※本ツールは個別の事案に対する法的・医学的判断を保証するものではありません。実際の業務にあたっては、必ず医師、歯科医師、看護職員等の専門家や所属施設の責任者に確認してください。また、本ツール使用によって生じた事故等の責任は一切、負いません。
(平成17年7月26日)
(医政発第0726005号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要がある。しかし、近年の疾病構造の変化、国民の間の医療に関する知識の向上、医学・医療機器の進歩、医療・介護サービスの提供の在り方の変化などを背景に、高齢者介護や障害者介護の現場等において、医師、看護師等の免許を有さない者が業として行うことを禁止されている「医行為」の範囲が不必要に拡大解釈されているとの声も聞かれるところである。
このため、医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為ではないと考えられるものを別紙の通り列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際の参考とされたい。
なお、当然のこととして、これらの行為についても、高齢者介護や障害者介護の現場等において安全に行われるべきものであることを申し添える。
(別紙)
1 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること
2 自動血圧測定器により血圧を測定すること
3 新生児以外の者であって入院治療の必要がないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメータを装着すること
4 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること(汚物で汚れたガーゼの交換を含む。)
5 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。
① 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
② 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
③ 内用薬については誤嚥の可能性、坐薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと
注1 以下に掲げる行為も、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。
① 爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること
https://kaigosien.blogspot.com/
② 重度の歯周病等がない場合の日常的な口腔内の刷掃・清拭において、歯ブラシや綿棒又は巻き綿子などを用いて、歯、口腔粘膜、舌に付着している汚れを取り除き、清潔にすること
③ 耳垢を除去すること(耳垢塞栓の除去を除く)
④ ストマ装具のパウチにたまった排泄物を捨てること。(肌に接着したパウチの取り替えを除く。)
⑤ 自己導尿を補助するため、カテーテルの準備、体位の保持などを行うこと
⑥ 市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器(※)を用いて浣腸すること
※ 挿入部の長さが5から6センチメートル程度以内、グリセリン濃度50%、成人用の場合で40グラム程度以下、6歳から12歳未満の小児用の場合で20グラム程度以下、1歳から6歳未満の幼児用の場合で10グラム程度以下の容量のもの
注2 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。
また、上記1から3までに掲げる行為によって測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為であり、事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医師又は看護職員に報告するべきものである。
注3 上記1から5まで及び注1に掲げる行為は原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、業として行う場合には実施者に対して一定の研修や訓練が行われることが望ましいことは当然であり、介護サービス等の場で就労する者の研修の必要性を否定するものではない。
また、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。
注4 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。
注5 上記1から5まで及び注1に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。上記5に掲げる医薬品の使用の介助が福祉施設等において行われる場合には、看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきである。
注6 上記4は、切り傷、擦り傷、やけど等に対する応急手当を行うことを否定するものではない。
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○医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)〔保健師助産師看護師法〕
(令和4年12月1日)
(医政発1201第4号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
(公印省略)
医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条その他の関係法規によって禁止されている。ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要があるが、介護現場等において医行為であるか否かについて判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として医行為でないと考えられるもの等については、これまで、「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)」(平成17年7月26日付け医政発第0726005号厚生労働省医政局長通知。以下「平成17年通知」という。)等においてお示ししてきたところである。
