4/6 母は本当にどうなっちゃったんだろう

インタビュー
4/6 母は本当にどうなっちゃったんだろう

三島 史津子さん
(通所介護「くらしや朗幸(ろこ)」代表)埼玉県川越市
(聞き手・本間清文)
※本文は個人情報保護の観点から事実と異なる箇所があります。

しかし、母の健康状態は安定せず、その前後で転倒し、今度は頭の中で血が滞ってしまう硬膜下血腫(こうまく・か・けっしゅ)を起こし入院。

今まで以上に記憶力や理解力、認知症の症状が悪化しました。加えて、これまでにない暗い表情を見せたり、「イヤだ」「疲れた」など否定的な言葉を眉間にシワ寄せながら言うようになったのです。

笑顔が一切なくなり、以前の母とは別人です。好きだったリハビリも嫌がります。

どうも様子がおかしいと思っていた矢先、病院で見てもらうと硬膜下血腫が慢性化しているからドレナージ手術(=体液の一部を排出)をする必要があるといわれました。言われるがままに手術をしましたが、それを機に精神的な落ち着きもなくなり再び、夜間せん妄が出て、病院中に響くような雄たけびを上げるようになりました。

その後、以前、回復した時と同じように介護老人保健施設※へ移ったのですが、今度は状態が回復に向かいません。

視野に異常を来す半盲(はんもう)が現れました。食事も複数のお皿があっても均等に食べることができず一皿ずつ食べる「一品食い」になりました。ますます寡黙になってゆきました。

※介護老人保健施設:リハビリによって在宅復帰を目指す介護保険上の施設。3か月から1年前後の入所が多い。

そんな母を見ていると、どうも医者から聞いている診断名などに症状が当てはまらず、母は本当にどうなっちゃったんだろう、と思いました。

元々、入院前にかかっていたかかりつけ医に見せにいくと母の様子を見て「ウツじゃないか」と言われ精神科薬を処方していただきました。すると薬が効きすぎたのか傾眠(けいみん=常にウトウトと寝ぼけているように意識が混濁している状態)が始まりました。

でも、数時間後に薬が切れると興奮して支離滅裂なことを大声で叫びます。トイレのことを異常に気にするようになり昼夜問わず頻繁にトイレに通うようになりました。

薬を飲ませると効くことは効くのですが、服薬後10時間後に急に効いたりする状態でした。

その効き方も極端で、意識はモウロウ、足はフラフラで、ベッドから起き上がれない程です。

でも、ひとたび、効果が切れるとたちまち本人は不安になり大声で叫び、私の名前を呼びます。寝ているか騒いでいるかのどちらかの状態で、しかもデイサービスを拒絶するから家で看るしかありません。

訪問介護(ホームヘルパー)も使ってはみましたが、訪問介護は単純な話相手や見守りはできないので結局、役に立ちません。

私自身が買い物へ行く時間もなければ病院へ薬を取りにいく時間さえありません。

そんな家族の代行も同居家族がいた場合にはヘルパーさんに頼むことが難しいと言われました。

ヘルパーさん個人は状況をとてもよく理解して下さり何かと助けになってくださいましたが、制度的には無理です。

結局、台所で料理をすることすらままならず、店屋物を取り私と母の二人で食べる始末でした。もちろん学校へも行けなくなりました。

それは、とても辛い日々でした。でも、私は母の面倒を看るために大好きだった仕事まで辞めていました。これくらいでへこたれるわけにはいかない、もっとがんばらなきゃ、と自分に言い聞かせていました。(つづく)


1/6商社在勤中に襲った母の入院
2/6病院そして回復期リハ病院へ
3/6仕事か母か、どちらを選ぶべきか
4/6母は本当にどうなっちゃったんだろう
5/6自分の心の中の大黒柱はやはり母だったんだ
6/6
「持ちより介護」できないかな