令和9年度介護報酬改定に向けて、本年4月以降、計9回にわたり社会保障審議会介護給付費分科会において、各サービスや横断的課題について議論を行うとともに、関係団体等と3回の意見交換会を行った。
令和9年度から始まる第10期介護保険事業計画期間は、65歳以上人口がピークを迎える一方、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する2040年を見据えた取組を本格化させていく時期である。今後、地域によって高齢化や人口減少の進み方が大きく異なる中、介護サービスの需要についても、増加する地域がある一方で減少する地域が生じるなど、地域差が一層大きくなることが見込まれる。こうした中、必要な介護サービスを確保することは、高齢者の生活を支えるのみならず、家族の介護負担を軽減し、現役世代の就労継続を支える観点からも重要である。
また、生産年齢人口の減少が進み、介護人材の確保が一層課題となることが見込まれる中、足元では物価や賃金の上昇が続いており、介護サービス事業者の経営の安定を図るとともに、全産業の賃金動向も踏まえ、介護分野の職員について他職種と遜色のない処遇改善を進め、必要な人材を確保していくことが重要となっている。あわせて、限られた人材で質の高い介護サービスを提供していくため、テクノロジーの活用等による介護現場の生産性向上を一層進めていくことが求められている。
こうした介護を取り巻く状況の変化を踏まえ、今回の介護報酬改定に向けた基本的な視点は、次のように整理できると考える。
1.改定に当たっての基本認識
(1)経済状況の変化への対応
○ 我が国の経済が「デフレではない状況」へと移行する中、物価や賃金の上昇が続き、介護サービスに要する様々な経費が増加するとともに、他産業における賃上げが進む中で、介護現場は、厳しい状況に直面している。実際に、令和7年度介護事業経営概況調査では、全サービスにおける赤字事業者の割合は約4割となっている。
○ 介護サービスは公定価格であり、物価や賃金の上昇によるコストの増加を事業者自らサービス価格に反映することが困難である。このため、物価・賃金の上昇が事業者の経営等に与える影響を踏まえ、経営の安定と介護人材の確保・定着に向けた更なる処遇改善が求められている。
○ 他方で、保険料・公費・利用者負担により支えられている介護保険制度について、必要なサービスを確保しつつ、制度の安定性・持続可能性を確保することが引き続き求められている。また、近年、特に現役世代を中心に、保険料負担の増加に対する懸念が示されていることにも留意する必要がある。
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○ このため、介護保険制度を将来にわたって持続可能なものとしていく観点から、給付と負担のあり方について不断の見直しを行うとともに、介護報酬においても限られた財源を有効に活用していくことが求められる。その際、サービス提供の実態や利用者の状態像、地域の状況等を踏まえながら、必要なサービスを適切に確保するとともに、報酬の評価の適正化・重点化や体系の整理・簡素化を進めていくことが必要である。
(2)人口構造の変化への対応
○ 2040年に向けて、医療と介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口は増加することが見込まれている一方、高齢化や人口減少の進み方には地域差があり、介護サービスの需要についても、今後増加する地域がある一方、既に減少局面に入る地域もあるなど、地域によって置かれる状況が大きく異なることが見込まれる。
〇 サービスの提供体制に着目すると、中山間・人口減少地域においては、生産年齢人口の減少が全国に比して進んでおり、介護人材の確保が深刻な課題となっている。
○ こうした中、令和8年6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律により、中山間・人口減少地域において、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供を可能とする「特定地域サービス」等が創設された。中山間・人口減少地域において、こうした新たな仕組みを確実に機能させることを含め、必要な介護サービスを確保する必要がある。
○ また、生産年齢人口の減少が進み、介護人材の確保が一層課題となることが見込まれる中、同法により、人材確保や生産性向上の取組の推進が国及び都道府県の責務とされるとともに、介護分野における生産性向上推進のための協議会設置が都道府県の義務とされたことを踏まえ、介護人材の確保・定着や生産性向上の取組をより一層推進していくことが求められている。
○ 特に、施設系サービスのみならず居宅系サービスも含め、AI等の介護テクノロジーの活用やいわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアなどを通じて、業務の改善や効率化等を進めることで職員の業務負担の軽減を図るとともに、それにより生み出された時間を直接的な介護ケアの業務に充てるなど、介護サービスの質の確保・向上につなげていくことが重要である。
(3)地域共生社会の実現と高齢者の安心の確保
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○ 現在、地域共生社会の構築に向けた取組が進められ、介護のみならず、障害、保育、生活困窮等の分野横断的で包括的な支援体制の整備が求められている。その中で、介護分野においては、85歳以上人口が増加する中、医療・介護の複合ニーズを有する高齢者や認知症の高齢者、独居高齢者の増加など、介護ニーズの複雑化・多様化が見込まれている。こうした中、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含め、医療と介護の連携を一層推進するとともに、地域における様々な主体が連携して高齢者を支える体制を構築していくことが必要である。あわせて、災害や感染症発生時における必要な業務継続の確保や、実効性のある高齢者虐待防止等の取組の推進も重要である。