今般、規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)において、平成17年通知に記載のない行為のうち、介護現場で実施されることが多いと考えられる行為を中心に、医行為ではないと考えられる行為を整理し、周知した上で、介護職員がそれらの行為を安心して行えるよう、ケアの提供体制について本人、家族、介護職員、看護職員、主治医等が事前に合意するプロセスを明らかにすることとされた。
これを踏まえ、医療機関以外の介護現場で実施されることが多いと考えられる行為であって、原則として医行為ではないと考えられるもの及び当該行為を介護職員が行うに当たっての患者や家族、医療従事者等との合意形成や協力に関する事項について別紙のとおり列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際や、ケアの提供体制について検討する際の参考とされたい。
なお、本通知については、厚生労働省社会・援護局及び老健局と調整済みである。また、当然のこととして、医行為に該当しない行為についても、高齢者介護の現場等において安全に行われるべきものであり、また、行為の実施に当たっては、患者の状態を踏まえ、医師、歯科医師又は看護職員と連携することや、必要に応じてマニュアルの作成や医療従事者による研修を行うことが適当であることを申し添える。
(別紙)
(在宅介護等の介護現場におけるインスリンの投与の準備・片付け関係)
1 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、あらかじめ医師から指示されたタイミングでの実施の声かけ、見守り、未使用の注射器等の患者への手渡し、使い終わった注射器の片付け(注射器の針を抜き、処分する行為を除く。)及び記録を行うこと。
2 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が血糖測定及び血糖値の確認を行った後に、介護職員が、当該血糖値があらかじめ医師から指示されたインスリン注射を実施する血糖値の範囲と合致しているかを確認すること。
3 在宅介護等の介護現場におけるインスリン注射の実施に当たって、患者が準備したインスリン注射器の目盛りが、あらかじめ医師から指示されたインスリンの単位数と合っているかを読み取ること。
(血糖測定関係)
4 患者への持続血糖測定器のセンサーの貼付や当該測定器の測定値の読み取りといった、血糖値の確認を行うこと。
(経管栄養関係)
5 皮膚に発赤等がなく、身体へのテープの貼付に当たって専門的な管理を必要としない患者について、既に患者の身体に留置されている経鼻胃管栄養チューブを留めているテープが外れた場合や、汚染した場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うこと。
6 経管栄養の準備(栄養等を注入する行為を除く。)及び片付け(栄養等の注入を停止する行為を除く。)を行うこと。なお、以下の3点については医師又は看護職員が行うこと。
① 鼻からの経管栄養の場合に、既に留置されている栄養チューブが胃に挿入されているかを確認すること。
② 胃ろう・腸ろうによる経管栄養の場合に、び爛や肉芽など胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことを確認すること。
③ 胃・腸の内容物をチューブから注射器でひいて、性状と量から胃や腸の状態を確認し、注入内容と量を予定通りとするかどうかを判断すること。
(喀痰吸引関係)
7 吸引器に溜まった汚水の廃棄や吸引器に入れる水の補充、吸引チューブ内を洗浄する目的で使用する水の補充を行うこと。
(在宅酸素療法関係)
8 在宅酸素療法を実施しており、患者が援助を必要としている場合であって、患者が酸素マスクや経鼻カニューレを装着していない状況下における、あらかじめ医師から指示された酸素流量の設定、酸素を流入していない状況下における、酸素マスクや経鼻カニューレの装着等の準備や、酸素離脱後の片付けを行うこと。ただし、酸素吸入の開始(流入が開始している酸素マスクや経鼻カニューレの装着を含む。)や停止(吸入中の酸素マスクや経鼻カニューレの除去を含む。)は医師、看護職員又は患者本人が行うこと。
9 在宅酸素療法を実施するに当たって、酸素供給装置の加湿瓶の蒸留水を交換する、機器の拭き取りを行う等の機械の使用に係る環境の整備を行うこと。
10 在宅人工呼吸器を使用している患者の体位変換を行う場合に、医師又は看護職員の立会いの下で、人工呼吸器の位置の変更を行うこと。
(膀胱留置カテーテル関係)
11 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックからの尿廃棄(DIBキャップの開閉を含む。)を行うこと。
12 膀胱留置カテーテルの蓄尿バックの尿量及び尿の色の確認を行うこと。
13 膀胱留置カテーテル等に接続されているチューブを留めているテープが外れた場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うこと。
14 専門的管理が必要無いことを医師又は看護職員が確認した場合のみ、膀胱留置カテーテルを挿入している患者の陰部洗浄を行うこと。
(服薬等介助関係)
15 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族等に伝えている場合に、事前の本人又は家族等の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、水虫や爪白癬にり患した爪への軟膏又は外用液の塗布(褥瘡の処置を除く。)、吸入薬の吸入及び分包された液剤の内服を介助すること。
