2021/04/12

居宅介護支援等に係る書類・事務手続や業務負担等の取扱いについて

老 介 発 0331 第 1 号
老 高 発 0331 第 2 号
老 認 発 0331 第 3 号
老 老 発 0331 第 2 号
令和3年3月31日
厚生労働省老健局介護保険計画課長
高齢者支援課長
認知症施策・地域介護推進課長
老人保健課長

居宅介護支援等に係る書類・事務手続や業務負担等の取扱いについて


居宅介護支援に係る書類・事務手続や業務負担等の取扱いについては、全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議(令和2年度)の資料においてお示ししたとおり、「居宅介護支援における業務負担等に関する調査研究事業(令和2年度老人保健健康増進等事業)」((株)三菱総合研究所実施)において、現場の実践者を中心に委員会を設置し、居宅介護支援における業務負担の軽減等を通じた環境整備を図る観点や、介護支援専門員を取り巻く環境や業務の変化を前提に、質の担保を図りつつ、対応可能な具体的かつ実質的な業務負担の軽減等の議論を行ってきたところですが、当該事業を踏まえ、今般、別添のとおり「「介護保険制度に係る書類・事務手続の見直し」に関するご意見への対応について」(平成 22 年7月 30 日老介発 0730 第1号・老高発 0730 第1号・老振発 0730 第1号・老老発 0730 第1号)を一部改正し、標記通知を発出いたしますので、各都道府県におかれましては、趣旨をご理解の上、管内市区町村、関係団体、関係機関に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようお願いいたします。
 なお、別添のうち、今般の改正以外の内容については、既にお示ししているところですが、発出してから、長期間経過し、各項目に係る取扱いの周知が徹底されていないことや、居宅介護支援事業所と各保険者において、認識が一致しないなどの状況が生じている等のご意見がある旨承知しております。
 各項目に係る取扱いの可否については、介護支援専門員の判断を十分に踏まえ、各市町村においては、その可否に係る判断にあたっては根拠を示し、双方が理解できる形で対応がなされるよう、改めて特段のご配意をお願いいたします。
 そのため、日頃から、居宅介護支援事業所におかれましては、例えば、各地域の職能団体等を通じて、今般の各項目に係る取扱いについて、各地域の実情を踏まえた基本的な考え方等の整理や合意が図られるよう、意見交換会や協議の場等の開催を各市町村に提案し、一方、各市町村におかれましては、これらの場を積極的に活用し、双方の認識共有、合意形成の一層の充実に努められますよう併せてお願いいたします。また、平成 30 年4月から居宅介護支援事業所の指定権限を各都道府県から市町村に移譲し、これまで全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議においてもお願いしてきたところでありますが、各都道府県におかれましては、改めて市町村に対して必要な支援を実施していただくよう、上記について、ご承知いただき、適切な支援や対応をお願いいたします。
 なお、当該通知の「Ⅰ 居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・介護支援専門員関係」については、本通知の適用に伴い廃止します。また、当該事業に係る報告書については、事業完了次第、ご参考いただくために別途その掲載先をお知らせいたしますので、あらかじめご了知いただきますようお願いいたします。

・(別添)居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・介護支援専門員に係る項目及び項目に対する取扱い

・(参考)「介護保険制度に係る書類・事務手続の見直し」に関するご意見への対応について」(平成22 年7月30 日老介発0730 第1号・老高発0730 第1号・老振発0730 第1号・老老発0730 第1号)(別添)の一部改正後全文

居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・

(別添)
意見への対応

1 居宅介護支援


(1)居宅介護サービス計画書(ケアプラン)の記入例について

 居宅介護サービス計画書(ケアプラン)の記入例については、例えば、
 ・「居宅サービス計画書作成の手引」(発行(財)長寿社会開発センター)
 ・「居宅サービス計画ガイドライン」(発行(福)全国社会福祉協議会)

など、市販されている参考書籍が多数発刊されている。また、介護支援専門員の実務研修なども地域において様々開講開催され、特にケアマネの資格取得に必修となっている「実務研修」には「居宅サービス計画等の作成」実務就業後1年未満の者が受講する「実務従事者基礎研修」には「ケアマネジメント点検演習」、さらには一定の実務研修をもとに専門知識の習得を目指す「専門研修」においても事例研究等の研修課程を設けているところであり、これらの活用を図られたい。


(2)居宅サービス計画書の更新の時期の明確化について

居宅サービス計画書の更新(変更)については、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」(平成11年7月29日老企22厚生労働省老人保健福局企画課、以下「基準の解釈通知」という。)の「第二 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の「3 運営に関する基準」において、

