内容を盛り込むことが適当である


○ また、地域支援事業の一つである「高齢者の安心な住まいの確保に資する事業」について、令和6年に改正住宅セーフティネット法が成立したことを踏まえ、取組の具体的な例示や居住支援法人等への事業委託が可能である旨を明確化するなど、要綱の見直しを行ったところ、こうした事業を活用し、高齢者が民間賃貸住宅等に円滑に入居して安心して生活ができるよう、不動産関係団体や地域の関係者、住宅部局・福祉関係部局等が連携して、総合的・包括的に支援できる体制を構築することが求められる。


#### 4.介護予防の推進、総合事業の在り方


**(現状・基本的な視点)**

○ 要介護(要支援)の認定者数は、2022年度末現在で694万人であり、介護保険制度施行後の23年間で約2.7倍に増加している。一方で、ピーク時の2015年の要介護認定率(年齢調整済み)が17.9%であったのに対して、足下の2023年の要介護認定率は16.3%となっており、減少傾向にある。必要な人に必要な給付を届けることを前提としつつ、引き続き、介護予防を推進し、高齢者の自立支援や重度化防止に取り組むことが重要である。


○ 総合事業については、令和6年8月までに地域支援事業実施要綱等の改正を行い、その充実に向けた取組を推進しているところである。令和7年5月末時点における各市町村の総合事業のサービス・活動事業等の実施状況を見ると、類型ごとのサービス・活動の実施市町村の割合は、訪問型・通所型ともに従前相当サービスの割合が最も高くなっている。また、市町村が評価を踏まえた改善に十分に取り組めていない実態があるなど、多様な主体の参画による多様なサービス・活動の充実に向けては、引き続き、市町村が実効的に取組を進めることが重要である。


○ 中山間・人口減少地域では、担い手不足が進んでいることにより、要介護者を含めたサービス提供体制に課題が生じている。こうした中で、介護予防や重度化防止等に取り組むことがより一層重要となるが、こうした中山間・人口減少地域においては、市町村が限られた体制で自ら現状・課題を評価した上で地域をリデザインしていくことには一定の課題がある。多分野にわたる関係者が協働し、より積極的に地域づくりを行える体制を整備するためには、都道府県による伴走的支援も必要である


○ 住民主体の通いの場への参加や高齢期における就労など、高齢者の社会参加の拡大が、要介護状態となるリスクや認知症発生リスクの低減に効果があるとの研究成果が繰り返し報告されている。要介護認定率の減少に効果的な施策を展開するために、介護予防施策の実施状況や取組の評価を行える体制を整備することも必要である。その際、都道府県や市町村が取り組みやすいよう、既存データを活用するなどの工夫が必要である


**(総合事業)**

○ 市町村が、総合事業のサービス・活動の実施状況について適切に評価を行い、当該評価を踏まえて実効的に改善を図ることができるよう、自治体の関係者が取り組みやすくなるような効果検証手法の具体化を進めていくことが適当である


○ 市町村の総合事業の基盤整備を推進するため、都道府県が伴走的な支援や生活支援体制整備に係るプラットフォームの構築といった多様な主体とのつながりづくり等の更なる支援を行うことが重要であり、都道府県介護保険事業支援計画への位置付けにより支援を推進することが適当である。その際、都道府県は、支援により多様な主体とのつながりが推進されているか確認しながら進めることが重要である。


○ 各サービス・活動の質の向上のために、利用者の要介護度や利用者への効果に着目して分析・評価を行うことが重要である。特に、介護予防及び自立支援の効果が増大すると認められる者に対して、本人の目標達成のための計画的な支援を保健医療専門職により提供するサービス・活動Cについては、実施状況とともに、利用者の要介護度や心身機能の変化を把握することが重要であることから、指定事業者による請求・支払の仕組みを活用して介護レセプトとして実施の状況等を収集する新たな仕組みを構築するとともに、関連データを組み合わせた評価を可能とすることが適当である。なお、サービス・活動C以外についても、全ての類型のサービス・活動の利用者の利用状況や要介護度を把握できるように、データベースを作り見える化すべきとの意見があった。


○ 高齢者の介護予防や日常生活支援は総合事業だけで実現できるものではなく、地域における互助を推進するとともに、総合事業に該当しない多様な活動や事業を含めた、地域の支え合い体制の状況把握と評価が重要である。


○ 総合事業の評価にその結果を活用することが可能な介護予防・日常生活圏域ニーズ調査(以下「ニーズ調査」という。)について、第11期介護保険事業計画の策定に当たって実施するニーズ調査に向けて、国が標準的な調査方法等を提示した上で、そのデータを収集し、各市町村が効果的な介護予防施策を展開できるよう、見直しを検討する必要がある。その際、国や自治体等が関連データを有効活用し、各施策を評価・改善するための環境整備を行うことが必要である


○ 都道府県が実施している地域リハビリテーション支援体制の整備や市町村が実施している通いの場の取組、サービス・活動C、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等の介護予防関連施策は、従来、個別事業として取り組んできたが、効果的な介護予防の取組を進めるためには、地域の実情に応じた関連施策の連携の方法や医療専門職等の適切な関与の方策について議論を進めていく必要がある。


○ 通いの場での医療専門職の活用が推奨されているが、現状として医療専門職の確保が困難な中で、例えば、年に数回、介護老人保健施設等において通いの場を開催することで医療専門職が関与する機会を確保し、活動の質を高めるなど、施設と連携した体制を構築していくことも重要である。


**(介護予防を主軸とした多機能の支援拠点)**

○ 「通いの場」は、住民主体の介護予防の取組を推進する場として、高齢者の社会参加を促すとともに、地域における支え合い機能や多世代交流の場として機能することで、地域共生社会の実現の一翼を担ってきた。


○ 今後、高齢者支援の担い手が不足することを見据え、高齢者の健康寿命の延伸に資する介護予防の取組を中心に、多様な機関や関係者、地域住民等の連携を図り地域で支え合うことが必要になる。


2040年を見据えると、高齢化や人口減少のスピードについては地域によって大きな差が生じ、また、サービス供給の状況も地域によって様々となることが想定されるため、幅広い市町村において、高齢者の介護予防を主軸とし、障害、子育て、生活困窮等の地域の抱える課題の支援を一体的に実施する多機能の拠点を整備し、その運営を推進する事業について、総合事業に位置付けることが適当である


**(保険者機能強化推進交付金等)**

○ 限られた資源を活用して地域の実情に合わせた取組で成果を上げている自治体がより適切に評価される仕組みが重要である。


○ 適切に自治体の取組が進むような評価指標の設計が重要である。そのためには、データの標準化や分析を恒常的に行いながら、指標の一層の精緻化を図っていく必要がある。



#### 5.相談支援等の在り方


**(現状・基本的な視点)**

2025年に団塊の世代が全て後期高齢者となり、慢性疾患や複数の疾患を抱える患者等の医療ニーズが高い高齢者、認知症高齢者など、複合的な課題を抱える世帯の増加等が見込まれている。また、世帯数の推移を見ると、高齢者単身世帯は更に増加し、2050年頃には全世帯のうち5世帯に1世帯が高齢者単身世帯になることが想定されており、こうした世帯構成の変化に伴って、頼れる身寄りがいない高齢者や独居の認知症高齢者等(以下この5.において「頼れる身寄りがいない高齢者等」という。)の増加が見込まれている。


○ こうした中で、高齢者が住み慣れた地域で尊厳をもって暮らすことができるよう、退院支援や認知症ケアパスにおける医療・介護の連携のハブとして、在宅の中重度者を支えるためのケアマネジメントの推進が必要である。また、高齢者の抱える様々な生活課題について、介護保険のサービスと地域の様々なサービス等を組み合わせた支援を行うことが必要である


○ こうしたニーズも踏めて、地域として必要な相談支援が提供されるよう、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所は、適切な連携・役割分担を図ることが必要であり、


* 地域包括支援センターは、医療・介護連携を始めとする地域のネットワークづくりや、地域における社会資源の創出など、地域全体の支援に重点を置き、

* 居宅介護支援事業所は、医療機関や地域の関係者との連携の下、個々の利用者に対するケアマネジメントに重点を置き、地域の様々な社会資源をケアプランに位置付けることによる個別的な支援を推進することが適当である


○ 一方で、特に、頼れる身寄りがいない高齢者等への生活課題については、地域の適切なつなぎ先が明確化されていないこと等により、現在でも、ケアマネジャー等が法定外業務(いわゆるシャドウワーク)として実施せざるを得ないケースも増加している。ケアマネジャーがその専門性を発揮し、個々の利用者に対するケアマネジメント業務に注力できるようにすることが重要である中で、地域課題として地域全体で対応を協議することが必要である


○ こうした課題に対応するに当たっては、基本的には市町村が主体となって、地域包括支援センターやケアマネジャーの協力を得ながら、関係機関間の連携により、地域ケア会議等を活用して地域課題として議論し、制度の活用や地域資源の活用を含めて、必要な資源を整理するとともに、必要な関係者・関連事業につなげていくことが考えられる。


○ 地域ケア会議の活用や相談体制の整備等に当たっては、生活圏域の高齢者のニーズをきめ細かく把握している地域包括支援センターの役割が非常に重要であるが、こうした取組を主導するに際して、業務量過多、地域での連携機関の不足といった課題が指摘されており、地域包括支援センターの業務の在り方について、整理することが必要である


○ また、ケアマネジャーは、高齢者が最期まで尊厳をもって自分らしい自立した日常生活を送ることができるようにするための要であり、高齢者が抱える課題の複雑化・複合化に伴って、多様な対応が求められ、その役割の重要性は増大している。一方、足下において、ケアマネジャーの従事者数は横ばい・減少傾向にあり、生産年齢人口の急速な減少が見込まれる中で、将来的な人材確保が課題である。このような中にあっても、ケアマネジャーが、医療・介護の連携のハブとして、その専門性を十分に発揮し、一人一人の高齢者に寄り添ったケアマネジメントに注力できる環境を整備することが必要であり、人材確保、業務負担軽減、資質の向上等の施策を総合的に講じることが必要である


**(頼れる身寄りがいない高齢者等への支援に向けた地域ケア会議の活用促進等)**

○ 頼れる身寄りがいない高齢者等の抱える生活課題を地域として対応する観点から、各市町村における地域ケア会議の活用を更に推進し、実効的な課題解決につながるような取組を推進することが必要である


○ それに当たって、日常生活圏域など、よりきめ細かな地域ごとの課題に対応するため、地域ケア会議の運営について市町村から地域包括支援センターへの一部委託を可能とすることが適当である


○ また、頼れる身寄りがいない高齢者等を始めとした高齢者の生活ニーズ等を地域課題として解決していくには、基本的には市町村が主体となって関係者を含めて地域全体で対応を協議し、必要に応じて社会資源の創出を図るなど、利用者への切れ目のない支援が提供される地域づくりを推進することが必要である。この観点から、地域ケア会議においては、地域づくりにかかわる生活支援コーディネーター、認知症地域支援推進員、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)等の関係職種の役割も重要である。


○ あわせて、多様な困りごとを地域全体で支えていくためには、障害や生活困窮等の福祉分野や、住まい・交通・消費者保護など、関連する他分野との連携を推進することが必要であり、他の分野の会議体と地域ケア会議の連携を進めることや、地域の関係主体の柔軟な参加を促すことが適当である


○ 地域において、頼れる身寄りがいない高齢者等に対する相談体制の充実を図るため、地域包括支援センターが実施する包括的支援事業(総合相談支援事業)において、頼れる身寄りがいない高齢者等への相談対応を行うことを明確化し、住民を含めた地域の関係者との協働や多機関連携の役割を更に発揮できるようにすることが適当である。あわせて、地域包括支援センター等で相談支援を行う際、地域ケア会議での成果も活用しながら、適切なつなぎ先や活用できる制度が明確となるような取組を推進することが必要である


○ また、こうした相談に対応するケアマネジャー等の資質向上の観点や、地域の様々な関係者が連携・協働して対応を行う体制づくりを推進する観点から、包括的・継続的ケアマネジメント支援事業においても、頼れる身寄りがいない高齢者等に係る課題への対応を含めることを明確化することが適当である