① 患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
② 副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
③ 内用薬については誤嚥の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと
(血圧等測定関係)
16 新生児以外の者であって入院治療の必要ないものに対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメーターを装着し、動脈血酸素飽和度を確認すること。
17 半自動血圧測定器(ポンプ式を含む。)を用いて血圧を測定すること。
(食事介助関係)
18 食事(とろみ食を含む。)の介助を行うこと。
(その他関係)
19 有床義歯(入れ歯)の着脱及び洗浄を行うこと。
注1 在宅酸素療法を実施するに当たって、酸素流入中の酸素マスクや経鼻カニューレがずれ、次のいずれかに該当する患者が一時的に酸素から離脱(流入量の減少を含む。)したことが見込まれる場合に、当該酸素マスクや経鼻カニューレを元の位置に戻すことも、原則として、医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要がないものであると考えられる。
・ 肢体不自由等により、自力で酸素マスクや経鼻カニューレを戻すことが困難である患者
・ 睡眠中や意識がない状態で、自力で酸素マスクや経鼻カニューレを戻すことが困難である患者
注2 前記1から19まで及び注1に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。
また、前記1から4までに掲げる行為については、患者の血糖値や食事摂取量等が不安定でないことが必要である。
さらに、前記2、4、16及び17に掲げる行為によって測定された数値を基に投薬の要否など医学的な判断を行うことは医行為であり、事前に示された数値の範囲外の異常値が測定された場合には医師、歯科医師又は看護職員に報告するべきものである。
注3 前記1から19まで及び注1に掲げる行為は原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、その実施に当たっては、当然ながら患者本人や家族に対して分かりやすく、適切な説明を行うとともに、介護職員等の実施する行為について患者本人や家族が相談を行うことができる環境作りに努めることが望ましい。また、必要に応じて、注2のサービス担当者会議の開催時等に医師、歯科医師又は看護職員に相談する、必要に応じて書面等で指示を受ける、ケアの実施後に医師、歯科医師又は看護職員に報告を行う等して適切に連携することが望ましい。
注4 前記1から19まで及び注1に掲げる行為は原則として医行為又は医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、業として行う場合には実施者に対して一定の研修や訓練が行われることが望ましいことは当然であり、介護サービス等の場で就労する者の研修の必要性を否定するものではない。
また、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。
注5 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。
注6 前記1から19まで及び注1に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。前記15に掲げる服薬等の介助が福祉施設等において行われる場合には、看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきである。
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医政発 1226第 12号
令和7年 12月 26日
各都道府県知事 殿
厚生労働省医政局長
( 公 印 省 略 )
医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条の解釈について(その3)
医師、歯科医師、看護師等の免許を有さない者による医業(歯科医業を含む。以下同じ。)は、医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条その他の関係法規によって禁止されている。 ここにいう「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。
ある行為が医行為であるか否かについては、個々の行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要があるが、介護現場等において医行為であるか否かについて判断に疑義が生じることが多い行為であって原則として医行為でないと考えられるもの等については、これまで、「医師法第 17条、歯科医師法第 17条及び保健師助産師看護師法第 31条の解釈について(通知)」(平成 17 年7月 26 日付け医政発第 0726005 号厚生労働省医政局長通知。以下「平成 17年通知」という。)等においてお示ししてきたところである。
今般、規制改革実施計画(令和6年6月 21 日閣議決定)において、平成 17 年通知等に記載のない行為のうち、介護現場等で実施されることが多いと考えられる行為を中心に、医行為ではないと考えられる行為を整理することとされた。 これを踏まえ、医療機関以外の介護現場等で実施されることが多いと考えられる行為であって、原則として医行為ではないと考えられるもの及び当該行為を介護職員が行うに当たっての患者や家族、医療従事者等との合意形成や協力に関する事項について別紙のとおり列挙したので、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うことが適切か否か判断する際や、ケアの提供体制について検討する際の参考とされたい。