○ また、認知症や軽度認知障害の高齢者が65歳以上高齢者の約3割を占めていることを踏まえ、誰もが認知症になり得ることを前提として、認知症になっても尊厳を保持しつつ、地域で暮らし続けることのできる環境を整備していくことが重要である。
○ あわせて、独居高齢者の増加等も見据え、地域の様々な主体と連携を進め、住み慣れた地域で安心して生活を継続できる体制を構築し、高齢者の地域での生活全体を支えていくことが求められる。
○ こうした中、社会福祉法等の一部を改正する法律により、有料老人ホームについて登録制が導入され、有料老人ホームのサービスの質及び運営の透明性の確保が求められるなど、高齢者の住まいをめぐる制度的な対応も進められている。
○ さらに、介護が必要な状態になっても、本人の尊厳を尊重しつつ、状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進していくことが重要である。
○ こうした介護ニーズや高齢者を取り巻く環境の変化を踏まえ、高齢者が地域で安心して生活を継続できるよう、地域包括ケアシステムを一層深化させていくことが必要である。
2.今回の介護報酬改定に向けた基本的な視点
1で述べたような現状認識を踏まえ、今回の介護報酬改定の基本的な視点を整理すれば、概ね次の5点に集約されるものと考えられる。
(1)物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
○ 第1の視点は、物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善である。介護サービス事業者の経営状況や介護分野の賃上げの状況等を適切に把握した上で、物価や賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映し、介護サービス事業者の経営の安定を図るとともに、他職種と遜色のない処遇改善を実現し、人材の定着・離職を防止する環境を整備していくことが重要である。
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(2)人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
○ 第2の視点は、人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築である。地域によって高齢化や人口減少の状況、介護サービスの需要が異なる中、それぞれの地域の実情に応じて、必要な介護サービスを持続的に提供できる体制を構築していくことが求められている。
○ 特に、中山間・人口減少地域において、新たに創設された「特定地域サービス」等の仕組みが確実に機能するよう、地域の実情を踏まえたサービス提供のあり方、人員配置基準、報酬について検討し、必要なサービス基盤の維持・確保を図っていくことが必要である。
○ また、地域の実情やサービス需要の変化に応じ、必要な介護サービスを持続的に提供できるよう、中山間地域の加算のあり方の見直しや地域における固有の資源との協働化を図り、タスクシフト/シェアを推進するなど、あらゆる資源を用いて対応することが必要である。
(3)地域包括ケアシステムの深化
○ 第3の視点は、地域包括ケアシステムの深化である。医療・介護の複合ニーズを有する高齢者や認知症の高齢者、独居高齢者の増加等を踏まえ、
・医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めた医療と介護の連携や生活期における自立支援に向けたリハビリテーションを一層推進するとともに、災害や感染症発生時の業務継続や高齢者虐待防止等の取組を推進し、
・認知症の高齢者が役割を果たして地域とのつながりや社会参加を継続し、地域で暮らし続けることのできる環境を整備するとともに、
・生活支援や権利擁護、地域活動、民間サービスなど、地域の多様な主体・資源と連携しながら高齢者の地域での生活全体を支えていくとともに、有料老人ホームのサービスの質及び運営の透明性確保の観点からの取組を進める
ことが必要である。
○ また、状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進し、その成果を適切に評価するとともに、LIFEの一層の活用等を通じた科学的介護を推進していくことが必要である。
(4)職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保
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○ 第4の視点は、介護現場の生産性向上等を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保である。
○ 多様な介護人材の確保・定着を進めるとともに、職員が専門性を発揮し、働き続けることのできる環境づくりが求められており、職員の負担軽減や職場環境の改善等につながる取組を推進していくことが必要である。
○ 居宅系サービスも含めたAI等の介護テクノロジーの活用、業務のタスクシフト/シェアなどを通じた生産性向上を一層推進し、職員の負担軽減を図るとともに、職員が利用者への直接的な介護ケアにより注力できる環境を整備し、介護サービスの質の確保・向上につなげていくことが重要である。
(5)制度の安定性・持続可能性の確保