○ 市町村等において頼れる身寄りがいない高齢者等の把握や関係者間の情報共有のために緊急時の連絡先の登録等の事業を行うケースもあるところ、こうした事業の円滑な実施等に向けた方策の整理が必要である


**(介護予防支援・介護予防ケアマネジメントの在り方)**

○ 介護予防ケアマネジメントのうち約4割は地域包括支援センターから居宅介護支援事業所への一部委託により実施されている実態を踏まえ、地域包括支援センターの更なる業務負担軽減や、居宅介護支援事業所における円滑なケアマネジメントを促進する観点から、利用者の属性を問わず、介護予防ケアマネジメントについても居宅介護支援事業所による直接実施を可能とすることが適当である


○ 加えて、介護予防ケアマネジメントについては、アセスメントの結果に基づくケアマネジメントプロセスの効率化を図ってきていることを踏まえ、介護予防支援のプロセスについても効率的な実施に向けた検討必要である


**(ケアマネジャーの資格取得要件の見直し)**

○ ケアマネジャーの新規入職を促進するとともに、医療・介護の連携の要として多様な背景を持つケアマネジャーの参入を促進する観点から、業務として直接的な対人援助を行うなど、ケアマネジャーとして従事する上で必要となる実務経験を有しているか、また、養成課程等において、ケアマネジャーとして従事する上で必要となる知識を学んでいるかといった点に着目し、介護支援専門員実務研修受講試験の受験対象である国家資格について、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士、公認心理師を追加することが適当である


○ また、介護支援専門員実務研修受講試験の受験要件である5年の実務経験年数についても、3年に見直すことが適当である


**(ケアマネジャーの業務の在り方の整理)**

○ ケアマネジャーが、その専門性を一層発揮できるような環境を整備する観点から、個々の利用者に対するケアマネジメント業務に注力できるよう、法定業務の中でも、ケアプラン作成等業務については、ケアプランデータ連携システム等のICTの活用による効率化をより一層推進するとともに、法定業務の中でも、給付管理を始めとする事務的な業務については、ケアマネジャーに求められる役割との関係等も踏まえて、生産性向上や適切な業務分担のための環境整備等を推進することが必要である


○ また、頼れる身寄りがいない高齢者等への生活課題への対応として、ケアマネジャーが担うことの多い法定外業務(いわゆるシャドウワーク)については、地域ケア会議も活用しながら地域課題として議論し、実効的な課題解決につながるような取組を推進することが考えられる。こうした議論を行う際、緊急時の対応など、高齢者に対する必要な支援が途切れることのないよう、十分に配慮することが必要である


**(ケアマネジャーの更新制・法定研修の見直し)**

○ 利用者にとって適切な介護サービスを提供するためには、研修を通じたケアマネジャーの資質の確保・向上が重要であり、更新研修を含めた法定研修の意義は今後も変わるものではないが、一方で、時間的・経済的負担が大きいとの声があるところであり、ケアマネジャーの資質の確保・向上を前提としつつ、利用者への支援に充当する時間の増加につなげる観点から、可能な限りこうした負担の軽減を図ることが重要である。


○ このため、近年では、適切なケアマネジメント手法を法定研修に組み入れるなど、ケアマネジャーの専門性の向上に向けた取組が進んできたこと等を踏まえ、法定研修の受講を要件とした介護支援専門員証の有効期間の更新の仕組みは廃止(主任ケアマネジャーについても同様)とすることが適当である


○ 一方で、更新の仕組みを廃止したとしても、専門職として、新たな知識と技能の修得に継続的に取り組んでいくことの重要性は変わるものではなく、引き続き定期的な研修の受講を行うことを求めることが適当である。これにより、更新制と研修受講の紐付けがなくなり、研修を受講しないことで直ちに資格を失い、ケアマネジャーの業務ができなくなるといった取扱いがなくなる効果が見込まれる。


なお、研修の受講方法については、分割して受講するなど、柔軟な受講ができる環境整備を行うとともに、可能な限り、時間数を縮減することを検討することが適当である。あわせて、経済的な負担軽減の観点から、地域医療介護総合確保基金の活用促進を進めることが適当である。また、都道府県が実施する研修の内容の改善を図る取組を検討することが適当である


○ 研修の受講を担保するため、ケアマネジャーを雇用する事業者に対して、研修時間について労働時間として扱うことについて引き続き周知徹底するとともに、ケアマネジャーが研修を受けられるよう、必要な配慮を求めることとするほか、現行制度における履行確保の仕組みも踏まえて、ケアマネジャー本人への必要な措置を講ずる必要がある。また、ケアマネジャーとして従事していない期間については研修を免除し、再度従事する際に改めて研修を受講する仕組みを設けることが適当である


**(主任ケアマネジャーの位置付けの明確化)**

ICT等の活用により業務の効率化を進めつつ、居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの役割分担等を通じて、主任ケアマネジャー本来の役割を十分に発揮することができるよう取り組んでいくことが必要である


○ 居宅介護支援事業所又は地域のケアマネジャーの活動に対する援助及び協力を行うとともに、居宅介護支援事業者、包括的支援事業を行う者、介護サービスや他の保健・医療・福祉サービスを提供する者等の地域の関係者との連絡調整の中心的な役割を果たす者として、主任ケアマネジャーの位置付けを明確化することが適当である。あわせて、主任ケアマネジャーがその本来の役割を発揮できるよう、その環境整備を進めることが必要である。特に居宅介護支援事業所の管理者として行っている労務・財務管理の業務と、ケアマネジメントやケアマネジャーの育成といった業務との役割分担が課題であり、居宅介護支援事業所の管理者要件についても引き続き介護給付費分科会で検討していくことが適当である


**(有料老人ホームに係る相談支援)**

○ 有料老人ホームに対する登録制といった事前規制の導入の検討(Ⅱ3参照)に関して、登録制といった事前規制の対象となる有料老人ホームにおける介護サービスの提供の場としての体制確保と併せて、要介護者が集住しているという特性に鑑み、それと密接に関わるケアマネジメント側の体制確保を図ることも必要である。入居者に対して行われるケアマネジメントの独立性の担保や相談支援の機能強化の観点から、、法令上位置居宅のケアマネジメントとは別に、登録制といった事前規制の対象となる有料老人ホーム(特定施設を除く。)の入居者に係るケアプラン作成と生活相談のニーズに対応する新たな相談支援の類型を創設し付けることが考えられる。


ケアプラン作成と生活相談のニーズに一体的に対応することで、新たな相談支援の類型の事業者が入居者の生活に関わる様々な情報を入手することが可能となり、ケアプランの作成等において有料老人ホームと対等な立場でやりとりがしやすくなり、いわゆる「囲い込み」対策にも資する面があると考えられる。


○ この場合において、新たな相談支援の類型の創設に当たっては、これを担う事業者の報酬等の詳細については、現行の外部サービス利用型の特定施設入居者生活介護と同様、ケアプラン作成と生活相談を評価する定額報酬とすることを念頭に、有料老人ホームにおいて提供される生活相談の機能との整理、新たな相談支援を担う事業者の業務効率化の観点等も含め、現場の実態や関係者の意見を十分踏まえながら、今後、介護給付費分科会等で議論することが適当である


○ なお、この新たな相談支援については、

・ 現状では、有料老人ホームの方針や考え方により自立支援に資するサービス調整等のケアマネジメントに苦慮しているケースがあり、入居者にとって中立公正なケアマネジメントができるように体系化されることが必要

・ 事実上、有料老人ホームの運営とケアプラン作成の結び付きが強まり、「囲い込み」を助長することになり得るものであり、住宅型有料老人ホームが「住まい」であることを前提とした、これまでの考え方を大きく変えるものになるのではないか、また、ケアマネジャーの業務が増加することにならないかとの意見があった。


**(過疎地域等における包括的な支援体制の整備)**

○ 福祉部会において取りまとめられた、過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組みにおいては、

・ 介護、障害、こども、生活困窮の相談支援・地域づくり事業について、分野横断的に実施する仕組みとし、これに伴い配置基準も分野横断的なものとするとともに、担い手が不足している市町村において配置可能な基準とすることや、

・ 重層的支援体制整備事業交付金の仕組みを参考に各制度における既存の関係補助金について一体的な執行を行える仕組みとすることが提案されている。他制度との一体的な取組を効果的・効率的に進めるため、この仕組みにおいて、総合相談支援事業、権利擁護事業、包括的・継続的ケアマネジメント支援事業、地域介護予防活動支援事業及び生活支援体制整備事業も実施できるようにすることが適当である


**(災害等の有事に備えた地域包括支援センターの体制整備)**

○ 地域包括支援センターは、災害や感染症等の発生時において、支援が必要な高齢者の把握や関係機関との連絡調整など、各地域において重要な役割を有する。地域包括支援センターとしての業務継続計画(BCP)の策定を義務化し、市町村と連携して体制を整備することを通じて、有事に備えた平時からの業務整理、地域における関係構築、訓練の実施等に活かすことが必要である


### 6.認知症施策の推進等


**(現状・基本的な視点)**

2025年から2040年に向けた人口動態的特性は、85歳以上の高齢者の急増である。85歳を超えると、要介護認定率のみならず認知症有病率が大きく上昇する。認知症又は軽度認知障害(MCI)の方は、65歳以上高齢者の約28%を占めるとされており、2022年の認知症およびMCIの性年齢階級別有病率が今後も一定と仮定した場合、2040年の認知症高齢者数は584.2万人、MCI高齢者数は612.8万人と推計されている。また、独居の認知症高齢者数は、2025年の段階で120.9万人、2040年の段階では167.6万人と推計されている。


○ 独居の認知症高齢者については、日常の生活支援を担う家族や親族がいない場合には、必要な情報を入手し、必要な社会的支援につながることが困難であるため、同居家族がいる場合よりも、社会的孤立のリスクが高い。このため、医療支援、生活支援、権利擁護支援等の複合的な支援ニーズを抱えている。


○ 令和5年6月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立し、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しつつ支え合いながら共生する活力ある社会の実現を推進することが明記された。認知症の人本人の声を尊重し、誰もが認知症になり得ることを前提に、認知症になっても希望を持って暮らし続けることができるという「新しい認知症観」に基づき施策を推進することとしている。


**(認知症基本法に基づく取組の推進)**

2040年に向けた超高齢社会においては、認知機能の低下とともに生きる高齢者の権利利益を保護するために、社会的孤立を解消し、地域社会とつながり、アウトリーチも含めた必要なサービスのアクセシビリティを高める地域づくりに加えて、権利擁護・意思決定支援を包含した地域包括ケアシステム、そして、認知症疾患の早期発見・早期診断を可能とするための医療提供体制、すなわち地域の特性に応じた統合的なサービス提供を行っていく必要がある。また、認知症の人や家族の安心のため、地域の介護保険施設との連携を強化することが重要である。


○ 認知症の人・家族が安心して暮らせるために、認知症の人を含めた国民一人一人が「新しい認知症観」に立ち、本人や家族が参画した共生社会を実現していくことが重要であり、そのためにも、国の認知症施策推進基本計画を踏まえ、都道府県や市町村がそれぞれの実情に即した認知症施策推進計画の策定を進めることが重要である。その計画策定を国が支援していく中で、認知症の人本人の参加・参画の取組の周知等を図り、確実に本人や家族の参加・参画を進める必要がある。


○ 認知症に対する医療の体制を地域全体で確認・再構築するため、2.の総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場における議論が可能となるよう、第10期介護保険事業計画に向けた基本指針等に認知症に対する医療資源の役割の考え方を明示し、介護保険事業支援計画や認知症施策推進計画の策定過程等において、都道府県と市町村が相互に、認知症に対する医療資源の現状と役割を確認して在り方の議論を重ねることが必要である


○ これまで、認知症地域支援推進員の配置や認知症カフェ等の地域の場の取組が広く自治体で展開されているところであるが、認知症施策推進基本計画における「認知症の人の社会参加の機会の確保等」や「相談体制の整備等」の取組を進めるため、地域の実情に応じた認知症地域支援推進員の適切な配置を一層進めるとともに、認知症カフェの取組からピアサポート活動等に広がっている現状を踏まえ、認知症の人や家族の相談支援体制の充実、社会参加を進めていくことが重要である。


