2040年に向けたサービス提供体制等のあり方
サービス・機関別整理
1.居宅介護支援
① ケアプランデータ連携
ケアプランデータ連携システムを活用し、居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所との間で電子上のケアプラン連携を進める。
目的は業務負担の軽減。
生成AIについても、ケアプラン作成支援など、介護現場への組み込み方を検討するとしている。
② 在宅ケアにおけるケアマネジャー
85歳以上の複合ニーズを抱える人や独居高齢者の増加を踏まえ、在宅ケアでは、
訪問看護
訪問介護
ケアマネジャーによる支援
住まい
口腔管理
薬剤管理
栄養指導
などが必要とされている。
医療機関と介護事業者との情報共有、顔の見える関係づくり、コミュニケーション強化も必要とされている。
整理すると:
居宅介護支援については、ケアプランデータ連携・AIによるケアプラン作成支援などのDXと、医療・介護連携の中でのケアマネジャーの役割がポイント。
2.訪問介護
① 人材確保
訪問介護については、特に明確な課題として、
「一人で利用者宅に訪問してケアを提供することに対する不安」
他の介護職種に比べて高い有効求人倍率
が挙げられている。
そのため、
同行支援(訪問)
経験が十分でない者への支援
経営改善
魅力発信
などに取り組むべきとしている。
さらに、同行支援については訪問看護・訪問リハビリテーションなど他サービスも含めて検討するとしている。
② 中山間・人口減少地域
訪問介護と通所介護について、配置基準等をより弾力化し、
サービス間の連携
人材の行き来
を柔軟にすることが検討事項として挙げられている。
③ 訪問系サービスの報酬
現在の訪問系サービスは「回数」を単位として評価しているため、
突然のキャンセル
利用者宅間の移動
移動時間・コスト
などの負担が大きいと指摘。
これに対応するため、介護報酬の中で包括的に評価する仕組みも検討方向の一つとされている。
④ 大都市部
定期巡回・随時対応型訪問介護看護や夜間対応型訪問介護について、
夜間の負担
人材確保
夜間の定期訪問ニーズ
などを踏まえ、テクノロジーを活用して必要時にサービスを提供する形や、日中に重点化する形について意見が出ている。
整理すると:
訪問介護は、人材不足、同行支援、移動コスト、報酬体系、配置基準の柔軟化、訪問・通所間の人材融通、ICT・AI活用が主要論点。
3.通所介護
原文で「通所介護」と明記されている箇所は限定的。
① 訪問介護との連携
中山間・人口減少地域において、
「訪問介護と通所介護等における配置基準等をより弾力化」
し、サービス間の連携・柔軟化を図ることが検討されている。
特に、
訪問介護と通所介護双方の人材等の行き来
配置基準の柔軟化
がポイント。
② 大都市部
大都市部では、ICT・AIを活用し、
緊急時
利用者のニーズがある場合
に訪問・通所サービスなどの在宅サービスを組み合わせる、包括的なサービス提供が検討方向として示されている。
③ テクノロジー
訪問系・通所サービスでは、
テクノロジーの実証
現場の取組事例の把握
新たなテクノロジー開発
汎用性の高い介護記録ソフト
などを重点化して普及させるべきとしている。
整理すると:
通所介護は、訪問介護との人材・配置基準の柔軟な連携と、ICT・AIを活用した訪問・通所の組み合わせが中心。
4.福祉用具貸与
原文での直接的な記載は1か所。
業務負担軽減
ケアプランデータ連携システムによる居宅介護支援事業所と居宅サービス事業所の連携について述べた後、
訪問先の利用者に対する福祉用具貸与も負担軽減の観点から活用
することが示されている。
整理すると:
福祉用具貸与については、今回のとりまとめでは詳細な制度改革論ではなく、訪問先での福祉用具貸与を含めた業務負担軽減という位置付け。
5.訪問看護
① 人材確保
訪問介護の同行支援について、
「訪問看護・訪問リハビリテーションなど、他のサービスも含めて検討」
するとされている。
② 在宅ケア
85歳以上の複合ニーズや独居高齢者の増加を踏まえ、
訪問診療
急性期病院
訪問看護事業所
老人保健施設
ショートステイ
訪問介護
ケアマネジャー