<1> モニタリングを行い、利用者の解決すべき課題の変化が認められる場合等に応じて居宅サービスを変更(<12>居宅サービス計画の実施状況等の把握及び評価等)


<2> 介護支援専門員は、利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合など本号に掲げる場合(※)には、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする(・居宅サービス計画の変更の必要性についてのサービス担当者会議等による専門的意見の聴取)
と規定しているところである。
したがって指定居宅介護支援等事業及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚令38、以下「基準」という。)においても、モニタリングにより利用者の状態(解決すべき課題)に変化が認められる場合や、要介護認定の更新時において、居宅サービス計画書の更新(変更)を求めているところであり、これを周知徹底したい。

※基準第13条14
 介護支援専門員は、次に掲げる場合においては、サービス担当者会議の開催により、居宅サービス計画の変更の必要性について、担当者から、専門的な見地からの意見を求めるものとする。(中略)
イ 要介護認定を受けている利用者が法第28条第2項に規定する要介護更新認定を受けた場合
口 要介護認定を受けている利用者が法第29条第1項に規定する要介護状態区分の変更の認定を受けた場合


(3)緊急入院等におけるモニタリングの例外について

 基準の解釈通知の「第II指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 3運営に関する基準(7)指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針・モニタリングの実施」において、「特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者の居宅で面接を行い(以下略)」とされている。

 さらに「特段の事情」とは、「利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すもの」としているところである。

 従って、入院・入所等利用者の事情により利用者の居宅において面接することができない場合は「特段の事情」に該当し、必ずしも訪問しなければ減算となるものではない。 ただし、入院・入所期間中でもモニタリングをしていく必要性はあることから、その後の継続的なモニタリングは必要となるものであり、留意されたい。


(4)「家族旅行」などで、ショートステイを利用する際のサービス担当者会議とモニタリングの取扱について(会議とモニタリングを同時に行うことができるか否かについて)

 指定居宅介護支援等の事業の人員および運営に関する基準(平成11年3月31日厚令38)の第13条に掲げるケアマネジメントの一連のプロセスについては、第1条に掲げる基本方針を達成するために必要となる業務を列挙しているものであり、基本的にはこのプロセスに応じて進めていくことが必要となる。

 しかしながら、より効果的・効率的な支援を実施することが可能な場合は、必ずしも同基準に掲げるプロセスの順序に固執するものではなく、例えば、困難事例への対応に関して、関係機関が集まって、それぞれの機関が把握している情報を共有し、まずは現状の評価を行うという場合について、サービス担当者会議とモニタリングを同時に行うことも考えられる。






3ケアプランの軽微な変更の内容について(ケアプランの作成) 

「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(平成11年7月29日老企22号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(以下、「基準の解釈通知」という。)の「第Ⅱ指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の「3運営に関する基準」の「(7) 指定居宅介護支援の基本取扱方針及び具体的取扱方針」の「15居宅サービス計画の変更」において、居宅サービス計画を変更する際には、原則として、指定居宅介護支援等の事業及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚令38、以下「基準」という。)の第13条第3号から第 11号までに規定されたケアプラン作成にあたっての一連の業務を行うことを規定している。

 なお、利用者の希望による軽微な変更(サービス提供日時の変更等)を行う場合には、この必要はないものとする。としているところである。



サービス提供の曜日変更
 

利用者の体調不良や家族の都合などの臨時的、一時的なもので、単なる曜日、日付の変更のような場合には、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
 なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



サービス提供の回数変更
 

同一事業所における週1回程度のサービス利用回数の増減のような場合には、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
 なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



利用者の住所変更
 

利用者の住所変更については、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
 なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



事業所の名称変更
 

単なる事業所の名称変更については、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



目標期間の延長
 

単なる目標設定期間の延長を行う場合(ケアプラン上の目標設定(課題や期間)を変更する必要が無く、単に目標設定期間を延長する場合など)については、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数が異なる場合

 福祉用具の同一種目における機能の変化を伴わない用具の変更については、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更

 目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更については、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
 なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
 

第一表の総合的な援助の方針や第二表の生活全般の解決すべき課題、目標、サービス種別等が変わらない範囲で目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合は、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
 なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。



担当介護支援専門員の変更

契約している居宅介護支援事業所における担当介護支援専門員の変更 (但し、新しい担当者が利用者はじめ各サービス担当者と面識を有していること。)のような場合には、「軽微な変更」に該当する場合があるものと考えられる。
なお、これはあくまで例示であり、「軽微な変更」に該当するかどうかは、変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものである。




4. ケアプランの軽微な変更の内容について(サービス担当者会議) 