○ こうした中で、ピアサポートや本人ミーティングといった取組の現状を把握し、認知症の人本人と協議を重ねながら、モデル実施も含めた支援に向けた枠組みを段階的に構築し、診断前・診断後の不安を受け止め、認知症の人の社会参加の促進を図ることが適当である


○ また、認知症の人本人の思いや声を正しく聴くことについて、介護従事者に対する研修の見直し時期を捉えて研修に組み込むことが適当である。あわせて、成年後見制度については、法制審議会において見直しに向けた議論が進められており、こうした議論の動向を踏まえ、関連省庁等と連携し、本人の権利擁護支援・意思決定支援等について、第二期成年後見制度利用促進基本計画(令和4年3月25日閣議決定)に基づく対応に加え、新たな成年後見制度の施行までに、高齢者の利用支援について、必要な対応を検討することが必要である


**(家族介護者への相談支援体制)**

○ 家族介護者への支援については、市町村や地域包括支援センターにおいて、地域支援事業の任意事業である家族介護支援事業や総合相談支援により支援を行ってきており、支援マニュアルの作成や地域包括支援センターの土日開所等の促進を行ってきた。


○ 複雑化・複合化した課題を抱える高齢者やその家族の多様なニーズに応えられるよう、また、育児・介護休業法の改正による企業側での仕事と介護の両立支援の取組も踏まえたものとなるよう、「新たな就職氷河期世代等支援プログラムの基本的な枠組み」(令和7年6月3日就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議決定)による政府全体の方針等も踏まえ、家族介護者支援に係る実態・ニーズに沿った施策の充実を図ることが必要である


### Ⅲ 介護人材確保と職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援


#### 1.総合的な介護人材確保対策


**(現状・基本的な視点)**

○ 高齢者が増加して介護需要が増大する一方で、担い手となる生産年齢人口の減少が進む中、将来にわたって必要な介護サービスを安心して受けられるよう、介護人材を確保することは喫緊の課題である。その際、介護人材については、量と質の両方の側面で確保策を講じていくことが必要である


○ 国においてはこれまで、①介護職員の処遇改善、②多様な人材の確保・育成、③離職防止・定着促進・生産性向上、④介護職の魅力向上、⑤外国人材の受入環境整備など、総合的な介護人材確保対策に取り組んできたところ、介護の現場で働く幅広い職種の方々について他職種と遜色ない処遇改善に向けた必要な対応を行うとともに、介護現場における職場環境改善に向けた生産性向上の推進、介護職の魅力向上と発信、介護現場の経営改善に向けた支援等について、国、都道府県、市町村、地域の関係者が連携し、一体的に推進していくことが重要である。その際、都道府県や市町村、地域の関係者が、地域の実情も踏まえて議論し、対策を講じていく必要がある。


○ また、その前提として、地域の状況の分析や対策を行うための基本的な考え方を国において示した上で、サービス供給面でも精緻な人材推計を地域ごとに行うなど、データに基づき対策を行っていくことが必要である


**(人材確保のためのプラットフォーム)**

○ 人材確保のためのプラットフォーム機能については福祉部会において取りまとめられたが、高齢化や人口減少の状況、地域における人材の供給量など、地域差や地域固有の問題が存在する中で、地域の関係者が地域の実情等の情報を収集・共有・分析することで課題を認識するとともに、それぞれの役割・機能を果たしながら、ネットワークの中で協働して実践的に課題解決に取り組むための機能として、都道府県が設置主体となって、介護人材確保に関するプラットフォームを構築することが必要である


○ その際、都道府県単位の情報を共有する協議の場に加え、より狭い圏域で地域の実情に応じた個別課題に対する実践的な取組を創出していくため、「人材確保・定着」「職場環境の改善、生産性向上・経営支援」「介護のイメージ改善・理解促進」等の地域ごとの個別の課題に応じたプロジェクトチームを設置するといった重層的な構造を取ることで、PDCAサイクルを回していくことが重要である。


○ なお、介護人材確保の前提として処遇改善は必須であるとの意見や、他産業が大幅に賃金改善を進める中で、介護従事者の処遇改善が十分ではないことで他産業への人材流出が起きているとの意見があった。


#### 2.介護現場の職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援、協働化等の推進


**(現状・基本的な視点)**

○ 今後、介護サービス需要が更に高まる一方、生産年齢人口が急速に減少していくことが見込まれる中、介護人材の確保が喫緊の課題であり、介護テクノロジー等を活用し、介護職員の業務負担の軽減及び介護サービスの質の向上に資する生産性向上の取組を一層推進することが重要である。


○ 介護現場における生産性向上においては、

・ テクノロジーの活用や、いわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアの推進

・ これにより職員の業務負担の軽減を図り、業務の改善や効率化により生み出した時間を直接的な介護ケアの業務に充てるとともに、職員への投資を充実することを通じ、介護サービスの質の向上につなげることが必要である

(※)この意見書でいう「生産性向上」はこの考え方に基づくものである。


○ 「省力化投資促進プラン」(令和7年6月13日)では、2040年に向けて介護分野全体で20%の業務効率化を目標とし、2029年度までの5年間の集中的な支援を実施していくこととしている。


○ これまで、「介護事業における生産性向上(業務改善)に資するガイドライン」の普及、いわゆる介護助手等の普及促進、介護テクノロジーの導入支援、生産性向上に係る各都道府県の責務規定の創設、施設系サービス等の生産性向上の取組を評価する加算の創設等が進められてきた。


○ 令和5年度から各都道府県において、地域の関係者が参画した協議体である介護現場革新会議において戦略的に生産性向上の取組を議論するとともに、介護事業者等からの生産性向上等に関する相談を受け付け、適切な支援に取り組む「介護生産性向上総合相談センター」を設置しており、令和8年度までに全都道府県での設置を目標としている。


○ 「デジタル行財政改革 取りまとめ2024」(令和6年6月18日)を踏まえ、厚生労働省において「協働化・大規模化等による介護経営の改善に関する政策パッケージ」を取りまとめ、取組例の作成・周知とともに、事業者が協働して行う職場環境改善への支援等を実施しているが、当該支援の実施は12道県にとどまっている。


○ また、民間活力を活用したサービス基盤の整備も重要であるため、令和7年度にCARISO (CARe Innovation Support Office)を立ち上げ、6月にはスタートアップ支援を専門的に行う窓口を設置し、介護テクノロジー開発企業への支援を実施している。


○ 職場環境改善に向けたハラスメント対応の取組について、介護分野では、これまでも、男女雇用機会均等法等において事業主に雇用管理上必要な措置が義務付けられていることを踏まえつつ、運営基準等に係る省令において、ハラスメント対策(セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント)を義務付ける等の取組を行っている。さらに、本年6月に成立した改正労働施策総合推進法では、カスタマーハラスメントの防止のための雇用管理上必要な措置が全ての事業主に義務付けられることとされた。


○ 科学的介護情報システム(LIFE)について、令和3年度にLIFE関連加算を導入したところであるが、加算の対象サービスの事業所による届出は、施設サービスで約70%、通所・居宅サービスで約40%にとどまっている。


**(生産性向上等による職場環境改善、経営改善支援等)**

2040年には約57万人の新たな介護職員の確保が必要であると推計される中、介護現場における人材確保や生産性向上等による職場環境改善、経営改善支援等の取組は一層重要となり、事業者の規模やサービス類型(施設、通所、訪問)等に応じた支援を講じていく必要があることから、国や都道府県等が果たすべき役割を制度上も明確化し、国及び都道府県の責務として位置付けることを通じた機能強化を図ることが重要である。


○ あわせて、生産性向上を中心に雇用管理、経営改善支援等も併せて一体的に支援するような取組を進めていくことが必要であり、都道府県が設置主体となる人材確保のためのプラットフォームの枠組みの中で、これらの取組に向けた関係者との連携の枠組みを構築することが適当である


○ 経営改善支援等については、地域の実情に応じた経営課題を調査していくとともに、支援に向けた枠組みを段階的に構築していくことが必要である


○ さらに、人材確保や生産性向上等による職場環境改善、経営改善支援等について、都道府県の介護保険事業支援計画の中での位置付けを明確化するなど、地域における介護保険事業(支援)計画の策定プロセスの中で、都道府県、市町村、地域の関係者が議論し、必要な対策を講じることが重要である。その際、介護現場革新会議の中で地域の目標を設定し関係者の理解を醸成することが適当である。地域ごとの生産性向上に関する取組状況の差を解消していくため、国においても都道府県の取組状況を把握し支援をしていくことが必要である


○ タスクシェア/シフトについては、いわゆる介護助手等の実態を分析・把握するとともに、介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減の効果について引き続き検証し、いわゆる介護助手等の普及を推進していくことが必要である


○ 国・都道府県においては、事業者の負担に配慮しながら、テクノロジー等の更なる活用を支援していくことが重要である。また、居宅サービス等も含め、個別のニーズに対応できるよう、伴走支援等の機能強化を図っていく必要がある。あわせて、生産性向上等に取り組む介護事業者について、テクノロジー等の実証を十分に行った上で、生産性向上推進体制加算等において適切に報酬上も評価していくことが重要である。


○ 事業者の生産性向上に当たっては、行政の手続や提出書類、人員配置等における自治体のローカルルールが阻害要因となっていることから、解消し標準化していくべきとの意見があった。


○ 介護現場の職場環境改善に向けて、改正労働施策総合推進法の内容等を踏まえ、全ての介護事業者に対して、運営基準等に係る省令においても、現行のセクシュアルハラスメント・パワーハラスメントへの対応に加え、カスタマーハラスメントへの対応についても義務付けを行うとともに、対応マニュアルの見直しや自治体や事業所への周知を徹底するなど、所要の措置を講ずることが適当である。この際、職員の安全に配慮する必要性は前提としつつ、認知症や精神疾患、うつ病等の症状としてケアが必要なケース等については、十分に配慮することが必要である。あわせて、介護現場の健康経営を推進していく必要があるとの意見があったことも踏まえた取組を進めていくことが考えられる。


**(事業者間の連携、協働化等)**

○ 介護事業者が地域に根差した上で、利用者のニーズに細やかに沿ったサービス提供を行っていくことは重要である。その上で、個々の介護事業者により経営課題が解決できない場合も、他事業者との連携・協働化、経営の多角化も含めた大規模化等により解決が図られるケースもあることを踏まえ、介護事業者間の協働化や連携等を進めていくことが有効であり、例えば、報酬の請求や記録・書類作成事務といったバックオフィスの業務等の間接業務の効率化等を進めていくことが考えられる。こうした連携の障壁の一つとして介護事業者の課税の問題が考えられるが、現行税制の下でも、社会福祉法人等の公益法人等が他法人から実費の範囲内で事務処理の受託を行うことは、所定の手続を経た期間については収益事業としないものとする取扱いにより法人税の申告を不要とすることも可能であることについて周知することが有効である。


**(科学的介護の推進)**

○ テクノロジー等を導入し、ケアの質を高めていくに当たっては、科学的根拠に基づく介護を併せて推進し、そのデータを蓄積・活用していく必要がある。


○ 科学的介護情報システム(LIFE)の更なる活用を通じて、質の高い介護を推進するため、国に科学的介護を推進していく役割があることを明確化することが適当である


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### Ⅳ 多様なニーズに対応した介護基盤の整備、制度の持続可能性の確保


#### 1.2040年を見据えた介護保険事業(支援)計画の在り方


**(現状・基本的な視点)**

○ 第9期介護保険事業(支援)計画では、中長期的な推計を踏まえた介護サービス基盤の計画的な整備や、地域包括ケアシステムの深化、人材確保及び介護現場の生産性向上等をポイントとして取組を進め、この中で、2040年を始めとする中長期的な推計は、介護保険法上、市町村の記載事項であるものの都道府県を含めた全自治体で記載されているが、記載内容にはばらつきがある。

