2021/10/02

居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について(抜粋)

 

事務連絡令和3年9月22

 

厚生労働省老健局高齢者支援課

厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課

 

居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について(周知)

 

介護保険制度の推進につきましては、日頃より格別のご尽力を賜り厚く御礼申し上げます。

 

社会保障審議会介護保険給付費分科会における議論を踏まえ、「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」(令和2年1223日。以下「審議報告」という。)において、「より利用者の意向や状態像に合った訪問介護の提供につなげることのできるケアプランの作成に資するよう、検証方法として効率的で訪問介護サービスの利用制限にはつながらない仕組みが求められていることを踏まえ、区分支給限度基準額の利用割合が高く、かつ、訪問介護が利用サービスの大部分を占める等のケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証の仕組みを導入する。効率的な点検・検証の仕組みの周知期間の確保等のため、10月から施行する。」とされています。

 

また、審議報告において、サービス付き高齢者向け住宅等における適正なサービス提供の確保として、「同一のサービス付き高齢者向け住宅等に居住する者のケアプランについて、区分支給限度基準額の利用割合が高い者が多い場合に、併設事業所の特定を行いつつ、当該ケアプランを作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検・検証を行うとともに、サービス付き高齢者向け住宅等における家賃の確認や利用者のケアプランの確認を行うことなどを通じて、介護保険サービスが入居者の自立支援等につながっているかの観点も考慮しながら、指導監督権限を持つ自治体による更なる指導の徹底を図る。居宅介護支援事業所を事業所単位で抽出するなどの点検・検証については、効率的な点検・検証の仕組みの周知期間の確保等のため、10月から施行する。」とされています。

 

この二つのケアプラン検証・点検については、趣旨・目的は異なりますが、居宅介護支援事業所等の抽出は両者ともに国民健康保険団体連合会介護給付適正化システムを活用することになります。

 

今般、これらのケアプラン検証・点検の趣旨・目的や留意事項等について、以下のとおり周知いたしますので、各都道府県、市町村におかれましては、内容について御了知いただくとともに、本事務連絡の内容を踏まえて、適切に御対応いただくようお願いいたします。また、管内サービス事業所等に対して周知をお願いいたします。

 

記1.趣旨・目的・仕組み等

 

(1)居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証

居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証は、より利用者の意向や状態に合った訪問介護の提供につなげることのできるケアプランの作成に資することを目的とし、介護支援専門員の視点だけでなく、多職種協働による検討を行い、必要に応じてケアプランの内容の再検討を促すため、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)に位置付けられた仕組みです。この仕組みは、サービスの利用制限を目的とするものではありませんので十分にご留意の上、ご対応をお願いします。

 

具体的には、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準第十三条第十八号の三に規定する厚生労働大臣が定める基準(令和3年厚生労働省告示第336号)に規定する要件(に該当する居宅介護支援事業所の介護支援専門員が令和3年10月1日以降に作成又は変更したケアプランのうち、市町村から指定されたものを市町村に届け出る必要があります。

 

居宅介護支援事業所を抽出する要件居宅介護支援事業所ごとに見て、区分支給限度基準額の利用割合が7割以上かつその利用サービスの6割以上が「訪問介護サービス」

(注1)なお、各市町村において、国民健康保険団体連合会と調整の上、地域の実情に応じて、厚生労働大臣が定める基準(従うべき基準)よりも検証対象の範囲を拡げるための要件の設定は可能。

(注2)国民健康保険団体連合会介護保険給付適正化システムで作成される帳票は、「計画単位数」を基に計算。なお、区分支給限度基準額の対象外である加算等や超過部分の自己負担分は計算の対象ではない。

(参考)居宅介護支援事業所を抽出する要件のイメージ

 

まず、市町村は、上記の要件が設定された帳票()を、国民健康保険団体連合会より受領してください

)支給限度額一定割合超支援事業所における対象サービス利用者一覧表(総括表・明細表)【別添1・2】。帳票の送付や内容の詳細については、「2.国民健康保険団体連合会システムを活用した居宅介護支援事業所・ケアプランの抽出」参照。

 

次に、市町村は、受領した帳票を活用し、要件及びに該当する居宅介護支援事業所のケアプランのうち、個々に見て上記の要件及びに該当するケアプランについて、

・最も訪問介護サービスの利用割合が高いものなど(1)で、介護度別に1件ずつ以上を指定し(2)、

・当該ケアプランの第1表(居宅サービス計画書(1):基本的な事項)、第2表(居宅サービス計画書(2):長期目標・短期目標、サービス内容等)及び第3表(週間サービス計画表)の届出を依頼(3)します。

 

1)市町村において一定の考え方のもとで、指定いただいて差し支えない。

2)指定の際の留意点・特定の介護度に該当する利用者がいない場合は、その介護度は届出不要。必要があれば、他の介護度で2件以上の届出を依頼。・すでに、生活援助の訪問回数の多い利用者のケアプラン検証の対象となっているケアプランは届出の対象外。