なお、本通知については、厚生労働省社会・援護局、社会・援護局障害保健福祉部、老健局及び医薬局並びにこども家庭庁支援局と調整済みである。 また、当然のこととして、医行為に該当しない行為についても、高齢者介護の現場等において安全に行われるべきものであり、また、行為の実施に当たっては、患者の状態を踏まえ、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員と連携することや、必要に応じてマニュアルの作成や医療従事者による研修を行うことが適当であることを申し添える。
(別紙)
(服薬準備等関係)
1 医師、看護師等の免許を有しない者によるいわゆる湿布の貼付(※1)又はその他の医薬品の使用の介助ができることを医師、歯科医師又は看護職員が本人又は家族等に伝えている場合に、事前の本人又は家族等の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守したいわゆる湿布の貼付又はその他の医薬品の使用の介助をすること。
具体的には、
① お薬カレンダーへ一包化された等の医薬品をセットすること
② 薬服の直前に PTPシートから薬剤を取り出すこと(※2)
③ 専門的な管理が必要無いことを医師若しくは看護職員が確認した皮膚に、いわゆる湿布を貼付すること
※1 鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬若しくは向精神薬であるもの又はステロイド外用剤等専ら皮膚疾患に用いるものを除く。)
※2 PTPシートをハサミなどで1つずつに切り離さないよう留意すること。
(蓄尿バッグ交換等関係)
2 医師又は看護職員の立会いの下で安全に行えることを事前に確認された実施者が、蓄尿バッグの破損等尿漏れを確認した際や、蓄尿バッグが膀胱留置カテーテルから外れた際に、膀胱留置カテーテルと未開封・未使用の蓄尿バッグを接続すること。
注1 前記1に掲げるいわゆる湿布の貼付は、原則として医行為又は医師法第 17条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の規制の対象とする必要があるものでないと考えられるものであるが、病状が不安定であること等により専門的な管理が必要な場合には、医行為であるとされる場合もあり得る。 このため、介護サービス事業者等はサービス担当者会議の開催時等に、必要に応じて、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に対して、そうした専門的な管理が必要な状態であるかどうか確認することが考えられる。 さらに、病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に連絡を行う等の必要な措置を速やかに講じる必要がある。
注2 前記1に掲げる医薬品の使用の介助について、抗血栓薬といった特に安全管理が必要な医薬品等服薬の内容によっては、医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が当該行為を実施する際に注意すべきものや医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員による専門的な管理を必要とするものもあるため、当該行為の実施に当たってはこれらの免許を有する者が判断し、服薬する医薬品の用法を遵守するとともに、その内容について確認すること。
注3 前記2に掲げる行為は、原則として医行為又は医師法第 17 条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の規制の対象とする必要があるものではないと考えられるものであるが、介護サービスの事業者等は、事業遂行上、安全にこれらの行為が行われるよう監督することが求められる。
注4 前記2に掲げる行為については、以下に留意の上、実施すること。
① 患者にいつもと変わった様子がないことを実施前に観察すること。
② 排出された尿が膀胱内に逆流する等の可能性があるため、蓄尿バッグは常時患者の膀胱より低い位置にすること。また、蓄尿バッグが汚染される可能性があるため床につかないようにすること。
③ 膀胱留置カテーテルや接続チューブが折れ曲がったり、ベッド柵などで潰れたりしていないか確認すること。また、膀胱留置カテーテル挿入時に膀胱内で膀胱留置カテーテル先端のバルーンに水を注入し、膨らませて膀胱に留置しているため、膀胱留置カテーテルは引っ張らないようにすること。
④ 蓄尿バッグの交換は、石鹸や擦式アルコール製剤を使用した手洗いを行った上で、手袋を装着して行い、終了後も手洗いをすること。また、蓄尿バッグ側と繋ぐ膀胱留置カテーテルの接続部は、接続前に消毒綿で拭いてから蓄尿バッグと接続すること。
注5 前記1に掲げるいわゆる湿布の貼付及び前記2に掲げる行為の実施に当たっては、当然ながら患者本人や家族に対して分かりやすく、適切な説明を行うとともに、介護職員等の実施する行為について患者本人や家族が相談を行うことができる環境作りに努めることが望ましい。 また、必要に応じて、注1のサービス担当者会議の開催時等に医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に相談する、必要に応じて書面等で指示を受ける、ケアの実施後に医師、歯科医師、薬剤師又は看護職員に報告を行う等して適切に連携することが求められる。
注6 前記1及び2に掲げる行為について、看護職員による実施計画が立てられている場合は、具体的な手技や方法をその計画に基づいて行うとともに、その結果について報告、相談することにより密接な連携を図るべきである。 また、前記2に掲げる行為は、破損等尿漏れを確認した場合の行為であり、定期的な交換においては、医師又は看護職員が膀胱留置カテーテル・蓄尿バッグの両方を交換すること。 また、蓄尿バッグの交換について、医師又は看護職員の配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきである。
注7 今回の整理はあくまでも医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法等の解釈に関するものであり、事故が起きた場合の刑法、民法等の法律の規定による刑事上・民事上の責任は別途判断されるべきものである。