また、計画策定に当たって、全ての都道府県において有識者による会議体が設置されているほか、一部の都道府県では、老人福祉圏域単位での会議体の設置・議論や、都道府県から老人福祉圏域の構成市町村に対し、「圏域別の中長期の将来推計の提示」や「サービス提供体制の確保を図るために支援を要する市町村への調整・支援」等の取組が行われている。


○ 今後、地域のサービス需要が変化していく中で、3年を1期とする計画とともに、2040年等の中長期の介護サービス見込量を見据えて策定していくことが更に重要となる。その際、地域における人口減少・サービス需要の変化の特性を意識したきめ細かな介護サービス見込量の推計やサービス提供体制を考えていくことが重要となる。

その際、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の地域密着型サービスについては、要介護者の在宅生活を支える重要な機能を有しているにもかかわらず、サービスに対する認知度や理解度が不十分なことにより、事業所が存在しない市町村も多くあることから、市町村内での整備の推進のみならず、都道府県と連携を図りつつ、広域利用に関する事前同意等の調整を行うなど隣接自治体間の連携による活用推進の視点も必要である

また、要介護者の在宅生活を支える柱の一つである訪問介護については、市町村、都道府県が連携し、必要なサービス提供体制の維持・確保について検討することが必要との意見があった。


○ また、医療・介護連携、介護予防、高齢者住まい等に関する取組や状況とともに、生産年齢人口が全国的に減少していく中、人材確保、生産性向上についても計画の中で考えていくことの必要性が一層高まる。


**(中長期的な推計)**

○ 市町村が定めている中長期的な推計について、介護保険事業計画の記載事項として位置付けを明確化し、都道府県についても、2040年に向けての中長期的な推計を介護保険事業支援計画の記載事項へ追加し、必要な情報提供や助言、協議の場の設置等により支援や調整を行っていくことが適当である


**2040年に向けた地域課題への対応)**

2040年に向けた中長期的な推計により、都道府県と市町村が共通の課題認識を持った上で、地域における2040年に向けたサービス提供の在り方について、中山間・人口減少地域対応や医療・介護連携、人材確保・生産性向上、高齢者住まいなど、明らかになった地域課題への対応の観点を含めて、都道府県・市町村及び関係者間で議論を行うことが必要である


○ このため、介護保険事業(支援)計画において、都道府県及び市町村が以下の内容について記載することが適当である

2040年に向けての中長期的な推計

・ 中山間・人口減少地域対応として特例介護サービスの新たな類型や新たな事業の仕組み等の導入及び導入地域(Ⅰ1・2参照)

・ 総合確保方針に基づく医療と介護の協議の場において検討した医療・介護連携に係る提供体制の構築に必要な取組(Ⅱ2参照)

・ 有料老人ホームにおける入居定員総数及び要介護者の入居状況(Ⅱ3参照)

・ 市町村の総合事業の基盤整備を推進するため、都道府県が伴走的な支援や多様な主体とのつながりづくり等の更なる支援を推進すること(Ⅱ4参照)

・ 人材確保や生産性向上等による職場環境改善、経営改善支援等に係る地域の目標及びその達成に向けた方策(Ⅲ2参照)


○ その際、中長期の地域課題について、保険者である市町村単位で検討することを基本とした上で、都道府県も関与しながら市町村を越えた広域的な議論をする仕組みが必要であり、第10期介護保険事業計画期間から、都道府県と市町村が既存の介護保険事業(支援)計画の策定プロセスの中で実効的なすり合わせを行うとともに、地域の状況に応じ順次、介護保険事業計画について老人福祉圏域単位等で調整・協議するための会議体を設置するなど、地域における2040年に向けたサービス提供の在り方について、本格的に議論するための体制を構築することが適当である


#### 2.給付と負担


**(現状・基本的な視点)**

○ 介護保険制度は、加齢により生じる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった方が尊厳を保持し、自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行う制度として創設された。


○ 制度創設から25年が経ち、サービス利用者は制度創設時の3.5倍を超え、介護サービスの提供事業所数も着実に増加し、介護が必要な高齢者の生活の支えとして定着、発展してきている。


○ 一方、高齢化に伴い、介護費用の総額も制度創設時から約4.0倍の14.3兆円(令和7年度予算ベース)になるとともに、1号保険料の全国平均は、制度創設時の2,911円(第1期)から6,225円(第9期)に増加しており、2号保険料の一人当たり平均月額は、平成12年度は2,075円だったところ、令和7年度には6,202円(見込み)となっている。今後、更に高齢化が進展することを踏まえれば、更なる増加が見込まれる。


○ こうした状況の中で、上記の介護保険制度の創設の理念を堅持し、必要なサービスを提供していくと同時に、給付と負担のバランスを図りつつ、制度の持続可能性を高めていくことが重要な課題となっている。


○ また、全世代型社会保障構築会議において、社会保障全般について総合的な検討が行われ、年齢に関わりなく、全ての国民が、その能力に応じて負担し、支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて、必要な保障がバランスよく提供されることを目指すなどの「全世代型社会保障の基本理念」が整理されている。


○ このような認識の下、令和5年介護保険制度改正における本部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」(令和4年1220日)や改革工程、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(令和7年6月13日閣議決定。以下「骨太2025」という。)等を踏まえ、世代間・世代内双方での公平性、現役世代の負担軽減の観点から、負担能力に応じたより公平な負担を図る視点に立ち、以下の論点について検討を行った。


**(1号保険料負担の在り方)**

○ 介護保険制度においては、介護保険の給付費の50%を、65歳以上の被保険者(第1号被保険者)と、 40歳~64歳の被保険者(第2号被保険者)の人口比で按分し、保険料をそれぞれ賦課している。


○ このうち、1号保険料については、負担能力に応じた負担を求める観点から、制度創設時より「所得段階別保険料」としており、低所得者への負担を軽減する一方、高所得者の負担は所得に応じたものとしてきた(施行当初は5段階設定)。また、保険者ごとに柔軟に段階設定を変更することや、基準額に対する割合を変更することも可能としている。


○ その後も、所得段階別保険料を原則としつつ、保険料負担の応能性を高める観点から、随時にわたり、段階設定を見直してきており、前回の制度改正においては、第1号被保険者間での所得再分配機能を強化し、低所得者の保険料上昇の抑制を図る観点から、9段階から13段階への見直し、高所得者の標準乗率の引上げ、低所得者の標準乗率の引下げ等の見直しを行った。現状、この標準よりも多い段階設定を行っている保険者は約24%となっている。


○ 1号保険料の在り方については、

・ 今後、世代内での所得再分配機能を更に強化する方向で検討すべき

・ 最近の物価高騰に対して、年金生活者の所得はそれに比例して増えていかない。1号保険料の負担段階の設定は、年金生活者の所得水準に応じ、適切な見直しをすべき

・ 保険料をこれ以上増やすことは難しく、公費負担割合を増やすべき

との意見があった。

また、第2号被保険者の負担の在り方については、現役世代の保険料負担の抑制が必要との観点からの検討が避けて通れないとの意見があった。


○ これらを踏まえ、保険者の段階設定や第1号被保険者の所得の状況等を踏まえ、被保険者の負担能力に応じた保険料設定について、引き続き検討を行うことが適当である


**(「一定以上所得」、「現役並み所得」の判断基準)**

○ 介護保険制度は、制度創設時、利用者負担割合を所得にかかわらず一律1割としていたが、平成26年の介護保険法改正において、1割負担の原則を堅持しつつ保険料の上昇を可能な限り抑えつつ、現役世代に過度な負担を求めず、高齢者世代内において負担の公平化を図っていくため、「一定以上所得」のある方(第1号被保険者の上位約20%)について負担割合を2割とした(平成27年8月施行)。


○ また、平成29年の介護保険法改正において、介護保険制度の持続可能性を高めるため、世代内・世代間の負担の公平や負担の能力に応じた負担を求める観点から、「現役並みの所得」を有する方の負担割合を2割から3割に引き上げた(平成30年8月施行)。


○ 制度の現状をみると、令和7年3月現在、サービス利用者数5,406,760人のうち、

・ 2割負担に該当するのは、約4.3%(234,062人)

・ 3割負担に該当するのは、約3.9%(206,341人)であった。

平成18年度に約7.7%だった実質負担率は、その後、制度改正等の影響によって増減しているが、令和3年度から令和5年度まで約7.6%で横ばいとなっている。

また、2割負担を導入した第6期介護保険事業計画期間(平成2729年度)の全国平均の1号保険料は5,514円だったところ、直近の第9期介護保険事業計画期間 (令和6~8年度)の全国平均の1号保険料は、6,225円となっている。また、2号保険料の一人当たり平均月額は、平成27年度に5,081円だったところ、令和7年度には6,202円(見込み)となっている。


○ 令和5年介護保険制度改正における本部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」では、見直しに慎重な立場・積極的な立場、また、負担能力等に関する意見が出され、「現役並み所得」の判断基準については、医療保険制度との整合性や利用者への影響等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当であるとされた。


○ さらに「一定以上所得」の判断基準については、令和5年にも本部会において議論され、同年1222日の厚生労働大臣・財務大臣折衝において、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度~)の前までに結論を得る、とされたことが本部会に報告された。


○ こうした経緯を踏まえ、「一定以上所得」、「現役並み所得」の判断基準について、消費支出や預貯金等のデータも踏まえつつ議論を行った。


**【①所得基準について】**

○ まず、「一定以上所得」の判断基準の議論の対象となる世帯層の状況を整理すると、要介護者のいる75歳以上の単身世帯及び夫婦世帯(世帯主が75歳以上で配偶者も65歳以上)の消費支出について、消費と収入の分布を見ると、収入水準と消費の差は様々であるものの、収入に応じて高くなる傾向はあることが見受けられた。


○ また、これらの家庭の貯蓄額の水準を見ると、その水準は様々だが、 貯蓄額の分布の水準は収入階級に応じて高くなっている傾向にあり、現在の2割負担の対象外の世帯でも、一定の預貯金を有する世帯があった。要介護世帯を含めた高齢者世帯の貯蓄水準は、第2号被保険者である40代~50代が世帯主である世帯と比較して高かった。


○ なお、年金受給者の年金額と預貯金の関係を見ても、概ね年金額に応じて世帯の預貯金の額が大きくなる傾向がみられる。

また、直近の高齢者世帯の預貯金の状況を見ると、平均貯蓄額は一部の世帯類型で2024年には減少しているが、2割負担を導入した2015年と比較して預貯金の額の水準は下がっていなかった。


○ これらの状況を踏まえれば、現在の2割負担対象者以外にも、相対的に負担能力があり、負担が可能と考えられる方に、2割負担の対象範囲を拡げることが考えられる。


○ 今回の「一定以上所得」の判断基準の見直しについては、能力に応じた負担という全世代型社会保障の基本的な考えに沿って、負担の公平化を図る必要があり、また、第1号被保険者・第2号被保険者の保険料水準が継続的に上昇する中で、現役世代を含めた保険料水準の上昇をできる限り抑える必要がある。


○ 見直しには、慎重な立場・積極的な立場から様々な意見があったが、これらを総合的に判断して、「年金収入+その他合計所得金額280万円以上(単身世帯の場合。夫婦世帯の場合346万円以上)」の範囲を拡げる機械的な選択肢として、被保険者の上位約25%から約30%に相当する、年金収入+その他合計所得金額の基準として260万円から230万円まで(夫婦世帯は326万円から296万円まで)の選択肢を提示し、財政影響や対象となる世帯への影響等の関連資料を基に議論を行った。


**【②配慮措置について】**

○ 今般の見直しは、これまでの基準より収入が低い方に負担をお願いすること、また、医療と比べて利用が長期にわたり、一定の費用がかかり続ける介護サービスの特徴等を踏まえた配慮が必要である


○ 令和5年12月に本部会にも報告された大臣折衝や同時期に閣議決定された改革工程において、2割負担の検討の方向性として、①負担増への配慮を行う観点から、当分の間、一定の負担上限額を設けることや、②負担への金融資産の保有状況を反映すること等が掲げられていることを踏まえ、配慮措置について、以下2つの選択肢について議論を行った。