・他市町村の住民である利用者のケアプランは届出の対象外。(市町村が必要に応じて、当該市町村と連携)

3)必要に応じてアセスメントシートの届出も依頼。

 

市町村からの届出の依頼を受けた居宅介護支援事業所は、指定されたケアプランについて、当該ケアプランの利用の妥当性を検討し、当該ケアプランに訪問介護が必要な理由等を記載し、当該ケアプランを市町村に届け出る必要があります。

なお、理由等については、「『介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について』の一部改正について」(令和3年3月31日厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長通知)でお示ししているとおり、ケアプラン第2票(居宅サービス計画書(2))の「サービス内容」に記載しても差し支えありません。

1)「『介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について』の一部改正について」(令和3年3月31日厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課長通知)https://www.mhlw.go.jp/content/000764679.pdf

 

2)災害や新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に他のサービスから訪問介護に切り替わったために要件及びに該当するケアプランがある場合は、その旨も記載。

 

届出を受けた市町村は、順次、地域ケア会議等(1)を活用して、多職種の視点から、届出のあったケアプランについて議論を行うことになります。

 

多職種による議論は、「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き~地域ケア個別会議等を活用したケアマネジメントの支援のために~」(平成30年度厚生労働省老人保健健康増進等事業(地域ケア会議等におけるケアプラン検証の在り方に関する調査研究事業(実施団体:エム・アール・アイリサーチアソシエイツ株式会社)))(2)を参照してください。

 

1)検証の方法としては、地域ケア会議のみならず、当該市町村の職員やリハビリテーション専門職を派遣する形で行う会議(サービス担当者会議の前後で行う会議を含む)等での対応も可能。

2)「多職種による自立に向けたケアプランに係る議論の手引き~地域ケア個別会議等を活用したケアマネジメントの支援のために~」(平成30年度厚生労働省老人保健健康増進等事業)https://www.mri-ra.co.jp/pdf/h30_chiikicare_tebiki.pdf

3)災害や新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に他のサービスから訪問介護に切り替わったために要件及びに該当するケアプランがある場合は、地域ケア会議等の検証の対象としない等、柔軟な対応を採る必要がある。

 

地域ケア会議等での多職種の議論において届出のあったケアプランについて見直しが必要であるとされた場合、居宅介護支援事業所は、地域ケア会議等での検証結果を踏まえ、検証対象のケアプランについて再検討を行うとともに、事業所内において同様・類似の内容で作成しているケアプランの内容についても再検討を行います。

なお、検証対象のケアプラン及び同様・類似の内容のケアプランについて再検討とそれに基づく見直しが行われない場合は、それらのケアプランは、引き続き、地域ケア会議等での検証の対象となり得ます。

 

なお、この検証の仕組みは、サービスの利用制限を目的とするものではなく、より利用者の意向や状態に合った訪問介護の提供につなげることのできるケアプランの作成に資することを目的としたものです。ケアプランを変更するためには、利用者の同意を得る必要があり、ケアプランの変更を強制することはできないため、介護支援専門員や市町村は本人に十分説明をする必要があります

 

(2)高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検

 

高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための指導については、「高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための更なる指導の徹底」(令和3年3月18日厚生労働省老健局総務課介護保険指導室長ほか連名通知)において、都道府県における家賃等の入居契約の内容の確認をし、その情報等をもとに、市町村の介護給付費適正化担当部署における高齢者向け住まい等に併設等している(隣接、近接や同一法人や系列法人など関連があると考えられるものを含む。)居宅介護支援事業所におけるケアプランの点検をお願いしているところであり、高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は、介護給付適正化事業の一環として市町村において実施していただくものです。

 

)「高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための更なる指導の徹底」(令和3年3月18日厚生労働省老健局総務課介護保険指導室長ほか連名通知)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000761353.pdf

 

具体的には、市町村が設定する要件()に該当する高齢者向け住まい等併設等居宅介護支援事業所の介護支援専門員が令和3年10月1日以降に作成又は変更したケアプランのうち、市町村が必要と判断したものについては、ケアプランを指定し、居宅介護支援事業所に対し提出を求めてください。

 

)居宅介護支援事業所を抽出する要件居宅介護支援事業所ごとに見た、以下の項目の要件を設定します。

区分支給限度基準額の利用割合

かつ

利用サービス種類(注)とその利用割合(注)区分支給限度基準額管理対象サービスは全て選択可だが、組合せは2つまで。

・それぞれの要件が設定された帳票(注)を国民健康保険団体連合会より、受領してください。

(注)支給限度額一定割合超支援事業所における対象サービス利用者一覧表(総括表・明細表)【別添1・2】

・要件設定にあたっては、必要な数値・サービス種類の設定を行ったうえで「適正化情報(二次加工データ)」の出力を各都道府県国民健康保険団体連合会まで依頼してください。