などを組み合わせて在宅を支える必要性が示されている。
③ 医療・介護連携
訪問看護を含む在宅サービスについて、医療機関と介護事業者との情報共有、顔の見える関係、相互の役割理解、コミュニケーション強化が必要とされている。
整理すると:
訪問看護は、在宅医療・介護連携の重要な構成要素として位置付けられている。
6.介護老人福祉施設
原文では「介護老人福祉施設」という正式名称ではなく、主に**「特別養護老人ホーム」**として記載されている。
① 要介護3未満の入所特例
特別養護老人ホームについて、
「地域の実情等を踏まえ、各自治体において必要がある事情」
がある場合には、要介護3未満の者の入所を認めていることが示されている。
中山間・人口減少地域では、この特例がサービス提供体制確保のために有効となる可能性があるとしている。
② 施設の機能転換
サービス需要が減少する地域では、施設等の機能を柔軟に変更する必要があるとして、
高齢者施設から障害者施設への転用
児童福祉施設への転用
複数施設の統合
地域密着型施設から広域型施設への転用
など、施設を地域の状況に応じて活用する方向が示されている。
整理すると:
特養については、人口減少地域での入所特例の活用と、将来的な施設の転用・統合など機能転換がポイント。
7.認知症対応型共同生活介護
原文では、配置基準の弾力化の例として明確に取り上げられている。
夜勤配置
一定の要件を満たす認知症対応型共同生活介護について、
3ユニットに対し2名以上
という夜勤体制への緩和が既存制度の例として挙げられている。
これを、中山間・人口減少地域における配置基準弾力化を検討する際の参考例としている。
留意点
一方、配置基準を弾力化する場合には、
サービスの質の確保
配置減による職員負担の増加
それに伴う従事者確保の困難性
にも留意して十分な検討が必要としている。
整理すると:
認知症対応型共同生活介護は、配置基準を柔軟化する際の既存制度の具体例として登場している。
8.地域包括支援センター
ここはかなり明確に記載されている。
① 地域包括ケアの中核機関
地域包括支援センターについて、
地域包括ケアシステムの実現に向けた中核機関
と位置付けている。
② 全国の設置状況
全ての市町村に設置
令和6年4月現在、全国 5,451か所
とされている。
③ 主な機能
地域包括支援センターは、
地域のネットワーク構築
相談支援
介護予防ケアマネジメント
等を担っている。
④ 今後の位置付け
本とりまとめ全体では、2040年に向け、
医療
介護
介護予防
生活支援
認知症支援
を切れ目なく組み合わせる地域包括ケアシステムの深化が必要とされている。
整理すると:
地域包括支援センターは、地域包括ケアの中核機関として、ネットワーク構築・相談支援・介護予防ケアマネジメントを担う機関として位置付けられている。
9.総合事業
総合事業は、本とりまとめの中でも比較的重要な位置を占めている。
① 市町村による直接サービス
サービス主体となる事業者が少ない地域では、
市町村自らが直接的な事業として実施する枠組み
を検討する方向が示されている。
現行の総合事業でも、生活支援サービスを市町村自ら実施することが可能であり、その拡張が考えられるとしている。
② 地域の力を組み合わせる
総合事業を活用して、
医療・介護専門職
高齢者
多様な主体
地域の力
を組み合わせることが重要とされている。
③ 財源
市町村の財源確保を含め、総合事業の推進方策について更なる検討が必要とされている。
また、
上限額
安定的な財源確保方策
についても検討が必要とされている。
④ 効果検証・データベース
地域ごとの総合事業について、
実施内容
効果
を精緻に分析・検証し、データベースをつくって見える化する意見も紹介されている。
さらに、
中山間地域
一般市
都市部
などの地域類型別に好事例を横展開し、市町村の取組を支援することが示されている。
⑤ 介護予防との一体化
総合事業だけではなく、
通いの場
サービス・活動C
地域リハビリテーション
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施