① 当分の間、新たに負担増になる者に、負担増加の上限(月7,000円)を設定

・ 急激な負担増を抑制するため、新たに2割負担になる利用者の負担増加額について、当分の間、一月分の1割負担の場合と比べた負担増を最大の場合(月22,200円)の約3分の1である、月7,000円に抑える (後期高齢者医療制度への2割負担導入時に負担増加額の上限が設けられた)。


② 預貯金等が一定額以下の者は申請により1割負担に戻す

・ 負担能力を所得と資産の両方から見ていくことが考えられるが、同じ収入階級でも預貯金等の額に幅がある実態を踏まえ、預貯金等の額が一定額以下(※)の場合には、申請により、1割負担に戻す。

(※)本部会では、被保険者や利用者の預貯金の状況も踏まえ、単身700万円・夫婦1,700万円以下、単身500万円・夫婦1,500万円以下、単身300万円・夫婦1,300万円以下のパターンを提示して、議論を行った。


○ これらの選択肢に対して、所得基準の見直し自体については、見直しに積極的な立場から、

・ 医療との整合性、能力に応じた負担、保険料の上昇抑制の観点からなるべく多くの方が一定以上の所得の対象となるように所得要件を設定すべき

・ 現役世代の負担を考えれば、原則2割負担といった踏み込んだ検討も必要

・ 物価高騰の影響はあるが、高齢者に限ったものではなく、また、高齢者の中でもその影響は一様ではない。生産年齢人口の減少と介護ニーズの拡大は構造的な課題であり、ハードランディングを避け、制度を守るためには一定の負担を求めることは避けられない

との意見があった一方、見直しに慎重な立場から、

・ 今日の物価高騰下において、高齢者の生活実態を踏まえれば、見直して良いかは慎重に検討すべき

・ 介護は医療と比べ、利用期間が長いため、利用者負担の増加は利用控えを招き、結果として重度化を招くのではないか

・ 医療においても負担に関する議論がなされており、高齢者に対して医療と介護の双方で負担増を求めることは影響が大きい

との意見があった。また、保険料や利用者負担だけでなく、公費負担の引上げも検討すべきとの意見もあった。


○ また、配慮措置①については、見直しに積極的な立場から、

・ 現実的な対応であり、これと組み合わせて基準の引下げを行うべき

との意見があった一方で、見直しに慎重な立場から、

・ 上限を付けても負担は重く、当分の間が終われば負担の上昇が大きい

との意見もあった。


○ また、配慮措置②の預貯金等の配慮については、見直しに積極的な立場から、

・ フローに加えてストックを負担能力として見ていくことは必要であり、配慮措置②を組み合わせて範囲の拡大を行うべき

・ 現在可能な手段で実施しつつ、今後マイナンバー等の活用を進め、実施方法を改善していくべき

・ 配慮措置の対象となる預貯金等の範囲に「生命保険の積立金」を加えるべき

との意見があった一方、見直しに慎重な立場から、

・ 網羅的な把握ができず、不公平感が残るのではないか

・ 市町村の事務負担が過重となり、事業者や利用者にとっても負担ではないか

との意見もあった。


**検討の方向性】**

○ 本部会では、「一定以上所得」の判断基準について、配慮措置と併せて複数のパターンについて議論を行った。


○ 総論として、全世代型社会保障の考え方である「能力に応じた負担」に基づき検討を行う点については概ね意見の一致を見た。


○ こうした点を踏まえ、「能力に応じた負担」の観点から、対象者の所得水準の設定について、利用者への影響を緩和するため、適切な配慮措置を実施することと併せて在り方の検討を深めるべきである。


○ 配慮措置については、個々の利用者の負担増加額に上限を設ける方法、預貯金額等の要件を設ける方法が考えられ、それぞれ、

・ 上限を設ける場合には、後期高齢者医療制度の2割負担導入の際に設けられた措置を参考に上限額を設定すること

・ 預貯金額等の要件を設ける場合には、介護保険の利用者や被保険者の預貯金等の水準に着目して設定すること

が考えられる。


○ なお、預貯金額等の要件を設ける場合、その預貯金等の確認については、正確性の担保と事務負担の観点が必要である。本部会における議論や現行の補足給付の運用も踏まえ、

・ 補足給付の事務も含めた事務負担の軽減

・ 自己申告を基本とした上で、不正な申告が検知された場合の加算金を設けるとともに、市町村が必要に応じて金融機関への照会を実施することで、申告の適正性の確保を図ること

等の措置を講ずることと併せて、保険者や関係者の意見を聞き、更に検討を行うことが必要である。また、こうした検討のため、厚生労働省において、事務の実態を把握するとともに、保険者との実務的な検討の場を設けるべきである。


○ なお、改革工程において「預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえつつ、(中略)介護保険における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について検討を行う」とされていることから、政府として預貯金等へのマイナンバーの付番を推進し、その状況を踏まえて、預貯金等の確認でのマイナンバーの活用について、引き続き検討を行うことが適当である


○ こうした議論を踏まえ、能力に応じた負担と、現役世代を含めた保険料負担の上昇を抑える観点から、「一定以上所得」の判断基準の見直しについて検討する必要がある。検討に当たっては、介護サービスは長期間利用されること等を踏まえつつ、高齢者の方々が必要なサービスを受けられるよう、高齢者の生活実態や生活への影響等に加えて、令和8年度に見込まれる医療保険制度における給付と負担の見直し、現在補足給付について行われている預貯金等の把握に係る事務の状況等を踏まえ、本部会で継続検討し、第10期介護保険事業計画期間の開始(令和9年度~)の前までに、結論を得ることが適当である


○ また、「現役並み所得」の判断基準については、利用者への影響が大きく慎重に判断をすべきとの意見があった一方で、引き続き検討していくべきとの意見もあったところであり、医療保険制度との整合性や利用者への影響等を踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当である


**(補足給付に関する給付の在り方)**

○ 制度発足時の介護保険においては、介護保険三施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)及び短期入所生活・療養介護(ショートステイ)について、居住費・食費が給付に含まれていた。

平成17年改正により、在宅の方との公平性等の観点から、これらのサービスの居住費・食費を給付の対象外とした。あわせて、これらの施設に低所得者が多く入所している実態を考慮して、住民税非課税世帯である入所者については、世帯の課税状況や本人の年金収入及び所得を勘案して、特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)として、介護保険三施設について居住費・食費の負担軽減が行われている。

また、在宅サービスであるショートステイについても、サービス形態が施設入所に類似していることに鑑み、併せて同様の負担軽減が行われている。


○ 平成26年の介護保険法改正では、こうした経過的かつ低所得者対策としての性格をもつ補足給付について、在宅で暮らす方を始めとする他の被保険者との公平性の確保の観点から、一定額超の預貯金等(単身1,000万円超、夫婦世帯2,000万円超)や非課税年金(遺族年金・障害年金)等を勘案する見直しが行われた。


○ 令和2年改正においては、能力に応じた負担とし、制度の精緻化を図る観点から、以下の見直しが行われた。

・ 施設入所者に対する補足給付について、第3段階を保険料の所得段階と合わせて第3段階①と第3段階②の2つに区分。

・ ショートステイの補足給付についても第3段階を2つの段階に区分。また、食費が給付外となっているデイサービスとの均衡等の観点から、本人の負担限度額への上乗せ。

・ 補足給付の支給要件となる預貯金等の基準について、所得段階に応じて設定することとし、第2段階、第3段階①、第3段階②の3つの所得段階それぞれに基準を設定。


○ 令和5年介護保険制度改正における本部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」では、補足給付に関する給付の在り方について、「補足給付に係る給付の実態等も踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当である」とされた。


○ こうした経緯を踏まえ、補足給付に関する給付の在り方について、議論を行った。


○ 補足給付に関する給付の在り方について、能力に応じた負担とする観点から精緻化し、所得段階間の均衡を図ることが必要であり、具体的には、以下の見直しを行うことについて、概ね意見の一致を見た。

・ 第3段階②の負担限度額について、能力に応じた負担とする観点から上乗せを行う。

・ 第3段階①を本人年金収入等80万円超100万円以下の段階(第3段階①ア)と同100万円超120万円以下の段階(第3段階①イ)の2つに区分、第3段階②を本人年金収入等120万円超140万円以下の段階(第3段階②ア)と同140万円超の段階(第3段階②イ)の2つに区分し、第3段階①イ及び第3段階②イの負担限度額について、上乗せを行う。

・ 見直しに当たっては、各段階の年金収入等と食費・居住費、利用者負担等との差額の差の均衡を図る範囲で上乗せを行う。


○ また、施行日については、第10期介護保険事業計画期間(令和9年度~)からの実施を基本とした上で、区分の細分化を伴わない見直しについては、令和8年度から実施することが適当である

なお、施行後の利用者への影響について事後検証すべき、各所得段階の境界層への配慮が必要との意見もあった。


**(多床室の室料負担)**

○ 介護老人福祉施設、介護老人保健施設等における居住費については、平成1710月より、在宅と施設の利用者負担の公平性の観点から、保険給付の対象外とし、居住環境の違いに応じ、個室は光熱水費及び室料、多床室は光熱水費を居住費として負担することとされた。


○ その後、

・ 平成27年度からは、介護老人福祉施設について、死亡退所も多いなど事実上の生活の場として選択されていることから、一定程度の所得を有する在宅で生活する者との負担の均衡を図るため、一定の所得を有する入所者から、居住費(室料)の負担を求める

・ 令和7年8月より、在宅でサービスを受ける者との負担の均衡を図るため、「その他型」及び「療養型」の介護老人保健施設並びに「Ⅱ型」の介護医療院について、新たに室料負担を求める

など、累次の見直しを行ってきた。


○ このような中、改革工程において、「令和6年度介護報酬改定で決定した、一部の介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担の見直しを着実に実施する。その上で、引き続き、在宅との負担の公平性、各施設の機能や利用実態等を踏まえ、更なる見直しを含め必要な検討を行う」とされている。


○ これまでの見直しや、議論の経緯を踏まえ、介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担の在り方についてどのように考えるか、議論を行った。


○ 多床室の室料負担の見直し(介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料を保険給付の対象外とすること)について、見直しに慎重な立場から、以下の意見があった。

・ 介護保険法上、老健施設は住まいではなく在宅復帰支援、在宅療養支援施設と位置付けられており、住まいではないところから室料負担を求めるのは適切ではないのではないか

・ 多床室の室料負担については、本年8月から新たな見直しが始まったばかりであり、財源が厳しいから自己負担を取るというだけでは説得力に欠ける


○ 介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担については、在宅との負担の公平性、各施設の機能や利用実態等、これまでの本部会における意見を踏まえつつ、介護給付費分科会において多床室の室料負担の在り方について検討を行う必要がある。


**(ケアマネジメントに関する給付の在り方)**

○ ケアマネジメントに要する費用については、10割給付となっている(利用者負担を求めていない)ところ、これは介護保険制度創設時にケアマネジメントという新しいサービスを導入するにあたり、要介護者等が積極的に本サービスを利用できるようにすることを目的としたものである。


○ ケアマネジメントは、利用者の心身の状況・置かれている環境・要望等を把握し、多職種と連携しながらケアプランを作成するとともに、ケアプランに基づくサービスが適切に提供されるよう事業者との連絡調整を行うものであり、介護保険制度創設から25年が経過し国民の間にも広く普及している。また、ケアマネジャーは、医療と介護の連携や、地域における多様な資源の活用等の役割をより一層果たすことが期待されている。


○ このような中、ケアマネジメントに関する給付の在り方(利用者負担等)については、

・ 制度創設時に10割給付とされた趣旨及び現在のケアマネジメントの定着状況

・ 導入することにより利用控えが生じ得るなどの利用者への影響や、セルフケアプランの増加等によるケアマネジメントの質への影響

・ 利用者負担を求めている他の介護保険サービスや、施設サービス利用者等との均衡

・ ケアマネジャーに期待される役割と、その役割を果たすための処遇改善や事務負担軽減等の環境整備の必要性等

といった観点等も踏めて、包括的な検討が必要とされているところであり、改革工程において、「利用者やケアマネジメントに与える影響、他のサービスとの均衡等も踏まえながら、包括的に検討を行い、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度)までの間に結論を出す」とされている。また、それが利用者やケアマネジメントに与える影響を踏まえ、幅広い観点から慎重に検討する必要がある。


