2012/10/20

2/4 ホームヘルパーとして、所長として

インタビュー

小谷庸夫さん
墨田区・社会福祉法人八広会「ヘルパーステーション和翔苑」
所長・サービス提供責任者
介護福祉士・調理師
※本文は個人情報保護の観点から事実と異なる箇所があります。


◆ホームヘルパーとして、所長として

そして、とあるホームヘルプ事業所に登録ヘルパーとして就職しました。


やってみるとマンツーマンで利用者とじっくり向き合え、自分には向いているように感じました。


長く勤めた病院の看護助手もそれなりにはやりがいもありましたが、どうしても一人で12~13人の方を看なければならない。


なかなかマンツーマンの対応をじっくりとはいきません。


しかし、ホームヘルプでは在宅での介護の支援に入る中で、家族に「高血圧の方にはこんな食事がいいですよ」と簡単なアドバイスをしただけでも感激してもらえました。


そんな成功体験もあり、ホームヘルプの仕事に魅力を感じるようになりました。


その1年後、今の事業所に常勤のホームヘルパーとして就職。今年で7年目になり、1年半ほど前から所長を仰せつかっています。


もっとも、こうした私自身のやり方やノウハウ、工夫などを、所長というポジションですが他のスタッフに対して指示的に伝えることはありません。


介護の仕事って、スタッフは専門職としてプライドを持ってやっている人が多いから、どこか職人気質なんです。


私のやり方は私にはできるけど、それを他の人が真似してもうまくいくとは限らない。


その人には、その人なりのやり方があるはずで、そこの部分は枠にはめるべきではない。


だから、職員が困ったり、それを見ていて何か思うことがあった場合も「私の場合は、こういう事例があり、それに対してこういう対応をしたよ」という参考事例の提供のようなレベルでとどめることが多いです。


あとは、そのアドバイスを聞いて当人が、それをいかに消化吸収してゆくか、「自分のもの」にしてゆくかだと思ってます。


でも、常にスタッフを見守る姿勢は大事だと思っています。


特に事例、利用者への仕事を通じてケアチーム内の介護観や考え方を築いていくことはとても大事だと思っています。


ですから、私は登録ヘルパーさんなどスタッフに一緒に考えてもらいたい事例などがある場合はメールで送ります。そして、悩んだり困ったりする問題をみんなで共有する。



特にホームヘルプはたった一人で現場に行くという孤独な仕事です。


事業所の仲間とつながっているという安心感や連帯感を持ってもらうことは、ヘルパーさんによい仕事をしてもらうためには、とても大切なことです。


ヘルパー事業所の中には、自宅からそのまま訪問先へ行って、そこで仕事をしたら、そのまま家に帰っておしまいというような直行直帰で、事業所から何のアフターフォローもない、野放しのような所もあると聞きます。


しかし、それで仕事が続くはずがない。それほど簡単にできて甘い仕事であるはずがない。


傷ついたり悩んだりモヤモヤと割り切れない思いを抱きながら現場をこなすことも多く、とても一人でできうるものではありません。


利用者だけでなくヘルパーをも支援する、守るという姿勢で対応してこそヘルパーは安心して仕事ができる。


日頃から「何かあったら私に言ってください」と言って、それを理解してもらっているから不安を取り除ける。


それもあり、うちの事業所ではほんとにヘルパーさんが辞めません。

経験5~6年のベテランさんばかりに成長してきました。


事業所としての力もついてきているのを実感し、地域包括支援センターからも対応が困難な事例の依頼が沢山きます。でも、それら困難といわれる事例に対しても一定の結果は出せています。


先日も一切の支援を拒否していた認知症の女性を1年がかりでホームヘルプからデイサービスへとつなげてゆきマネジメントの部分にまで関与してゆきました。


ともにチームを作る他社、他法人のケアマネジャーさんも「小谷のいる事業所なら、難しいケースも何とかやってくれるだろう」と思ってくださっているのか、深い部分や責任ある判断部分まで任せていただいたりもします。


そうやって信頼していただけているからこそ、こちらも腰を据えて仕事ができ、それなりの結果を出せているのかなと思っています。


つづく

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