2/5 利用者と温泉旅行に行きたい

増田 信吾さん(2015.05
介護職員 東京都・有料老人ホーム勤務
(聞き手・本間清文)
※本文は個人情報保護の観点から事実とは異なる箇所があります。

2/5 利用者と温泉旅行に行きたい

 就職して以来、今も介護職として働いている有料老人ホームは、今年で10年目になります。
 クラッシックギターが弾けるので、時々、余所の施設へボランティアで演奏に行ったり、自分の施設のレクリエーションで演奏もします。この仕事に就くまでは弾けなかったのですが、仕事のために自費で学校に6年くらい通ったのです。

理由は、仕事上、利用者に対してレクリエーションを行わなければならない時があるのですが、それが苦手だったからです。





今現在の自分なりの課題と今後の希望として、施設の入浴のあり方を変えることができたらなと思っています。

 というのも今の介護棟における入浴施設には複数名の人が入浴できる小さめの銭湯のような浴室以外は機械で寝たまま入るタイプのものと、同じく機械で車椅子のまま入るタイプのもの(以下「機械浴」)しかありません。

そのため、少し足腰が弱くなると、これまで普通の浴槽のような形態のお風呂に入っていた人もすぐに機械の方に変更になってしまっている現状があります。

 しかし、介護の業界全体を見渡せば、そうした機械浴に頼らず、一般の家庭で使用している狭くて深い一人用の浴槽を設置して入浴するスタイル、いわゆる「個浴(こよく)」を推進する潮流(※3)があります。

それを今の施設にも採用したいのです。理由はそれによって利用者の生活場面における動作が向上したり、介護量が減るような効果もあると思っています。何より、個浴で入浴している時の利用者、介護職の両方の笑顔がとてもイイ。楽しそうなんですよね。

※3「個浴(こよく)」:「個浴」という表現は介護の業界全体に浸透している言葉ではないが、家庭用の狭くて深い一人用の浴槽を用いて介助する入浴のことを「個浴」と呼ぶことがある。例えば寝たきり老人の入浴介護について、従来の介護観ではリフトや特殊な機械を使い、寝たままで浴槽に入るような入浴方法が普及していた。(「機械浴」や「特殊浴」等と呼ばれる)しかし、そうした機械浴の一律的な導入により、例えば、少しの介護があれば、普通の家庭用浴槽に入れるような人まで寝たままでお風呂に入るような介護になっている現実があった。それは、ある意味、老人のできる能力を奪い、寝たきり状態を誘発させる等の自立の低下要因となる。そこから「なるべく特殊浴槽は使わず、個浴でお風呂に入ってもらう」という介護観の潮流につながっていったと思われる。理学療法士の三好春樹氏や、その流れを汲む青山 幸広氏(RX組)の書籍や研修などにおいて、多くの介護職の支持を得ている。特に脳血管疾患などによって半身が麻痺状態になった方々は、従来、安易に家庭用浴槽での入浴を諦める傾向があったが、こうした個浴の概念やリハビリ、介護技術、環境整備用具などの発展により、一般浴槽での入浴の可能性を広めた。


 そして、普通のお風呂に入れるようなると、温泉などにも入れるかもしれない。要介護の状態になると、みなさん、なかなか温泉には行けませんから、いつか、利用者さん達と泊まりがけで温泉旅行などに行けたら嬉しいですね。

 そんな日を夢見て、つい先日もとある介護事業所の旅行イベントにボランティアとして同行してきました。千葉県に「石井さんち」(※4)という全国的にも有名な事業所です。

 特定の方の担当となり、温泉も一緒に入り、介護もしました。とても楽しく、充実した一泊二日でした。
 いつか、自分の施設の利用者さんと、一緒に温泉旅行に行けたらいいですね。

入居されているみなさん、日常生活を送る上で常に何らかの見守りや介護が必要な方ですし、日々、体調や精神状態が変り不安定な部分があります。そんな中にあっても、その時々の状態に応じた介護を提供し、日々、穏やかな笑顔を見せてもらえれば、介護職として嬉しいですね。


※4「石井さんち」;千葉県で民家を借りて小規模でやっている宅老所・デイサービス。「ありのまま、その人らしく。」  「「今」を楽しむ。」「その人の生活習慣を大切に。」などを理念に掲げている。テレビや映画などマスメディアなどへの露出も多い。
http://www.ishiisanchi.com/

(つづく)