○ こうしたことも踏まえて、本部会においては、

① 幅広い利用者に利用者負担を求めること

② 利用控えの懸念に配慮する観点から、ケアマネジメントの利用者負担の判断に当たって、利用者の所得状況を勘案すること

③ 給付管理に係る業務については、現場の負担感がある一方、必ずしもケアマネジャーが行わなければならない業務ではないと考えられることから、事務に要する実費相当分に利用者負担を求めること

④ 有料老人ホームについて、登録制といった事前規制の導入を検討しているところ、特定施設入居者生活介護等との均衡の観点から、住宅型有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて、利用者負担を求めること

について、それぞれ議論を行った。


**【①幅広い利用者に利用者負担を求めることについて】**

○ ①の考え方については、サービスの利用者にケアマネジャーの仕事の価値を認識していただくことや、ケアマネジメントが利用者や事業者に十分普及しており役割が確立されていること、他のサービスとの公平性の観点、介護保険制度全体の持続可能性を確保する観点等を踏まえて、利用者が住む場所にかかわらず、幅広い利用者に利用者負担を求めることについて、議論を行った。


○ これについて、見直しに慎重な立場からは、

・ 高齢者にとっての負担増に伴い、サービスの利用控えが生じることになり、介護状態が重度化するリスクが生じるのではないか

・ ケアマネジメントに求められる客観性や公平性、中立性の確保が難しくなり、自立支援を行うのが困難になるのではないか

・ ケアマネジメントを経ずに介護サービスを利用する動きにつながり、過度なサービス利用により逆に介護給付費が増加するリスクもあるのではないか

・ 単に現役世代の負担に配慮する必要があるから、というだけで議論を進めるべきではないのではないか

・ 障害者総合支援法における計画相談支援との整合性にも十分に留意すべき

・ 認知症や精神疾患、うつ病等の高齢者が増える中、ケアマネジャーは適切に信頼関係を構築し、意思決定支援を行う役割を有しており、認知症等の方の権利保護の観点も含めて慎重に検討が必要

との意見があった。


○ 一方で、見直しに積極的な立場からは、

・ 長年の懸案であり、介護保険制度全体の持続可能性の観点も踏まえて、結論を出すことが必要

・ ケアマネジメントは、利用者や他の事業者の間でも十分に普及しており、その果たす役割も関係者の中で確立されている中、他のサービスと同様、利用者負担を求めるべきではないか

・ いわゆるシャドウワークの問題もある中で、ケアマネジャーの仕事の価値をきちんと認識いただく上でも、一定の利用者負担を検討してもよいのではないか

との意見があった。


**【②利用者の所得状況を勘案することについて】**

○ ②の考え方については、利用控えの懸念に配慮する観点から、ケアマネジメントの利用者負担の判断に当たって、利用者の所得状況を勘案することについて、議論を行った。


○ これについて、見直しに慎重な立場からは、①に掲げた内容のほか、

・ 現行の保険料の利用者負担の制度を鑑みると、複雑な運用が想定され、慎重な検討が必要ではないか

との意見があった。


○ 一方で、見直しに積極的な立場からは、①に掲げた内容のほか、

・ 低所得者への配慮措置を行いつつ、原則として利用者負担を求めるべき

との意見があった。


**【③事務に要する実費相当分に利用者負担を求めることについて】**

○ ③の考え方については、給付管理に係る業務について、現場の負担感がある一方、必ずしもケアマネジャーが行わなければならない業務ではないと考えられるところ、ケアマネジメントに注力できる環境を整備する観点から、ICTによる効率化を図るとともに、介護サービス事業所の請求事務の代替としての性格が強いことを踏まえ、例えば、こうした効率化が十分に進展するまでの間、事務に要する実費相当分に利用者負担を求めることについて、議論を行った。


○ これについて、見直しに慎重な立場から、

・ ICT化により負担軽減が進む現在の業務実態を踏まえると、事務費用に負担を求めるのは、現場の理解が得られないのではないか

・ 給付管理業務については、現在進めているケアプランデータ連携システムの導入等の取組により推進すべきものであり、利用者負担を求める場合、かえって事務負担を増やすこととなるのではないか

・ 給付管理業務は本来保険者が行うべき機能であるところ、制度導入時にケアマネジャーが行うとされた経緯がある中で、利用者に実費負担を求めるのは筋違いではないか

との意見があった。


**【④住宅型有料老人ホームの入居者に対して利用者負担を求めることについて】**

○ 中重度の要介護者や、医療ケアを要する要介護者等を入居対象とする有料老人ホームについて、要介護者が入居することを踏まえた安全かつ適正な事業運営やサービス提供を確保する観点から、登録制といった事前規制を導入することが適当であるとしている。


○ 事前規制の対象となる有料老人ホームは、これまでと同様、高齢者の「住まい」であることに変わりはないものの、要介護者が集住し、要介護者へのサービス提供の透明性について責任を有するなど、自宅等の一般的な在宅とは異なる位置付けも併せ持つこととなる。


○ 具体的には、こうした有料老人ホームに関して、

・ 新たに人員・設備・運営に関する基準を設ける

・ 入居者に対するケアマネジメントについて、居宅介護支援事業所やケアマネジャーの独立性や、ケアマネジメントのプロセスの透明性を確保する観点から、有料老人ホームがケアマネジメントに関する指針を作成・公表する

・ サービスの内容について、運営主体が有料老人ホームと同一又は関連の居宅サービス事業所がある場合には、有料老人ホームがその情報を公表する仕組みを設ける

ことを検討している。


○ こうしたことを踏まえ、拠点運営、ケアプラン作成、介護サービス提供が一体的に実施され、それぞれについて一体的に利用者負担の対象としている特定施設入居者生活介護等との均衡の観点から、特定施設以外の住宅型有料老人ホーム(該当するサービス付き高齢者向け住宅を含む。)の入居者に係るケアマネジメントに対して、利用者負担を求めることについて、議論を行った。


○ これについて、見直しに慎重な立場からは、

・ 住宅型有料老人ホームは、在宅サービスも外付けサービスであるなど、住まいと同様の仕組みであるところ、これに対して利用者負担を求める場合、住む場所によって取扱いが変わるということになり、仕組みとして不適当

・ 一部の不適切な有料老人ホームによる「囲い込み」問題への対応として、適切に運営するホームも含めて負担を求めるのは不適当

・ 居宅サービスへの提供内容に対する有料老人ホームの事実上の関与・働きかけを認めることとも受け取られ、利用者本位が損なわれるおそれがあるのではないか

との意見があった。


○ 一方で、見直しに積極的な立場からは、

・ 他サービスとの間の公平性の観点を踏まえて、利用者負担を導入すべき

・ 住宅型有料老人ホームにおいては、実質的には施設サービスや特定施設と同様のサービス提供が行われている現状を踏まえて、ケアマネジメントの利用者負担を求めることは、筋が通っているのではないか

・ 中重度の要介護者が住む有料老人ホームについては、自宅等とは異なる位置付けを有するものであり、利用者負担の導入に異論はない

・ 有料老人ホームについては、高齢者が集住し、その透明性が一定確保されていること等を考えると、一般的な在宅とは違った特徴と課題があり、独立性・透明性の担保を行いながら、負担を求めていくことは適切な方向性ではないか

との意見があった。


○ このほか、

・ 仮にこの案とする場合、一般の居宅介護支援も含めた利用者負担の議論に波及することを懸念しており、適切に線引きをした上で議論することが必要

・ 仮にこの案とする場合でも、これで打ち止めとするわけではなく、ケアマネジメントの専門性を評価することや、関心を高める観点から、低所得者にも配慮しつつ、引き続き幅広く負担の在り方を検討すべき

・ 有料老人ホームと居宅介護支援事業所が、同一・関連法人、連携関係にある場合とそうでない場合との関係について、丁寧に整理することが必要

との意見があった。


**検討の方向性】**

○ こうしたそれぞれの考え方に係る議論も踏まえつつ、また、改革工程において、「第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度)までの間に結論を出す」とされていることも踏まえ、住宅型有料老人ホームの入居者に関して、ケアプラン作成を含めて利用者負担の対象としている特定施設入居者生活介護等との均衡の観点から、新たに登録制といった事前規制の対象となる有料老人ホームの入居者に係る新たな相談支援の類型(Ⅱ5参照(※))に対して利用者負担を求めることが考えられるところ、本部会における意見も十分に踏まえた上で、丁寧に検討することが適当である。その際、新たな相談支援の類型において、ケアプラン作成と生活相談のニーズに一体的に対応することで、当該類型を行う事業者が入居者の生活に関わる様々な情報を入手することが可能となり、ケアプランの作成等において有料老人ホームと対等な立場でやりとりがしやすくなり、いわゆる「囲い込み」対策にも資する面があると考えられる。また、利用者にとって公正中立なケアマネジメントを実現する観点から、登録制といった事前規制の対象となる有料老人ホームにおいて、新たな人員等の基準や、指針の公表等のケアマネジメントの独立性を担保する体制確保の在り方について検討を進める中で、利用者負担を避けるための不適切なセルフケアプランの乱用を防ぐよう、必要な対応を検討することが適当である

(※)入居者に対して行われるケアマネジメントの独立性の担保や相談支援の機能強化の観点から、居宅のケアマネジメントとは別に、登録制といった事前規制の対象となる有料老人ホーム(特定施設を除く。)の入居者に係るケアプラン作成と生活相談のニーズに対応する新たな相談支援の類型を創設することが考えられる。


○ なお、こうした方向性については、④に掲げた内容のほか、

・ 特定施設入居者生活介護との均衡の観点からは、登録制といった事前規制や、新たな相談支援の類型において、同様の体制が確保されることが必要であり、こうした取組と併せて検討していくことが必要ではないか

・ 事実上、有料老人ホームの運営とケアプラン作成の結び付きが強まり、「囲い込み」を助長することになり得るものであり、住宅型有料老人ホームが「住まい」であることを前提とした、これまでの考え方を大きく変えるものになるのではないか、また、ケアマネジャーの業務が増加することにならないか

との意見があった。


**(軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方)**

○ 要支援1・2の者の訪問介護及び通所介護については、市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組を含む多様な主体による柔軟な取組を行うことにより、効果的かつ効率的にサービスを提供することを目的として、平成26年改正において、総合事業へと移行された。


○ 総合事業の実施状況を見ると、6~7割の市町村において従前相当サービス以外の多様なサービス・活動(サービス・活動A~D)のいずれかが実施され、訪問型サービスと通所型サービスの実施事業所の2~3割がサービス・活動A~D(通所型にあってはA~C)を実施している。


○ このような中、軽度者(要介護1・2の者)の生活援助サービス等に関する給付の在り方について、改革工程において、「介護サービスの需要が増加する一方、介護人材の不足が見込まれる中で、現行の介護予防・日常生活支援総合事業に関する評価・分析や活性化に向けた取組等を行いつつ、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度)までの間に、介護保険の運営主体である市町村の意向や利用者への影響等も踏まえながら、包括的に検討を行い、結論を出す」とされている。


○ 総合事業の充実に向けては、令和5年12月の「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」の「中間整理」に基づき、令和6年8月までに、市町村が中心となって、多様な主体を含めた地域の力を組み合わせるという視点に立ち、地域をデザインしていくことができるよう、地域支援事業実施要綱等の改正を行った。


○ 現在、当該改正要綱等を踏まえて、各市町村において、軽度の認知症の方も含めた要支援者の自立生活を支える生活支援サービスの受け皿の確保など、総合事業の見直しに向けた取組が進められている途上であり、国としても、こうした取組を推進することが必要である


○ こうした状況も踏まえて、軽度者(要介護1・2の者)に対する給付の見直し(軽度者の生活援助サービス等の地域支援事業への移行)について、どのように考えるか、議論を行った。