基準の解釈通知のとおり、「軽微な変更」に該当するものであれば、例えばサービス担当者会議の開催など、必ずしも実施しなければならないものではない。 しかしながら、例えば、ケアマネジャーがサービス事業所へ周知した方が良いと判断されるような場合などについて、サービス担当者会議を開催することを制限するものではなく、その開催にあたっては、基準の解釈通知に定めているように、やむを得ない理由がある場合として照会等により意見を求めることが想定される。


サービス利用回数の増減によるサービス担当者会議の必要性

 単なるサービス利用回数の増減(同―事業所における週1回程度のサービス利用回数の増減など)については、「軽微な変更」に該当する場合もあるものと考えられ、サービス担当者会議の開催など、必ずしも実施しなければならないものではない。
しかしながら、例えば、ケアマネジャーがサービス事業所へ周知した方が良いと判断されるような場合などについて、サービス担当者会議を開催することを制限するものではなく、その開催にあたっては、基準の解釈通知に定めているように、
やむを得ない理由がある場合として照会等により意見を求めることが想定される。



ケアプランの軽微な変更に関するサービス担当者会議の全事業所招集の必要性

ケアプランの「軽微な変更」に該当するものであれば、サービス担当者会議の開催など、必ずしも実施しなければならないものではない。
ただし、サービス担当者会議を開催する場合には、必ずしもケアプランに関わるすべての事業所を招 集する必要はなく、基準の解釈通知に定めているように、やむを得ない理由がある場合として照会等により意見を求めることが想定される。


「利用者の状態に大きな変化が見られない」の取扱い

「利用者の状態に大きな変化が見られない」の取扱いについては、まずはモニタリングを踏まえ、サービス事業者間(担当者間)の合意が前提である。

その上で具体的には、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(平成11年11月12日老企第29号)の「課題分析標準項目(別添)」等のうち、
例えば、
・ 「健康状態(既往歴、主傷病、病状、痛み等)」
・ 「ADL(寝返り、起き上がり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等)」
・ 「IALD(調理、掃除、買い物、金銭管理、服薬状況等)」
・ 「日常の意思決定を行うための認知能力の程度」
・ 「意思の伝達、視力、聴力等のコミュニケーション」
・ 「社会との関わり(社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等)」
・ 「排尿・排便(失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法、頻度など)」
・ 「褥瘡・皮膚の問題(褥瘡の程度、皮膚の清潔状況等)」
・ 「口腔衛生(歯・口腔内の状態や口腔衛生)」
・ 「食事摂取(栄養、食事回数、水分量等)」
・ 「行動・心理症状(BPSD)(妄想、誤認、幻覚、抑うつ、不眠、不安、攻撃的行動、不穏、焦燥、性的脱抑制、収集癖、叫声、泣き叫ぶ、無気力等)」
等を総合的に勘案し、判断すべきものである。


5 暫定ケアプランについて


看取り期など限定的な局面時における暫定ケアプラン作成時のプロセスの取扱いについて

暫定ケアプランについて、利用者の状態等を踏まえ、本ケアプラン(原案)においても同様の内容が見込まれる場合(典型的には看取り期が想定されるが、これに限られない。)は、暫定ケアプラン作成の際に行った「指定居宅支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年3月31日厚令38)の第13条に掲げるケアマネジメントの一連のプロセスについて、必ずしも改めて同様のプロセスを踏む必要はない。


平成24年度介護報酬改定に関するQ&A (Vol.2)

【居宅介護支援】
〇居宅サービス計画の変更について.

問17 
今回、訪問介護や通所介護で時間区分の変更が行われたことにより、あらためて居宅サービス計画の点検(見直し)作業を行うこととなるが、当該作業の結果、時間区分を変更することとしたケースについては、必ずサービス担当者会議を開催しなければならないのか。

(答)
居宅サービス計画の変更は適切なアセスメントとケアマネジメントに基づき、利用者の二ーズに応じたサービスを提供する趣旨で行われるものであり、今回の時間区分の変更を契機に、利用者のニーズを踏まえた適切なアセスメントに基づき、これまで提供されてきた介護サービス等の内容をあらためて見直した結果、居宅サービス計画を変更する必要が生じた場合も従来と同様の取扱いとなる。
 従って、適切なアセスメントの結果、サービスの内容及び提供時間に変更は無いが、介護報酬算定上のサービス提供時間区分が変更になる場合は、サービス担当者会議を含めた一連の業務を行う必要性はない。ただし、この場合にあっても利用者負担額が変更になることから利用者への説明は必要となる。
 なお、従前より訪問介護の所要時間については、現にサービスを提供した時間ではなく、訪問介護計画において定められた内容のサービスを行うために必要と考えられる標準的(平均的)な時間としており、今般の見直し後も所要時間の考え方は変わるものではない。(通所介護においても考え方は同様。)

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