医政発 1226第 12号
令和7年 12月 26日
各都道府県知事 殿
厚生労働省医政局長
( 公 印 省 略 )
医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条の解釈について(その3)
医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条その他の関係法規によって禁止されている。 ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要があるが、介護現場等において医行為であるか否かについて判断に疑義が生じることが多い行為であって原則として医行為でないと考えられるもの等については、これまで、「医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条の解釈について(通知)」(平成 17 年7月 26 日付け医政発第 0726005 号厚生労働省医政局長通知。以下「平成 17年通知」という。)等においてお示ししてきたところである。
今般、規制改革実施計画(令和6年6月 21 日閣議決定)において、平成 17 年通知等に記載のない行為のうち、介護現場等で実施されることが多いと考えられる行為を中心に、医行為ではないと考えられる行為を整理することとされた。 これを踏まえ、医療機関以外の介護現場等で実施されることが多いと考えられる行為であって、原則として医行為ではないと考えられるもの及び当該行為を介護職員が行うに当たっての患者や家族、医療従事者等との合意形成や協力に関する事項について別紙のとおり列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際や、ケアの提供体制について検討する際の参考とされたい。
なお、本通知については、厚生労働省社会・援護局、社会・援護局障害保健福祉部、老健局及び医薬局並びにこども家庭庁支援局と調整済みである。 また、当然のこととして、医行為に該当しない行為についても、高齢者介護の現場等において安全に行われるべきものであり、また、行為の実施に当たっては、患者の状態を踏まえ、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員と連携することや、必要に応じてマニュアルの作成や医療従事者による研修を行うことが適当であることを申し添える。
(別紙)
(服薬準備等関係)
1 医師、看護師等の免許を有しない者によるいわゆる湿布の貼付(※1)又はその他の医薬品の使用の介助ができることを医師、歯科医師又は看護職員が本人又は家族等に伝えている場合に、事前の本人又は家族等の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守したいわゆる湿布の貼付又はその他の医薬品の使用の介助をすること。
具体的には、
① お薬カレンダーへ一包化された等の医薬品をセットすること
② 服薬の直前に PTPシートから薬剤を取り出すこと(※2)
③ 専門的な管理が必要無いことを医師若しくは看護職員が確認した皮膚に、いわゆる湿布を貼付すること
※1 鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又はステロイド外用剤等専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)
※2 PTPシートをハサミなどで1つずつに切り離さないよう留意すること。
(蓄尿バッグ交換等関係)
2 医師又は看護職員の立会いの下で安全に行えることを事前に確認された実施者が、蓄尿バッグの破損等尿漏れを確認した際や、蓄尿バッグが膀胱留置カテーテルから外れた際に、膀胱留置カテーテルと未開封・未使用の蓄尿バッグを接続すること。
注1 前記1に掲げるいわゆる湿布の貼付は、原則として医行為又は医師法第 17条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。 このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。 さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。
注2 前記1に掲げる医薬品の使用の介助について、抗血栓薬といった特に安全管理が必要な医薬品等服薬の内容によっては、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が当該行為を実施する際に注意すべきものや医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員による専門的な管理を必要とするものもあるため、当該行為の実施に当たってはこれらの免許を有する者が判断し、服薬する医薬品の用法を遵守するとともに、その内容について確認すること。
注3 前記2に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法第 17 条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。
注4 前記2に掲げる行為については、以下に留意の上、実施すること。
① 患者にいつもと変わった様子がないことを実施前に観察すること。
② 排出された尿が膀胱内に逆流する等の可能性があるため、蓄尿バッグは常時患者の膀胱より低い位置にすること。また、蓄尿バッグが汚染される可能性があるため床につかないようにすること。
③ 膀胱留置カテーテルや接続チューブが折れ曲がったり、ベッド柵などで潰れたりしていないか確認すること。また、膀胱留置カテーテル挿入時に膀胱内で膀胱留置カテーテル先端のバルーンに水を注入し、膨らませて膀胱に留置しているため、膀胱留置カテーテルは引っ張らないようにすること。
④ 蓄尿バッグの交換は、石鹸や擦式アルコール製剤を使用した手洗いを行った上で、手袋を装着して行い、終了後も手洗いをすること。また、蓄尿バッグ側と繋ぐ膀胱留置カテーテルの接続部は、接続前に消毒綿で拭いてから蓄尿バッグと接続すること。
注5 前記1に掲げるいわゆる湿布の貼付及び前記2に掲げる行為の実施に当たっては、当然ながら患者本人や家族に対して分かりやすく、適切な説明を行うとともに、介護職員等の実施する行為について患者本人や家族が相談を行うことができる環境作りに努めることが望ましい。 また、必要に応じて、注1のサービス担当者会議の開催時等に医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に相談する、必要に応じて書面等で指示を受ける、ケアの実施後に医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に報告を行う等して適切に連携することが求められる。
注6 前記1及び2に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。 また、前記2に掲げる行為は、破損等尿漏れを確認した場合の行為であり、定期的な交換においては、医師又は看護職員が膀胱留置カテーテル・蓄尿バッグの両方を交換すること。 また、蓄尿バッグの交換について、医師又は看護職員の配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきである。
注7 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。