○ 第5の視点は、制度の安定性・持続可能性の確保である。近年、特に現役世代を中心に、保険料負担の増加に対する懸念が示されている中、介護報酬においても限られた財源を有効に活用していくことが求められる。必要な介護サービスを確保しつつ、サービス提供の実態等をきめ細かく把握した上で、介護報酬の評価の適正化・重点化を進めるとともに、報酬体系の整理・簡素化を図ることにより、介護保険制度の安定性・持続可能性を確保していくことが必要である。令和9年度介護報酬改定に向けて、本年4月以降、計9回にわたり社会保障審議会介護給付費分科会において、各サービスや横断的課題について議論を行うとともに、関係団体等と3回の意見交換会を行った。
令和9年度から始まる第10期介護保険事業計画期間は、65歳以上人口がピークを迎える一方、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する2040年を見据えた取組を本格化させていく時期である。今後、地域によって高齢化や人口減少の進み方が大きく異なる中、介護サービスの需要についても、増加する地域がある一方で減少する地域が生じるなど、地域差が一層大きくなることが見込まれる。こうした中、必要な介護サービスを確保することは、高齢者の生活を支えるのみならず、家族の介護負担を軽減し、現役世代の就労継続を支える観点からも重要である。
また、生産年齢人口の減少が進み、介護人材の確保が一層課題となることが見込まれる中、足元では物価や賃金の上昇が続いており、介護サービス事業者の経営の安定を図るとともに、全産業の賃金動向も踏まえ、介護分野の職員について他職種と遜色のない処遇改善を進め、必要な人材を確保していくことが重要となっている。あわせて、限られた人材で質の高い介護サービスを提供していくため、テクノロジーの活用等による介護現場の生産性向上を一層進めていくことが求められている。
こうした介護を取り巻く状況の変化を踏まえ、今回の介護報酬改定に向けた基本的な視点は、次のように整理できると考える。
1.改定に当たっての基本認識
(1)経済状況の変化への対応
○ 我が国の経済が「デフレではない状況」へと移行する中、物価や賃金の上昇が続き、介護サービスに要する様々な経費が増加するとともに、他産業における賃上げが進む中で、介護現場は、厳しい状況に直面している。実際に、令和7年度介護事業経営概況調査では、全サービスにおける赤字事業者の割合は約4割となっている。
○ 介護サービスは公定価格であり、物価や賃金の上昇によるコストの増加を事業者自らサービス価格に反映することが困難である。このため、物価・賃金の上昇が事業者の経営等に与える影響を踏まえ、経営の安定と介護人材の確保・定着に向けた更なる処遇改善が求められている。
○ 他方で、保険料・公費・利用者負担により支えられている介護保険制度について、必要なサービスを確保しつつ、制度の安定性・持続可能性を確保することが引き続き求められている。また、近年、特に現役世代を中心に、保険料負担の増加に対する懸念が示されていることにも留意する必要がある。
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○ このため、介護保険制度を将来にわたって持続可能なものとしていく観点から、給付と負担のあり方について不断の見直しを行うとともに、介護報酬においても限られた財源を有効に活用していくことが求められる。その際、サービス提供の実態や利用者の状態像、地域の状況等を踏まえながら、必要なサービスを適切に確保するとともに、報酬の評価の適正化・重点化や体系の整理・簡素化を進めていくことが必要である。
(2)人口構造の変化への対応
○ 2040年に向けて、医療と介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口は増加することが見込まれている一方、高齢化や人口減少の進み方には地域差があり、介護サービスの需要についても、今後増加する地域がある一方、既に減少局面に入る地域もあるなど、地域によって置かれる状況が大きく異なることが見込まれる。
〇 サービスの提供体制に着目すると、中山間・人口減少地域においては、生産年齢人口の減少が全国に比して進んでおり、介護人材の確保が深刻な課題となっている。
○ こうした中、令和8年6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律により、中山間・人口減少地域において、地域の実情に応じた柔軟なサービス提供を可能とする「特定地域サービス」等が創設された。中山間・人口減少地域において、こうした新たな仕組みを確実に機能させることを含め、必要な介護サービスを確保する必要がある。
○ また、生産年齢人口の減少が進み、介護人材の確保が一層課題となることが見込まれる中、同法により、人材確保や生産性向上の取組の推進が国及び都道府県の責務とされるとともに、介護分野における生産性向上推進のための協議会設置が都道府県の義務とされたことを踏まえ、介護人材の確保・定着や生産性向上の取組をより一層推進していくことが求められている。
○ 特に、施設系サービスのみならず居宅系サービスも含め、AI等の介護テクノロジーの活用やいわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアなどを通じて、業務の改善や効率化等を進めることで職員の業務負担の軽減を図るとともに、それにより生み出された時間を直接的な介護ケアの業務に充てるなど、介護サービスの質の確保・向上につなげていくことが重要である。
(3)地域共生社会の実現と高齢者の安心の確保
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○ 現在、地域共生社会の構築に向けた取組が進められ、介護のみならず、障害、保育、生活困窮等の分野横断的で包括的な支援体制の整備が求められている。その中で、介護分野においては、85歳以上人口が増加する中、医療・介護の複合ニーズを有する高齢者や認知症の高齢者、独居高齢者の増加など、介護ニーズの複雑化・多様化が見込まれている。こうした中、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含め、医療と介護の連携を一層推進するとともに、地域における様々な主体が連携して高齢者を支える体制を構築していくことが必要である。あわせて、災害や感染症発生時における必要な業務継続の確保や、実効性のある高齢者虐待防止等の取組の推進も重要である。