などの介護予防関連施策について、連携方法や専門職の関与を検討するとしている。
整理すると:
総合事業は、人口減少地域における市町村直接実施、地域資源の組み合わせ、財源、効果検証・データベース化、介護予防との連携が主要論点。
10.市町村
市町村については、単一のサービスというより、2040年のサービス提供体制を地域単位で設計する主体として記載されている。
① サービスがない地域では市町村自ら実施
地域のサービス事業者が少ない場合、
市町村による直接的なサービス実施
総合事業の活用・拡張
が検討方向として示されている。
② 市町村間の広域連携
人口減少地域では、
複数市町村による広域的な介護保険運営
市町村間の連携・広域化
都道府県による市町村支援
が有用とされている。
③ 医療と介護のデータ分析
地域医療構想と介護保険事業計画を擦り合わせるため、
人口動態に基づく需要予測
医療資源の把握
過去からのトレンド分析
地域別の医療・介護状況の見える化
などが必要とされている。
また、市町村が地域医療構想調整会議に参画することにも触れている。
④ 介護予防
市町村については、
介護予防・健康づくり
総合事業
通いの場
サービス・活動C
地域資源の見える化
などを推進する主体として位置付けられている。
特に総合事業について、地域類型ごとの好事例を横展開し、市町村の取組を支援する必要性が示されている。
⑤ 介護予防拠点
令和6年度補正予算によるモデル事業として、市町村単位で介護予防・地域ささえあいサポート拠点を設ける取組が紹介されている。
⑥ 認知症施策
認知症については、都道府県・市町村がそれぞれの実情に即した認知症施策推進計画を策定し、計画的に施策を進めることが重要とされている。
⑦ 地域共生社会
市町村は、
福祉サービス提供事業者
都道府県
関係団体
公的支援機関
専門職
などと「連携」する主体として位置付けられている。
さらに、社会福祉法に基づく包括的な支援体制についても、市町村・都道府県等が地域住民や支援関係機関と協力し、地域生活課題を抱える住民を包括的に支える体制を整備することが示されている。
全体を一覧化すると
| 順 | 分野 | このとりまとめでの主な論点 |
|---|---|---|
| 1 | 居宅介護支援 | ケアプランデータ連携、AIによるケアプラン作成支援、医療・介護連携、ケアマネジャーの支援 |
| 2 | 訪問介護 | 人材不足、同行支援、移動コスト、報酬の包括的評価、配置基準の弾力化、通所との連携、ICT・AI |
| 3 | 通所介護 | 訪問介護との配置基準・人材連携、訪問・通所の組合せ、ICT・AI |
| 4 | 福祉用具貸与 | 訪問先での福祉用具貸与による負担軽減 |
| 5 | 訪問看護 | 在宅ケア、医療・介護連携、人材確保、訪問介護等との連携 |
| 6 | 介護老人福祉施設 | 要介護3未満の入所特例、人口減少地域での機能維持、転用・統合 |
| 7 | 認知症対応型共同生活介護 | 夜勤配置基準の弾力化の既存例、サービスの質・職員負担への留意 |
| 8 | 地域包括支援センター | 地域包括ケアの中核、ネットワーク構築、相談支援、介護予防ケアマネジメント |
| 9 | 総合事業 | 市町村直接実施、地域資源の組合せ、財源、効果検証、DB化、介護予防との連携 |
| 10 | 市町村 | 地域のサービス提供体制の設計、直接実施、広域化、医療介護連携、総合事業、認知症施策、包括的支援体制 |
この資料から見える大きな流れ
この10区分を横断すると、このとりまとめが描いている方向はかなり明確です。
「個々の介護サービスを単独で維持する」
↓
「地域の人口・需要に応じて、複数のサービス・専門職・地域資源を組み合わせる」
↓
「市町村を中心に、医療・介護・介護予防・生活支援を地域単位で再構築する」
という方向です。
特に訪問介護・通所介護・居宅介護支援・訪問看護を個別サービスとして見るだけでなく、「人材」「配置基準」「ICT」「医療介護連携」「地域資源」という横断軸で再編する考え方が目立ちます。
また、市町村については、単なる「保険者」だけでなく、人口減少地域ではサービス提供主体にもなり得る存在として記載されている点が重要です。