○ 議論においては、見直しに慎重な立場から、以下の意見があった。

・ 要介護1・2の方は要支援の方と比べ、認知症の症状が異なるなど、状態が大きく異なる上に、支援には専門的な知識や技術、対応力が必要。十分な支援が行えない場合、利用者の状態像が悪化し、結果的に費用の増大につながりかねず、慎重な検討が必要ではないか。

・ 総合事業の実施状況が各自治体で一様ではなく、移行することは難しいのではないか。特に、サービス・活動Bのような住民参加型のタイプの展開が進まない理由をまずは分析し、その評価をすることが必要ではないか。

・ 総合事業によるサービスの効果検証がないまま、総合事業へ移行する議論は、時期尚早。事業者の力量は未知数であり、総合事業に移行すれば、在宅ケアは著しく後退するのではないか。


○ 一方で、見直しに積極的な立場から、以下の意見があった。

・ 制度の持続性の確保や現役世代の負担軽減に向けて、給付と負担の見直し、給付の重点化や効率化を実行していくことが不可欠であり、確実に前に進めていくべき。

・ 総合事業の実施状況を踏まえながら、例えばまず要介護1の生活援助サービスから移行していくなど、段階的な見直しも検討すべき。


○ このほか、

・ 地域の実情に応じて、専門職によるサービスと地域住民を始めとする多様な主体による支え合いの仕組みが適切に連携する体制づくりを整備することが重要。また、地域で生活支援サービスを展開する介護以外の事業者に力を発揮していただくことが重要。こうした地域の実態等を踏まえながら、包括的な検討を進めるべき。

・ 総合事業を育てる観点から、介護事業者の知識や技術等のうち何を地域住民等に移転してマンパワーを補えるのか、総合事業で何ができるのかを議論することが必要。総合事業を一度整理した上で、専門職が後方支援する仕組みも含めて、総合事業の拡充に向けた建設的な議論に期待したい。

・ 軽度者の生活援助サービスについては、地域の実情に応じて、給付サービスと地域支援事業いずれでも選択できる仕組みを考えるのが現実的ではないか。

との意見もあった。


○ このように、総合事業の充実に当たっては、特に、要介護1・2の方には認知症の方も多数見られるところ、こうした方々に対する専門職の関わりの必要性や、また、地域の実情に応じて、専門職によるサービスと、地域住民を始めとする多様な主体による支え合いの仕組みが適切に連携する体制づくりを整備することの必要性といった観点に留意が必要である


○ こうしたことも踏まえて、軽度者(要介護1・2の者)の生活援助サービス等に関する給付の在り方について、介護サービスの需要が増加する一方、介護人材の不足が見込まれる中で、総合事業における認知症の方の受け皿となる多様なサービス・活動の整備の進捗状況、総合事業のうち専門職が中心となってサービスを提供している類型(従前相当サービス等)における専門職の役割、専門職によるサービスと地域の支え合いの仕組みの連携の実施状況など、検討に必要なデータを多角的に収集・分析しつつ、介護保険の運営主体である市町村の意向や利用者への影響等も踏まえながら、引き続き、包括的に検討を行うことが適当である


**(被保険者・受給者範囲)**

○ 介護保険制度は、老化に伴う介護ニーズに適切に応えることを目的とし、被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上64歳以下の第2号被保険者としている。第2号被保険者の範囲については、40歳以上になれば、老化を原因とする疾病による介護ニーズの発生の可能性が高くなるとともに、自らの親も介護を要する状態になる可能性が高くなることから介護保険制度により負担が軽減されるなど一定の受益があるため、社会的扶養や世代間連帯の考え方に立って、定められている。


○ 制度創設以降、被保険者・受給者の範囲については、要介護となった理由や年齢の如何にかかわらず介護を必要とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大する「制度の普遍化」を目指すべきか、「高齢者の介護保険」を維持するかを中心に議論が行われてきた。


○ 令和5年介護保険制度改正における本部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」では、被保険者・受給者範囲について、「引き続き検討を行うことが適当である」とされた。


○ 被保険者・受給者範囲について、これまでの議論の経緯を踏まえ、どのように考えるか議論を行った。


○ 第2号被保険者の対象年齢を引き下げることについて、

・ 若年層は子育て等に係る負担があること、受益と負担の関係性が希薄であることから反対

・ 現役世代の負担軽減が課題となっている現下においては、それと異なる対応となるため、現段階では反対

・ 障害者総合支援法の利用者との整合性の観点から、介護を必要とする全ての人にサービス給付を行うか、高齢者の介護保険を維持するかは慎重に検討すべき

との意見があった。


○ その一方で、

・ 介護は高齢者特有のニーズではないのにもかかわらず、被保険者でなければ介護給付を受けることができない状態を解消して、制度の普遍化を図るべき

・ 受給者と被保険者の範囲を拡大する検討も中長期的な視点からは重要

40歳未満も含めて介護保険をどう考えるかという国民的な議論を始めてもよいタイミングではないか

との意見もあり、介護保険を取り巻く状況の変化も踏まえつつ、引き続き検討を行うことが適当である


**(金融所得、金融資産の反映の在り方)**

○ 介護保険では、保険料や窓口負担割合の算定に、合計所得金額等を用いているが、金融所得(株や債券などの譲渡、配当、利子所得)については、確定申告を行う場合は、合計所得金額等の算定においても勘案される。また、補足給付においては、所得要件に加えて、預貯金等の資産を勘案し、利用者負担段階を設定している。


○ こうした中で、改革工程において、

・ 国民健康保険制度、後期高齢者医療制度及び介護保険制度における負担への金融所得の反映の在り方について、税制における確定申告の有無による保険料負担の不公平な取扱いを是正するため、どのように金融所得の情報を把握するかなどの課題も踏まえつつ、検討を行う

・ 預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえつつ、資産運用立国に向けた 取組や国民の安定的な金融資産形成の促進などにも配慮しながら、医療・介護保険における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について検討を行う

とされている。


○ さらに、骨太2025においては、

・ 医療・介護保険における負担への金融所得の反映に向けて、税制における金融所得に係る法定調書の現状も踏まえつつ、マイナンバーの記載や情報提出のオンライン化等の課題、負担の公平性、関係者の事務負担等に留意しながら、具体的な制度設計を進める

とされており、医療保険制度においても、負担への金融所得の反映についての議論が行われている。


○ 金融所得、金融資産の反映の在り方について、こうした状況を踏まえ、議論を行ったところ、

・ 確定申告の有無による課税所得に関する不公平な取扱いの正等を講じていくことは重要

・ 株などを含む金融所得、不動産等を把握することは業務が大変膨大であるが、これらが反映されないと公平性につながらないのではいないか

・ 政府全体となって、金融所得・金融資産を反映するためのツールが必要になるため、ぜひ検討を進めるべき

・ 金融所得・金融資産の把握には、技術的な課題があり、これをクリアしなければ、かえって不公平を招くのではないか

・ 金融所得・金融資産の把握やそれに応じた保険料徴収は、特に第2号被保険者について実務面での課題が非常に多い点は配慮する必要があるのではないか

との意見があった。


○ これらの意見を整理すると、金融所得の保険料や窓口負担等への反映については、

・ 確定申告を行う場合は課税所得とされ、結果として保険料や窓口負担等の算定においても所得として勘案されるが、確定申告を行わない場合(源泉徴収で課税が終了する場合)は課税所得に含まれず、保険料や窓口負担等の算定においても勘案されない不公平な取扱いとなっており、その是正に取り組む必要がある。

・ 一方で、法定調書のオンライン提出義務化、法定調書へのマイナンバーの付番・正確性確保、システムの整備、関係者の事務負担等の留意点が考えられる。


○ 以上の議論の経緯を踏まえると、後期高齢者医療制度での対応状況も踏まえつつ、介護保険制度における将来的な導入について、制度面・運用面等の総合的な観点から、引き続き検討を行うことが適当である


○ また、金融資産の反映の在り方については、改革工程において「預貯金口座へのマイナンバー付番の状況等を踏まえつつ、(中略)介護保険における負担への金融資産等の保有状況の反映の在り方について検討を行う」とされていることから、政府として預貯金等へのマイナンバーの付番を推進し、その状況を踏まえて、預貯金等の確認でのマイナンバーの活用について、引き続き検討を行うことが適当である


**(高額介護サービス費の在り方)**

○ 介護保険制度では、所得の段階に応じて利用者負担額に一定の上限を設け、これを超えた場合には、超えた額が高額介護サービス費として利用者に償還し、過大な負担とならない仕組みとしている。


○ 高額介護サービス費の所得段階及び上限額は、制度創設時には、生活保護受給者等について15,000円(個人)、住民税非課税世帯の者について24,600円(世帯)、これ以外の者について37,200円(世帯)と設定していた。また、上限額については、制度創設時から医療保険の高額療養費制度を踏まえて設定されてきた。


○ これまで累次にわたり、改正されており、

・ 平成29年改正では、一般区分の負担上限額を37,200円(世帯)から医療保険の一般区分の多数回該当と同じ水準である44,400円(世帯)とし、

・ 令和3年改正では、医療保険における自己負担額の上限額に合わせ、現役並み所得区分について細分化した上で、年収約770万円以上の者と年収約1,160万円以上の者について、世帯の上限額を現行の44,400円からそれぞれ93,000円、140,100円と見直してきた。


○ 高額介護サービス費の在り方について、これまでの見直しの経緯や制度の運用状況等を踏まえ、議論を行ったところであるが、制度の運用状況を踏まえ、引き続き検討を行うことが適当である


#### 3.その他の課題


**(介護被保険者証の事務・運用)**

○ 現在、介護被保険者証については、65歳到達時に全被保険者に対して交付しているが、要介護認定 (要支援認定を含む。以下同じ。)申請時に紛失しているケースがある。事務負担の軽減等の観点から、要介護認定申請時や被保険者から請求があった場合に介護被保険者証を交付する対応に変更するとともに、被保険者(要介護認定者を除く。)の資格喪失時の介護被保険者証及び有効期限の切れた負担割合証・負担限度額認定証について、返還義務をなくすこととする見直しを行うことが適当である。また、65歳到達時等の機会を捉えて、被保険者が介護保険の利用手続等について知ることができるよう、介護被保険者証の交付手続の変更を含め介護保険についての広報啓発を行っていくことが必要である


○ また、被保険者がサービスを受ける際には、事業所に介護被保険者証等を提示することとされているが、被保険者においては複数の証を管理・提示する負担が、事業者においても被保険者が証を紛失していた場合に再度訪問する負担等が生じている。利便性の向上や事務負担の軽減を図るため、サービス利用時の本人確認について電子資格確認を可能とするとともに、2回目以降は簡素化することが適当である


**(高齢者虐待防止の推進)**

○ 近年、高齢者の住まいが多様化している中、有料老人ホームや有料老人ホームに該当しないサ高住等の高齢者住まいにおける虐待防止対策のための取組を更に強化する必要がある。また、「養護者」に該当しない同居者等(養護、被養護の関係にない高齢の親と同居する中高年の子など)からの虐待について、地域支援事業における権利擁護事業や、包括的相談支援 ・アウトリーチ等を通じた継続的支援の枠組みの活用を通じ、虐待防止を推進することが必要である


○ 令和6年度介護報酬改定により、全てのサービス種別の運営基準において身体的拘束等が原則禁止されたが、依然として適正な手続を経ていない身体的拘束等は、養介護施設従事者等による虐待事案の2~3割程度を占め続けており、引き続き、取組の実効性の確保を図ることが重要である。


○ 高齢者虐待の対応は、市町村が一義的な責務を担うが、専門職の確保や県及び市域を越えた広域的な調整等に関して、都道府県による市町村支援の強化も課題である。また、自治体による指導等に係る体制整備や、再発防止に資する事例検証が低調である中、更なるPDCAサイクルの推進が課題であり、今後、自治体における早期発見のための体制整備 ・関係機関間のネットワークの構築や、再発防止に向けたPDCAサイクルの構築に取り組めるよう、高齢者権利擁護等推進事業を通じた更なる支援が必要である