○ また、認知症や軽度認知障害の高齢者が65歳以上高齢者の約3割を占めていることを踏まえ、誰もが認知症になり得ることを前提として、認知症になっても尊厳を保持しつつ、地域で暮らし続けることのできる環境を整備していくことが重要である。
○ あわせて、独居高齢者の増加等も見据え、地域の様々な主体と連携を進め、住み慣れた地域で安心して生活を継続できる体制を構築し、高齢者の地域での生活全体を支えていくことが求められる。
○ こうした中、社会福祉法等の一部を改正する法律により、有料老人ホームについて登録制が導入され、有料老人ホームのサービスの質及び運営の透明性の確保が求められるなど、高齢者の住まいをめぐる制度的な対応も進められている。
○ さらに、介護が必要な状態になっても、本人の尊厳を尊重しつつ、状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進していくことが重要である。
○ こうした介護ニーズや高齢者を取り巻く環境の変化を踏まえ、高齢者が地域で安心して生活を継続できるよう、地域包括ケアシステムを一層深化させていくことが必要である。
2.今回の介護報酬改定に向けた基本的な視点
1で述べたような現状認識を踏まえ、今回の介護報酬改定の基本的な視点を整理すれば、概ね次の5点に集約されるものと考えられる。
(1)物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
○ 第1の視点は、物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善である。介護サービス事業者の経営状況や介護分野の賃上げの状況等を適切に把握した上で、物価や賃金の上昇等を介護報酬に適切に反映し、介護サービス事業者の経営の安定を図るとともに、他職種と遜色のない処遇改善を実現し、人材の定着・離職を防止する環境を整備していくことが重要である。
(2)人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
○ 第2の視点は、人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築である。地域によって高齢化や人口減少の状況、介護サービスの需要が異なる中、それぞれの地域の実情に応じて、必要な介護サービスを持続的に提供できる体制を構築していくことが求められている。
○ 特に、中山間・人口減少地域において、新たに創設された「特定地域サービス」等の仕組みが確実に機能するよう、地域の実情を踏まえたサービス提供のあり方、人員配置基準、報酬について検討し、必要なサービス基盤の維持・確保を図っていくことが必要である。
○ また、地域の実情やサービス需要の変化に応じ、必要な介護サービスを持続的に提供できるよう、中山間地域の加算のあり方の見直しや地域における固有の資源との協働化を図り、タスクシフト/シェアを推進するなど、あらゆる資源を用いて対応することが必要である。
(3)地域包括ケアシステムの深化
○ 第3の視点は、地域包括ケアシステムの深化である。医療・介護の複合ニーズを有する高齢者や認知症の高齢者、独居高齢者の増加等を踏まえ、
・医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めた医療と介護の連携や生活期における自立支援に向けたリハビリテーションを一層推進するとともに、災害や感染症発生時の業務継続や高齢者虐待防止等の取組を推進し、
・認知症の高齢者が役割を果たして地域とのつながりや社会参加を継続し、地域で暮らし続けることのできる環境を整備するとともに、
・生活支援や権利擁護、地域活動、民間サービスなど、地域の多様な主体・資源と連携しながら高齢者の地域での生活全体を支えていくとともに、有料老人ホームのサービスの質及び運営の透明性確保の観点からの取組を進める
ことが必要である。
○ また、状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進し、その成果を適切に評価するとともに、LIFEの一層の活用等を通じた科学的介護を推進していくことが必要である。
(4)職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保
○ 第4の視点は、介護現場の生産性向上等を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保である。
○ 多様な介護人材の確保・定着を進めるとともに、職員が専門性を発揮し、働き続けることのできる環境づくりが求められており、職員の負担軽減や職場環境の改善等につながる取組を推進していくことが必要である。
○ 居宅系サービスも含めたAI等の介護テクノロジーの活用、業務のタスクシフト/シェアなどを通じた生産性向上を一層推進し、職員の負担軽減を図るとともに、職員が利用者への直接的な介護ケアにより注力できる環境を整備し、介護サービスの質の確保・向上につなげていくことが重要である。
(5)制度の安定性・持続可能性の確保
○ 第5の視点は、制度の安定性・持続可能性の確保である。近年、特に現役世代を中心に、保険料負担の増加に対する懸念が示されている中、介護報酬においても限られた財源を有効に活用していくことが求められる。必要な介護サービスを確保しつつ、サービス提供の実態等をきめ細かく把握した上で、介護報酬の評価の適正化・重点化を進めるとともに、報酬体系の整理・簡素化を図ることにより、介護保険制度の安定性・持続可能性を確保していくことが必要である。