・併せて、の要件(区分支給限度基準額に占める利用割合)のみ等で設定できる帳票(注)もありますので、こちらも積極的にご活用ください。

(注)支給限度額一定割合超一覧表(総括表・明細表)【別添3・4】

・国民健康保険団体連合会介護保険給付適正化システムで作成される帳票は、「計画単位数」を基に計算されます。なお、区分支給限度基準額の対象外である加算等や超過部分の自己負担分は計算の対象ではありません。

 

市町村によるケアプランの指定については、

・上記1(1)の居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証における指定方法や、

・「ケアプラン点検支援マニュアルの活用方法」(平成20年7月18日厚生労働省老健局振興課)(1)・「ケアプラン点検支援マニュアル附属資料ケアプラン点検の基礎知識~これからケアプラン点検に臨む保険者職員の参考書~」(平成28年度厚生労働省老人保健健康増進等事業(実施団体:株式会社三菱総合研究所))(2)を参考にしてください。

1)「ケアプラン点検支援マニュアルの活用方法」(平成20年7月18日厚生労働省老健局振興課)https://www.mhlw.go.jp/content/000824048.pdf

2)「ケアプラン点検支援マニュアル附属資料ケアプラン点検の基礎知識~これからケアプラン点検に臨む保険者職員の参考書~」(平成28年度厚生労働省老人保健健康増進等事業)https://www.mri.co.jp/knowledge/pjt_related/roujinhoken/dia6ou00000204mw-att/H28_25.pdf

 

提出を受けた市町村では、順次、提出のあったケアプランについて点検を行うことになります。ケアプラン点検の実施方法については、「ケアプラン点検支援マニュアルの活用方法」等を参照してください。なお、多職種の視点からの議論を行うため、地域ケア会議等で検討を行うことも可能です。

なお、高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は介護給付適正化事業の一環として実施するものであるため、介護給付適正化事業におけるケアプラン点検の実施件数に含まれます。

また、高齢者向け住まいには、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等が該当しますが、未届の住宅型有料老人ホームも当然に該当しますので、届出の有無に関わらず点検の対象としてください。

 

(参考)居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証と高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検のポイントについて

 

2.国民健康保険団体連合会システムを活用した居宅介護支援事業所・ケアプランの抽出

 

居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証及び高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検における対象となる居宅介護支援事業所及びケアプランの抽出は、国民健康保険団体連合会介護給付適正化システムを活用して、

・要件に該当する居宅介護支援事業所の一覧(総括表)【別添1】と、

・当該居宅介護支援事業所の利用者の一覧(明細表)【別添2】(当該居宅介護支援事業所の全利用者のうち、要件に該当しているかどうかが分かるもの)を自動抽出(1~3)し、市町村に送付されます。

 

送付される帳票に係る詳細については、各都道府県国民健康団体保険連合会までご照会ください。

1)帳票は、サービス提供月ごと。

2)送付の頻度は、最低限3月に1回。具体的な頻度は国民健康保険団体連合会と市町村の間で調整。なお、最初の送付月については、基本的に、令和3年1012月分が令和4年2月頃の送付となる見込み。この点も、必要に応じて具体的な時期を国民健康団体保険連合会と市町村の間で調整。

3)明細表上、他市の住民である利用者の個人情報は伏せられる。

 

高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検においては、明細表上の各利用者の要介護認定時の居住地の情報(高齢者向け住まい等であるかどうか)を活用してください。

 

ただし、要介護認定時の居住地が高齢者住まい(住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅)であるかの情報は、令和3年4月の改正により追加されたため、居住地情報が反映されるには一定の期間を要します。このため、高齢者向け住まい等の所在地等の状況や被保険者の情報、利用している介護サービス事業所や法人名等も参考しながら、高齢者向け住まい等に居住しているか否かを広く確認していただくようお願いします。

 

また、1(2)でも触れているとおり、上記の帳票の他、既に存在する帳票で、要件である区分支給限度基準額に占める利用割合のみ等を要件として設定できる帳票【別添3・4】もありますので、こちらも積極的にご活用ください。

 

また、平成3010月より施行されている生活援助の訪問回数の多い利用者のケアプラン検証についても、国民健康保険団体連合会介護給付適正化システムで抽出される帳票において、一定回数以上の生活援助中心型サービスが位置付けられているケアプランが分かるようになります。

 

生活援助の訪問回数の多い利用者のケアプラン検証の仕組みでは、居宅介護支援事業者は対象のケアプランを翌月の末日までに市町村に届け出ることとなっていますので、市町村では、システムにより抽出される帳票【別添5】を、該当のケアプランが適切に届け出られているかどうかを確認することのできる補完的なツールとしてご活用いただけます。

 

上記の居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証、高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検及び生活援助の訪問回数の多い利用者のケアプラン検証に係るシステムについては、令和3年8月末にリリースされ、10月から運用開始となります。

 

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