**(介護現場の安全性の確保、リスクマネジメントの推進)**

○ 介護現場においてより良いケア等を実現し、利用者のQOLを向上させる観点から、事業所における事故発生の防止を推進することが重要である。このため、全国レベルで必要な情報の収集や分析を行い、収集した事故情報を基に傾向の把握及び原因分析を行い、事故発生の防止に有用な情報を介護現場にフィードバックすることが必要である


○ これを前提に、国・都道府県・市町村の役割は以下と考えられる。

・ 市町村:事故が発生した事業所からの報告の受付、報告内容の集計・傾向把握

・ 都道府県:報告内容の広域的な集計・傾向把握、市町村からの相談対応・助言等、広域的な研修、注意喚起等

・ 国:事故情報の収集(システム・DB構築)・分析・活用(分析情報の共有)による全国的な事故防止のPDCAサイクルの構築、報告様式の標準化


○ 介護現場における事故報告の一元的なシステムを構築する場合、個人情報保護の観点から情報セキュリティが確保されている必要があること、また、市町村・都道府県にとってアクセスしやすいシステムであることが必要であるため、「介護サービス情報公表システム」において、事故情報の報告のためのサブシステムを新たに構築することが考えられる。


**(要介護認定)**

○ 現在、要介護認定の申請代行は、指定居宅介護支援事業者、地域密着型介護老人福祉施設、介護保険施設、地域包括支援センターのみが行うことが可能であるが、認定申請全体のうち、78.4%が代行により申請されている状況も踏まえ、ケアマネジャーの配置を指定基準としている(介護予防)認知症対応型共同生活介護、(介護予防)小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、(介護予防)特定施設入居者生活介護についても、申請代行を可能とすることが適当である


○ 介護保険法においては、要介護認定の申請者が申請前に主治医意見書を入手することは妨げられていないが、要介護認定の事務処理手続について示している通知においては、市町村が主治医意見書への意見の記載を求め、回収する旨が記載されていることを踏まえ、主治医意見書の提出方法の一つとして、申請者が主治医意見書を事前に入手する方法も可能である旨を明確化することが適当である

なお、介護情報基盤の運用開始に伴い、事業所において、要介護認定の進捗状況や介護認定審査会 ・介護被保険者証の情報の電子的な確認が行えるようになるとともに、医療機関から主治医意見書の電子的提出も可能となる。これにより、要介護認定に関する業務の効率化がなされることから、介護情報基盤を通じた情報の共有も併せて進めていくことが適当である


**(福祉用具貸与・特定福祉用具販売)**

○ 令和6年度介護報酬改定では、全サービスを対象に、BCP計画の未策定及び高齢者虐待防止措置の未実施の場合の減算が創設されたが、福祉用具の売り切り型のサービスである特定福祉用具販売は減算の対象とされていない。


○ また、令和6年度介護報酬改定において、一部の福祉用具に係る貸与と販売の選択制が導入され、利用者の身体状況や医師・専門職の所見等を踏まえ貸与か販売のいずれかを提案すること、また、選択制対象種目を販売した場合、販売後の目標達成状況の確認をすることとされた。これらを踏まえ、特定福祉用具販売の費用の額に関する所要の制度上の整備を行うことが適当である


**(国民健康保険団体連合会の業務)**

○ 介護報酬の支払事務については、介護保険法の規定に基づき国民健康保険団体連合会への委託が認められていることを踏まえ、介護報酬に関連する補助金を効率的に支給する観点から、国民健康保険団体連合会の業務を拡充し、介護報酬に関連する補助金の支払事務について、委託を受けて行うことを可能とすることが適当である


**おわりに**

○ 以上が、介護保険制度の見直しに関する本部会の意見である。


○ 厚生労働省においては、この意見書の内容を十分に踏まえて見直しの内容の具体化を図り、法改正が必要な事項については、関連法案を国会に提出するほか、運営基準や令和9年度介護報酬改定で対応すべき事項については、介護給付費分科会等での議論に付すなど、制度見直しのために必要な対応を速やかに講じられることを求めたい。


○ 今回の制度見直しは、全体として、以下の事項を目指すものである。


* 2040年に向けて、「時間軸」・「地域軸」の両視点から、地域における人口減少・サービス需要の変化に応じ、全国を「中山間・人口減少地域」、「大都市部」、「一般市等」と主に3つの地域に分類して、テクノロジー等も活用し、その地域の状況に応じたサービス提供体制や支援体制を構築すること。

* 頼れる身寄りがいない高齢者等や複合的な課題を抱える世帯の増加等が見込まれる中、高齢者が抱える複雑化・複合化した課題を地域で受け止め、関係者が専門性を十分に発揮しながら地域課題の実効的な解決につながる取組を推進すること。

* 一層の高齢化の進展に伴い介護給付費の急増が見込まれる一方、サービスの担い手である現役世代が急減していくという非常に厳しいフェーズに対応し、介護保険制度の財政的な持続可能性に加え、足下の介護人材確保と介護現場の生産性向上による職場環境改善、経営改善支援、多様なニーズに対応した介護基盤の整備によりサービスの質の確保や基盤整備、職員の負担軽減を図り、サービス提供の持続可能性を高めること。


○ 「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方」検討会において整理された福祉サービス(介護サービス、障害福祉サービス、保育)の共通課題等に対する方向性も踏まえ、今般、福祉部会等とも議論を相互に報告・連携しながら議論を取りまとめた。福祉サービス間の連携は今後一層重要となるものであり、さらには介護や福祉以外の地域資源、例えば高齢者の移動支援・買い物支援等の住民サービス・公共サービス、地域におけるまちづくりや交通等の取組との連携が図られ、包括的な支援体制の整備、ひいては地域共生社会の実現に向けた取組が効果的に進められることが重要である。


○ 市町村においては、介護保険の保険者として、また、住民に最も身近な基礎自治体であり地域包括ケアシステムの構築を主導する存在として、2040年に向けて中長期の視点に立ち、地域の実情を踏まえた介護サービスの維持・確保など、介護保険制度を適切に運営するとともに、地域課題の解決に向けたネットワーク構築など、地域づくりに資する様々な取組を主体的に推進する役割を果たしていくべきである。あわせて、医療・介護連携や介護人材確保、職場環境改善に向けた生産性向上など、市町村を越えた広域的な連携・議論に取り組むことが必要である


○ 都道府県においては、上記の市町村の取組の支援を行うとともに、広域的な観点から2040年に向けたサービス提供体制の構築を進めながら介護保険事業の運営に係る施策を進めるべきである。あわせて、介護人材確保、職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援に向けて、地域の関係者と協働しながら都道府県がイニシアティブを持つ形で主導的な役割を果たしていくことが必要である


○ また、市町村を越えた広域的な議論が必要な課題も含め、圏域単位等での議論の場を活用し、地域における課題認識を共有した上で、地域の関係者とともに、都道府県と市町村が連携して地域課題の解決に向けた取組を進めることが適当である


○ 厚生労働省においては、都道府県や市町村の適切な制度運営や取組の推進が図られるよう、今般の制度見直しに係る具体的な内容の提示、取組の実態把握や効果検証、保険者事務を支援するシステム基盤や地域包括ケア「見える化」システム、介護サービス情報公表システム等の整備、全国の自治体で行われている効果的な取組に係る情報の収集とフィードバック、個々の自治体への伴走型の支援等により、都道府県、市町村を支援するとともに、介護人材確保、職場環境改善に向けた生産性向上、経営改善支援や科学的介護の推進の取組を進めることが必要である。あわせて、今般の制度見直しの趣旨や目的について、国民や制度に関わる関係者に対して丁寧に周知・説明を行うべきである。


○ 介護保険制度は、高齢化の進展に伴う介護ニーズの増大や、要介護高齢者を支えてきた家族を巡る状況の変化を背景に、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された。また、多様な主体の参入を促しサービス基盤の充実を促進することにより、利用者の選択により保健医療サービス・福祉サービスを総合的に受けられる制度としており、高齢者の尊厳の保持と自立した日常生活を支える重要な制度として定着している。


○ 今後、2040年に向けて、介護保険制度が果たす役割は一層大きくなる。給付と負担のバランスを図りつつ、制度を持続可能なものとするために、制度の見直しに不断に取り組むとともに、国民の介護保険制度への理解と信頼を高めていくことが重要となる。あわせて、都道府県や市町村を含む地域の様々な関係者間で、介護サービス基盤の状況や将来像等について情報を共有し、共通の認識を持った上で地域にとって必要な取組を議論すること、その際、住民等をも含めてこれらの関係者が互いの意見を踏まえて検討していくプロセスが必要である


---


### <参考> 2040年に向けた地域包括ケアシステムの深化


**【基本的な考え方】**


* 重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進する。

* 2040年に向けて生産年齢人口が減少する中、85歳以上の医療・介護ニーズを抱える者や認知症高齢者、独居高齢者等の増加が見込まれるため、システムのさらなる深化が必要である

* 高齢者人口の変化に伴い、地域差(中山間・人口減少地域、大都市部、一般市など)に応じたサービス供給体制の構築と、地域づくりの推進が不可欠となる。

* 保険者である市町村や都道府県が、地域の特性に応じて「見える化」システム等を活用し、分析・議論を行うことが必要である


**【システムの構成要素と連携】**


* **住まい:** 自宅(持ち家・借家)、有料老人ホーム、サ高住、養護・軽費老人ホーム等。

* **医療:** かかりつけ医、有床診療所、地域の連携病院、歯科医療機関、薬局、訪問看護事業所等。

* **介護・リハビリ:** 居宅介護支援、訪問介護、通所介護、小規模多機能、定期巡回、施設系サービス(老健、介護医療院、特養等)。

* **生活支援・地域づくり:** 地域包括支援センター、生活支援コーディネーター、ボランティア、NPO、民間企業、自治会等。

* **相談支援・権利擁護:** 本人の意思決定支援、地域ケア会議による関係者間調整。


---


### 社会保障審議会介護保険部会 委員名簿(令和71225日現在)


| 氏名 | 肩書き |

| --- | --- |

| ◎ 菊池 馨実 | 早稲田大学理事・法学学術院教授(部会長) |

| ○ 野口 晴子 | 早稲田大学政治経済学術院教授(部会長代理) |

| 粟田 主一 | 社会福祉法人介風会 認知症介護研究・研修東京センター センター長 |

| 石田 路子 | NPO法人高齢社会をよくする女性の会 副理事長 |

| 伊藤 悦郎 | 健康保険組合連合会 常務理事 |

| 井上 隆 | 一般社団法人日本経済団体連合会 専務理事 |

| 江澤 和彦 | 公益社団法人日本医師会 常任理事 |

| 及川 ゆりこ | 公益社団法人日本介護福祉士会 会長 |

| 大石 賢吾 | 全国知事会(長崎県知事) |

| 大西 秀人 | 全国市長会介護保険対策特別委員会委員長(香川県高松市長) |

| 幸本 智彦 | 日本商工会議所 社会保障専門委員会委員 |

| 小林 広美 | 一般社団法人日本介護支援専門員協会 副会長 |

| 佐藤 主光 | 一橋大学国際・公共政策大学院 教授 |

| 染川 朗 | UAゼンセン日本介護クラフトユニオン 会長 |

| 津下 一代 | 女子栄養大学 教授 |

| 鳥潟 美夏子 | 全国健康保険協会 理事 |

| 中島 栄 | 全国町村会 行政委員・茨城県美浦村長 |

| 橋本 康子 | 一般社団法人日本慢性期医療協会 会長 |

| 東 憲太郎 | 公益社団法人全国老人保健施設協会 会長 |

| 平山 春樹 | 日本労働組合総連合会 総合政策推進局生活福祉局 局長 |

| 松島 紀由 | 公益財団法人全国老人クラブ連合会 常務理事 |

| 山際 淳 | 民間介護事業推進委員会 代表委員 |

| 山田 淳子 | 公益社団法人全国老人福祉施設協議会 副会長 |

| 山本 則子 | 公益社団法人日本看護協会 副会長 |

| 和田 誠 | 公益社団法人認知症の人と家族の会 代表理事 |


(全25名、敬称略、五十音順)





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